0455:その場所
「……そんな気はしていたのじゃ……というか! そうじゃ! 本題じゃ。お姉様、勇者の召喚魔術紋から隷属の部分を解析できますでしょうか?」
「勇者の召喚紋か~アレ、前に分析してみたんだけどねぇ~詳細は解析できなくて~でも~結構良い所までいったんだけど~刻まれてた石版の一部が欠けちゃってて~」
「お姉様、これを」
オーベさんがミスハルの描いた召喚紋の写しを取り出した。
「これは~すごいの~これ~写し〜? すご〜い。本物~?」
「はい、こないだ言った……四十三名もの界渡りが召喚された時に使用された物の写しです」
「あ~酷い~欠陥発見~際限なく魔力を吸い上げる~一定以上魔力が溜まると~さらに吸収する力が増幅されて~酷いことになるの確定~」
その通りです。そこそこ大きいビジュリアの潘都は人口の1/3の数万人を失って、人がいなくてガラガラだったそうです……。まあ、人がいなかった根本の理由は、召集して無謀な侵略戦を行ったからだろうけど。
「あの……この……方は、いえ、御方は……オーベ師のお姉様……ということ、ですか?」
「厳密には叔母じゃ! ミルベニ」
「あ~も~オーベちゃん約束したのに~」
「フリージアお姉様じゃ!」
「は、はあ。ではフリージア様で」
「フリージアお姉様は「印」の魔道具の作者じゃ! 偉いのじゃ」
「いばらないの~」
「え? 「印」……ですか? え?」
ミルベニが……面白い顔をしている。多分、頭の良い彼が……思考が、追いついてない。
「「印」の魔道具、知っておるじゃろ?」
「は、え? 一般普及型の魔道具、ほぼ全てじゃ無いですか!」
「そうじゃな」
「その? 作者様?」
「正確には~設計者~? 作ったのはオリジナルの~最初の一つ二つかな~」
「えええええええええ!」
ミルベニ、うるさい。
「そ、そんな、バカな、いや、まさか、今ある魔道具のほとんどは、「印」か、その模倣品なわけで、まともに動かない物も多く、旧帝国の遺跡から発見される良品は年々価格が上がっている状況で」
「ミルベニ、もうよい。お前は黙って見て、聞いておれ。それでお前なら判るハズじゃ」
さすがお師匠様。
「で、お姉様は勇者の隷属を解くことができますか?」
「ん〜アレって呪いなのよね〜しかも……多分かなり大きい存在の」
「なっ!」
「ああ、だからガギルの伝承を集めてたのね〜。それじゃダメなの〜?」
「ここ、オベニスの地下の迷宮は……まだまだ調査不足でして。ですが、その最奥階がとんでもなく深いのです。それこそ、探索に何十年もかかる様な。しかもまだ確証もありませんし。それに……もしもここが約束の地だとして。そんなに時間をかける以上は、彼女達を元の世界に帰す事を願いたいのです。願い云々がどう叶うかも良く判っていないのになんですが」
フリージアさんには未だ詳細を話せていなかった単語も混ざってしまうが、頭の良い彼女の事だ。十二分に理解してくれるだろう。
「そっか〜。まあ、でも、一番最初のは確定じゃないかな〜。ほら。さっきの口伝の古代語」
「オバンド・ベルツヘルム・ニムア・スメルア……ですか?」
「頭文字を集めれば。ほら不思議」
あらやだ。マジで気付かなかった……。
「ということは……オベニスという名は……旧帝国時代に付いたわけでは無く……」
「そうだと思う~。私も詳しいことは知らないけど~帝国の領土になった頃にはもう既に、この都市はオベニスと呼ばれていたんじゃ無いかな~帝国建国期の貴族の名前でも無いし~この地方の名でも無いから~」
そう言われてみれば、茂木先輩もオベニスと呼んでいたわけで。当然の様に受け入れていたけど。逆に城砦都市オベニスじゃなくて、城砦都市モギになっていた可能性もあったわけで。でも、それを撥ね除けるくらい、オベニスという名が定着してたということか?
「まあでも~確かに~折角苦労して辿り付くわけだから、大きいお願いをしたいわよね~隷属が小さいとは言わないけど~主人は既に始末したのでしょう~?」
「判る限りは……ですが。でも気持ちは悪いですよね……」
「そうね~落ち着かないって気持ちは判るかな~。まあでも、この世界の呪いみたいなものだから、この世界との因果関係を消さないと解除は出来ないんじゃないかな〜。あ〜でも、ん〜どうなんだろ?」
「?」
「モリヤちゃん自体が因果の果てにいるようなものなのよねぇ~あ。そうか……界渡りの素養を触媒に使えばいいのか~な~」
目つきが……若干、研究中のファランさんに似ている気がする。
「あ~よかった~この時代に起こしてもらえて~。オーベちゃんありがとう~ね~病気も治ったみたいだし~」
「それは良かった」
こちらも良かった。フリージアさんのおかげで、隷属の呪いも解除できるかもだし。ってあの目つきは気になるけど。
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