0344:必殺技は最後の手段
さて。
俺の一番のスキルといえば……一番最初がマッサージだ。
ってでも……ねぇ。女子高生にマッサージっていう時点でセクハラというか、犯罪だもんなぁ。
さらに言えば。別にこの世界の女性には効果があったけど、同じ世界の人に効果があるとは思えない。だって、普通にあるもんね、女性だってアスリートならスポーツマッサージとか、整体とかで男性にマッサージされることもあるだろうし。
それこそ、前の世界で彼女によくやってたけど、別に普通。効果は推して知るべし。身体の凝りがほぐれて、腰痛なんかも若干軽くなるくらい? 足裏マッサージとかね。うん。
まあ、こっちの世界では違うかもだし、それで効果があるかどうかは判らないけど、いざとなったらそれも挑戦しないとなんだろう。
が、いざとなったら、だ。相手未成年だし。別にこっちの世界で、青少年保護条例も無いし。そもそも、結婚適齢期は12、3歳から20歳前みたいだし。それすぎると行き遅れだそうで……。
そして希望は。光の術。解呪とかイロイロあるらしいけど、俺は光る術、浄化の術、祝福の術くらいしか使えない。というか、イメージで何かをするので、明確なやり方が思い浮かばないとどうにもならない。解呪……はある、使えると言われているけれど。正直良く判らない。
隷属の術は属性こそ闇ではあるものの、闇の術が使えなくても問題無い。そもそも、自分で行使する機会はほとんど無く、奴隷誓約書の使用時のみ、発露する感じなのだから。
「セタシュア」
「はい、御主人様」
呼ばれてすぐに出現するマン……いや、出現するガール。マジで優秀なストーカーレベル。彼女のさりげない心遣いは本当にスゴイ。必要な時にいて、必要ではない時は控え室から出てこない。視界に入らない。ちょっと恐いくらい。
セタシュア・シエレ 隷属(契約)
ヒーム 女 力24 躯46 器34 敏21 知132 精267
聖印降臨
魔力制御4
→光4
癒6
はい、まあ、前にも見たしね。呪いはついてないよね。少女よ。
……奴隷っていうのは本人的にどうよだし、俺も奴隷であるとかどうとか、どうでもよかったので、解除しようとしたら、号泣されたので、そのまま放置していたのだ。今考えると解除しないで良かったかもしれない。
「セタシュア、今さらだから大丈夫だと思うけど、キミは今も隷属(契約)状態にある。奴隷誓約書もあるからね」
「はい」
「これを解除しても別に、今やってる仕事を辞めろとかそういう意味でも無いし、キミとの繋がりが何か無くなるわけではない。これは判る?」
「はい」
「なら、これから、正規の方法じゃなく隷属状態を解除する実験をするのに付き合ってもらいたいんだけど。ダメ……かな?」
「以前は、御主人様との繋がりが……無くなってしまいそうで嫌だったのですが。もう、大丈夫だと思います。御主人様のお役に立てますなら」
「ああ、うん、あのさ、自分で聞くのもなんだけどさ、俺のことが……その」
「はい、お慕いいたしております」
「う、うん、あのさ、お、思い詰める必要は無いからね? それこそ、将来歳を取ったら別の男に興味が出るかもしれないし。あのさ、もしも、好きな人が出来たりしたら、言ってくれれば。うん、恋人が他にいようが、結婚しようが、別に専属小間使いは続けてもらって構わないんだし」
「……私は……お邪魔でしょうか?」
「いえいえいえいえ、もう、ね、あのね、いないと困るんだけどね、生活的に、うん」
これは本当だ。正直、現状、自分の家事的なこと、特に掃除や整理整頓系の雑務がほぼ出来ない。忙しいんだよね……本気で。上がってくる書類に目を通すだけでもかなりの時間がかかる。適当に流せないのが……生真面目な性格が恨めしいね。
さらに……妻が13人もいるが……家庭的という言葉が当てはまるような人が……まあ、いやその、さらにイロイロと仕事を頼んじゃってるからね。い、いえ? べ、別に出来ないなんて言ってないし、多分……数名は出来る。うんうん、出来る。確実。というか、小間使い的なコトができるのだから、問題無くできる。うん。あ。良かった。
「ではここにいてよろしいのでしょうか」
「いい、いい。というか、いてくれないと困るから、御仕事はして欲しいんだよね。でも、私生活は犠牲にして欲しくないかなぁと」
「私生活?」
「自分のやりたいこととか、仕事以外のこと」
「御主人様がいつ、お帰りになっても良いように常に待機していたいのです……ダメでしょうか」
「だ、だ、ダメじゃないけど……」
でも重いよー重いからねーそれねー。というか、他にもっとイイ男がいるでしょうに……。どう考えても。
とはいえ、まあ、うん。後、数年後に再度気持ちを確認すれば良いか。これ、未来の自分の処理能力に賭けたということです。丸投げですね。はい。
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