0334:大丈夫

「ウシロ、ヤガシラ。私から説明するので良いだろうか? 覚えているか判らないが、君たちがここに来た際に挨拶をした。私はファラン。このオベニス領の副領主をしている」


 ファランさんは既に名乗っている。俺に、というか、おっさん、男に助けられた……よりも、女性に助けられた、この地のトップは女だと思われた方が安心するんじゃ無いか? と思ってちょっと強引に挨拶してもらった。


「は、はい。お名前は覚えております。申し訳ありません、詳細をお願いします」


 凄いなーあの心理状態でちゃんと覚えてるって。しっかりしてるよな~。さすがだなー。


「まず。そこにいるモリヤの役職は、ここオベニス領の総務部総務部長兼、外務部長兼、宰相兼、領騎士団及び領軍統括元帥となる。うーん、簡単に言えば。平時は私の部下となるが~戦争時には実権的に私よりも上になるな」


「え? あの~初耳な役職が聞こえたんですけど。元帥って……なんですか」


「今回のな、出陣で、結果的に王国騎士団、合従軍にまで指示を出しただろうが?」


「あ。は、はあ。確かに」


「戦後に五月蠅いのが湧いてな。どういうことだと。女王が針の筵で虐められ始めていたから、急遽役付けして、格を上げたそうだ。最強戦力であるイリスを操れ、さらに我が領の最高指揮官が、女王から全権委任されて、命令を下した。というのであれば、そこまで越権行為なわけでは無かったしな」


 領の最高指揮官っていうのは、大抵は領騎士団長なんだが……さすがにそれはどうかということで、その上を作りだしたらしい。


「……すいません、確かにちょっと迂闊でした」


「アレだけのことをしておいて、これくらいで済んだわけだから問題無い」


 そうだね。あの戦場ではこちらの被害は一切無く、敵を撃退したからね。ここまでうちだけでなく、全ての戦場で負け続けだった訳だし。ああ、唯一の勝ちは、征服国の国王が五名殺した時くらいか。


「ああ、すまんな、ウシロ。とまあ、そんな感じでな、モリヤが肩書き的にも実力的にも、この領で二から三番目に偉いということは理解出来たかな?」


「は、はい……あの……杜谷さんは私たちと同じ、界渡り……なんですよね? 日本からの。もの凄い昔にこっちの世界に?」


「えーと……大体二年前……か。こっちに来たのは」


「そうだな。夏の終わりだった気がする」


「なのに……そんなに偉く……?」


「ああ、うーん。偶然もね、手伝ったというか。というか、本当に偶然かな。運が良かった。イリス様に拾っていただいたからね。更に言えば肩書きほど偉くはない。というか、それはまた今度説明するよ」


 宇城さんには後でちゃんと話をしてあげないとかな。


「ああ、もっと大切なことがあったな。さらに言えばだ、領主イリスの夫でもある」


 ファランさん! それはぶっ込みが早い。


「へ?」


 おお。宇城さんでもそういう顔をするのね。凛々しい顔がかなり崩れている。八頭さんもちと困惑顔だ。


「誰がですか?」


「モリヤが」


「え?」


「え?」


「さらに私も妻だし……他にも、あと11名の妻がいる」


「えぇえええええええ!」


 ……やばい。キモ親父……ハーレムキモ親父確定だ……こりゃもう。嫌悪感バリバリになるのは止められないね。

 いきなりそんな告白しなくても! 徐々に説明していけばいい訳でさー別に自慢したいわけじゃ無いんだから。ちゅーか、この年頃の日本人の女の子にそんな一夫多妻な展開、ハーレム展開は……理解されな……。


「う、宇城さん、イロイロと、イロイロと深い事情があるんだ。俺が女たらしで、積極的に彼女たちに声をかけて、どうこうしたとか、そういう感じで結婚したわけじゃないんだ、それはあの」


「……」


 多感な女子高生にこんな言い訳しても……ああ、ほらもう、アレだ、お父さんが浮気したときの娘みたいな……そんな目というか、顔というか。

 八頭さんは……何それなんで、そんなことに? 面白そう! っていう子供な好奇心満帆な顔になってるからまだマシか。


「まあ、そうだな」


「どちらかといえば、こっちが勝手に誓約書類を登録したからな」


「モリヤから、結婚の言葉を待っていたら、何時までも結婚できないままだったろうしな」


 そりゃそうでしょ。みんな、俺には不釣り合いなほど美人さんなんだから。




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