0211:避難所の処理

作者注:この小説の原稿は改訂版ですから、できれば、様々な要素を付け加えていきたい、初期原稿で至らなかった部分を足したい……と考えてアップロードしています。特に、タイトル通り、マッサージでパートナーが強くなるという描写は欠かせないよな……等と考えておりました。が。すいません。結婚後のシーンは、作者の実力不足により、何処からどう読んでも「ただの18禁のエロ小説」にしかならず。前にもありましたが、アップロードするのはやめておきます(そこそこ書いてはみた)。垢BANされたくないし。


注意②:単行本化したらその特典として……とも書きましたが、よく考えれば、そんなエロ小説混じり、商業ベースで売れるわけがなく。そういう話もないでしょうし(あ。本作はあくまで成人作品ではなく、一般作品のつもりです)。ということで、同人誌化でしょうか。同人誌として合本した作品を作る場合、その辺を加えようかなと考えております。


申し訳ありませんが、御理解のほど、お願い致します。


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 領主様も無事帰ってきた……ということで、安心したのか、城塞都市オベニスは絶賛復興中だった……が。様々な問題も持ち上がっていた。


 元々この世界の都市の多くは城塞、城壁の中に作られている。当然、そのスペースにも限りがあり、窮屈な生活になるのは致し方ないことだった。


 それを何とかしたいと思って、城壁の外側に新市街を構築し、流民、棄民対策を行って来たのだが。


 今回の避難で、大商人から貧民窟住人まで、俺基準の健康で文化的にして最低限度の生活に触れ、それが可能な場所が存在する事を知ってしまった。


 知ってしまった以上、知らぬ前には戻れないのが、知恵在る生き物の性で或る。


「どうしましょうかね……」


「避難させた全ての民、商人、職人、農民、貧民窟の代表からの意見……か。正直、ここは居心地が良すぎるからな……」


「ですねぇ。水と火、そして冷蔵庫に空調かー。やり過ぎたかなぁー」


「うむ。やり過ぎだ」


「ファランさんだって止めなかったじゃないですか……」


「既に完成していたからな……ここが」


「ぇー」


「私だって驚いて思考停止するコトもある。こういう事になるというレベルのモノだということを理解出来ていなかったからしかたない。モリヤ、お前のやることはこの世界の者には少々、行き過ぎなのだ。普段はまあ、イロイロとわきまえているのだと思うが、慌てて何かする場合は……」


「ですか」


「ああ。今回の件であれば、ただただ、広く雨が降らないスペースがあれば良かっただけじゃないだろうか?」


「……それ、イロイロと揉めるし汚れるじゃないですか……絶対。生活排水、汚水問題は伝染病に直結してますし」


「貧民窟はそんなものだと思うが」


「……自分が作る世界、社会なのに、最初から貧民窟スタートっていうのは……できるのに、それをやらずに、最底辺からスタートさせるっていうのはどうしても心が許さんのです。わざと手を抜けって事ですよね」


「ああ、まあ、そうだな。だが、そのせいでこうして面倒な事態になっている」


「ですね。すいません」


 日本人としてどう考えても仕方ないというか無理というか。譲れん。それで弱者、お年寄りや子供が救われる可能性もあるのに手抜きて。偽善と言われようがなんだろうが。


「今後も……地上と地下を共用する……レベルで使うのであれば……一度全員に退出してもらって大きく作り直さないとでしょうね」


「このままではダメなのか?」


「正直、今のままでは生活し辛すぎです。それこそ……二階三階、いや、四階五階くらいの建物があれば、もう少しスペースを有効活用出来ます。一区画に最低でも幾つかの商店、街の便の良いところに領役場、市場、商人街、ギルド街を集めたいですし」


「……本格的に街をいや、見たことも無い街を作る気か……」


「そっちの方が明らかに良いのであれば、やりますよ」


 つまりは。地下遺跡……と本来のオベニスを両方使った都市を構築する。


 で。この地下居住区を今後も開放するのは別に問題無い。維持も可能だ。まあポイント、ダンジョンポイント(俺命名)、は微妙に増え続けているので、なおさら大丈夫だ。


 人々が消費する水や火、排水の浄化? 冷蔵庫や空調の電気のような生活に必要な要素で、当然ながら毎日ポイントは減っている。正直、最初のうちは減り続けたら最後どうなるんだろうか? と気が気ではなかった。


 だが。実際に避難民がダンジョンで生活行動を行っていると、それだけで、微妙だがポイントが増加、入手出来ている。


 それが最終的には釣り合っている……というか、若干増加分の方が多いのだ。なので、ほんのちょっとずつではあるが、ポイントが増加傾向に或る。つまりは、ここを維持していくことはそれほど問題なく可能ということなのだ。


 ただ、地下。しかもダンジョンで暮らすというのはどうなんだ? という気もするのだ。人間の生活リズムというか、パターンに影響を及ぼさないのだろうか? 確かに昼夜は存在する。だけどここが地下である限り疑似でしかない。激しい天候変化も起こらない。微風は吹いても強風は吹かない。なんか空気は動いている? くらい。それも設定できるみたいだけど。


 地上の街部分はかなり広範囲で壊れたり、燃えてしまっている。特に、結果的に放置せざるを得なかった地域。ギルドよりも城壁に近い側は一面焼け野原と言っても過言ではない。


 領都オベニスの約三分の一が焼失したのだ。普通に考えればとんでもない被害を受けた、と考えるべきだろう。


 実は、襲撃以降にこの地を訪れた行商人や冒険者、吟遊詩人等は都市の外郭の新市街までしか立ち入りを許可してない。真実の情報はモリヤ隊が徹底的に押さえている。


 巧いこと、黒幕やつらに「オベニス大規模焼失、ダメージ大」っていう報告を届けて欲しい所だ。


 復興せよと言うのは易し、やるのは難し。時間は大切なのだ。


 その時間を使って……目に物を見せてやる。







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