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雪ちゃんとも何度か来た。千切りキャベツと粒マスタードたっぷりのホットドッグが、めちゃおいしいと彼女は喜んだ。
空港へ送ったハナシをひと通り聞くと、蓮子さんはコロコロ笑った。
「若くていいわね、そんなこと思い悩むなんて」
「蓮子さんも思い悩んだりしました?」
「したした。光治くん、恋の結晶作用とか知らないでしょう」
「けっしょうさよう?」
「ザルツブルクあたりの、塩を掘り出す
「そうか。恋は、枯れ枝をダイヤの枝に見せるのか」
「今の子は読まないね、スタンダールなんか」
「名前も知らないや。じゃあ、スキンヘッドが結晶作用でロン毛に見えるワケ?」
蓮子さんは手をたたいて笑う。「違うちがう。そのお二人さんは恋が成就してるから、結晶作用はたぶん終わってる。きっとお互いの人柄がとっても好きで、その人柄の宿る顔かたちも好きなんだろうね。好きになるコースが逆なの」
「あー、逆なのかあ。たいがい顔かたちから入るもんね」
「顔かたちコースはさあ、新婚旅行とかで実体に気づいたりすると、厚化粧の結晶が粉々に砕けちゃう。帰りの空港で即離婚なんてね」
「人の価値って何でしょう」
「難しいね。カタチも人格も能力も、何に惹かれるかは人によって違うし。まあ、美男美女さんたちは、例えて言うなら、おカネもちなのよ」
「おカネもち、って?」
「ルックスというおカネを、
「ふうん」
「だから、そのおカネでたいていのモノは手に入る。ちょっと気に入らなければ、取っ替え引っ替えできる。恋なんて簡単だと思ってる」
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