不幸体質少女の異世界転生!!
@kokowa
第0話 不幸な事故(不幸付き)
私は自他共に認められた「不幸体質」を持っていた。そのことに最初に気が付いたのは、おそらく小学2年生くらいのときだった気がする。高2になった今では、この特殊な体質にもだいぶ慣れてきたと思う。
一つ勘違いしないで欲しいのは、この「不幸体質」は別にそれほど大きな不幸を周囲にまき散らすわけではないということ。大体は自分の中でこと完結するし、そんなに大きな不幸ではない。身内や親しい人が亡くなったり、事件事故に巻き込まれるような不幸は今のところなくて、それには安心している。
それじゃあ私の不幸はどんなものがあったかといえば、大体は
小中の入学式や卒業式は、大体大雨だった。高校入試は本命も滑り止めの時も雪が降っていて、記録的な積雪量が観測されていたらしい。雨の日に限って靴紐がほどけて汚れるし、傘もよく盗まれる。ビニール傘じゃないんだけどなぁ…。
紅茶のティーバッグはよく紐が切れる。駅の改札を通るときの定期はまあまあな頻度ではじかれる。プリンターは私が使うときだけなぜかよく紙が詰まる。
…ぱっと思いつくだけでこれだけあるし、だいたいなんか陰湿な嫌がらせみたいだな…。
それに思ったよりも周りにも迷惑がかかっていた…。ごめんねみんな。
そんな私だけど、それでも命に関わるような出来事は今までなくて、安心していた。それとも、それが慢心だったのかは分からない。
ーその事故は、突然起きた。不幸な出来事だった。
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「はぁーー今日も疲れた…。今日は茶碗を3つも割ってしまった…。」
授業が終わり、バイトも終わり、脳内でプチ反省会をしながら家に帰る。時刻は21時くらい。冬真っただ中ということもあり、あたりはほとんど暗くなっている。
「……?」
そんな帰り道の中、不意に一台のトラックが目に入った。そのトラックはこの閑静な住宅街の中にしては、まあまあなスピードを出しながら……出しながらこっちの歩道側に来てない!?
幸い、あれがこちらに来るまではまだ距離がある。私は急いでトラックの進路から離れ、安全そうな場所に移動しようとして……
「あ、あのお姉さん、どうしたんだろう…」
私の視線の先では、トラックとの間にいるスーツ姿のお姉さんが、その恐怖ゆえか、
向かってくるトラックに対して立ち尽くしていた。
あのままでは轢かれてしまう…。そう考えた私は、無意識のうちに走り出していた。
「そこの人!!危ないよ!!」
「……っ!」
いまだ呆然と立ち尽くしているお姉さんの後ろ姿を改めて見てみると、暴走トラックに気が付いてはいるものの、動けずにいるみたいだった。ただただ迫りくるトラックを正面から見据える彼女の足はすこし震えているようにも見える。
こんな時、どんな行動が正しいかなんかは知らないし、分からない。ただその時の私は、「お姉さんを助けたい」の一心でひたすらに走った。
私は突っ立っているお姉さんに近づき、その
私の
地面に尻もちをついたお姉さんは、驚きに満ちた表情で私のことを見つめている。
そんなお姉さんを見ていたその時の私は、きれいな人だな……なんて明らかに場違いなことを考えていた。
(これくらい飛ばせていれば……大丈夫かな………)
トラックが私にぶつかるまで、もうそんなに時間がないだろう。体当たりの衝撃で地面に伏している私は目をぎゅっとつむり、せまりくる衝撃をただ待つことしかできなかった。
(名前も知らないきれいなお姉さん、無事だといいな……)
目を閉じてから数秒後、全身に強い衝撃を感じて、私は意識を手放した。
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『次のニュースです。昨夜、○○県○○市の住宅街でトラックが歩道に突っ込んだ事件で、当時意識不明となっていた二人の女性の死亡が確認されました。現在、警察が当時の…………』
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