…それから

【秀世の告白】

翌日、秀世は根性を見せた。

朝方は、あんまりふらふらしてるから、心配(好奇心とも言う)で、明美と一緒に後をつけたんだけど。

…実はお兄のほうがテンパっていて面白かった。

アホ兄は、秀世を子供扱いすることで、バランスを取ったつもりになっていたのだろう。

秀世に本気で来られたお兄の防御力はダダ甘だった。

だいたい秀世あれよりハイスペックの女なんか、あんたの回りには…そりゃかあさんや南先生が年格好良かったら別だけどさ…。


と、言うことで幸せな?カップルが一組出来上がりましたっ!!


…いつの間にか、拳秀兄さんが隣に出没して「ぐぬぬ」とか言うから…もう少しで大声出してデバガメがバレるところだった。

頭にきたから、深雪姉への結果報告には拳秀兄さんも引き摺っていって、ついでに二人っきりで置いてきた。

…大人なんだからきっとうまく深雪姉を慰めてくれるだろう。

さて…あたしもそろそろ真面目にお兄に迫ろっと!


【文化祭】

満を持してやってきた、我が軽音同好会のステージは予定通り大盛況だった。


ボーカル…お兄

ベース・コーラス…拳秀兄さん

ドラム…パパ

フルート・ピッコロ…南先生

ピアノ・シンセ…秀世


…つまり、当日はギターとサックスが…いなかったんだ。


【空港にて】

「…なんであんたがここにいるのよ」

明美「…こっちのセリフよ!」


ずんずんとかゴゴゴゴ!とか、擬音がはみ出しそうな勢いで明美がすり寄ってきて…あたしのみぞおちに強烈なのが一発。


「く~~」

あんた…拳法使いが一般人に手を出すんじゃないわよ!

明美「…何言ってんのよ…いつの間にか雑誌をお腹回りに入れておいて…」

「…知ってて叩いたくせに…」

ほんとこの子は…ビンタの二~三発は覚悟してたんだよ?こっちはさ…


明美「秋山三里亜様!」

突然、明美が姿勢を正して敬礼を入れる。


明美「明家付きボディーガード、不詳、譚明美、このたび本家より御身のボディーガードを拝命致しました!」


「…なっ!!」


明美「…期間は…一生涯…末永くお願い申し上げます!」


…ほんとあの人たちは…

頭の中に勝ち誇ったように笑う、拳秀兄さんと秀世の姿が浮かんで消えていった。


あの人たちと南先生、それにパパがついてるんだもん。今日の文化祭のコンサートはきっと大成功だろう。


「明美、分かってる?…これはヨーロッパで成り上がっちゃおうって旅だよ?」

明美「…」

「あんた、あたしに引っ張り回されるよ!?」

明美「…承知!」

「…ほんとにもう…」


しょうがねえ…あたしの身体は、こいつにやるか。

…あ、でも…


「あ…、でもさ…あたしの処女はお兄にあげちゃったから」

明美「…は!?」

「だから、もう清くないんだけど良いよね」

明美「…いつ」

「昨日」

明美「それって、優さまとお嬢様がお付き合いはじめた後よね。お嬢様知ってるの!?」

「まっさか~」


あたしだって友情をどぶに捨てるつもりはない。


明美「…お嬢様、あんたに死ぬほど感謝してたんだけど」

「そりゃ一生感謝して欲しいわね」

明美「…ほんとに…あんたは~」


小さな可愛い明美が抱きついてくる。


「まあ、その代わり、日本を離れたらあたしはあんたのものになるよ」

明美「ほんとう?」

「ほんと!」

明美「じゃあ、あたしも一生あんたのものだ!」


「「うんっ!」」


こうして…文化祭のその日、一組の百合カップルが、あわただしくウィーンに旅立っていったのでした。





【エピローグ】

秀世「そう言って旅立ったあなたたちが…なんで高等部の入学式にいるのですか!?」

「いゃあ~三人同じクラスで良かったね~」

明美「正直、穴があったら入りたいよ…三里亜…」

(画像)

https://kakuyomu.jp/users/kansou001/news/16818093081837693431


そして春…いつものように三人娘に春が来る…何故か三人娘に…


「そう言えば…首尾良くお兄と結ばれたみたいだね?桂木秀世かつらぎひでよちゃ~ん?」

秀世「そそそそそんなこと言われても、ごごごまかされませんわ!」

「ちっちっ!駄目だよ~?ネタはお兄から上がってるんだ…すんごく可愛く絶頂するんだって?」

秀世「ゆ…ゆ…優さまの…バカっ!!」

明美「…お嬢様…相変わらず防御力だだ弱ですね」


明秀世みんしゅうせい改め日本名、桂木秀世かつらぎひでよ

秀世は16歳の誕生日にお兄と籍を入れることになっている。だから高等部では最初から「桂木」姓に変えている。もちろん既に非処女。さすがに子供はまだみたいだけど、出来ても両家とも祝福しか無いだろう…一部の拳秀シスコンさんを除いて。


秀世「…で?ほんとうに何が?」

明美「…喧嘩売ったんです、この子」

秀世「…は?」

明美「…ウィーンの指揮者の大御所相手に啖呵を切ったんです『このロリコン野郎!』って」

「…だって…あのバカ明美に…」

秀世「…何となく…理解出来ましたわ…」


おかげでヨーロッパの音楽界は、まれに見る大騒ぎの上、あたしのウィーン音楽院への入学がぶっ飛んだ。

でも味方がいない訳ではない。ママたちはこれ幸いと老害の駆除に乗り出している。

復学もいずれは可能かもしれない…でもさ!


「やっぱりさ…」

明美「うん?」

秀世「はい?」


「あたしの居場所はここ!今度こそお兄を手に入れないと」

秀世「待って待って!」

明美「三里亜の…浮気者~!!」


あたしたちの高校生活みらいは…これからだっ!!


【あとがきに変えて】

いつもこんな拙作をご覧いただきましてありがとうございますm(_ _)m

「あたしの処女はお兄で散らす」中学生編終了です。

…つまり、あまり受けなかったと(笑)。

本作は、旧アカウントでの「恋人を寝取られた俺のところに武装天使が舞い降りた」の変形パージョンでした。何が違うかというとキャラが平和なんですね。

旧作は美幸(漢字が違うんですね)の壮絶な薬物レイプから始まりましたので。

まあそれでも…深雪が一番割りを食ったのかな。

でもまだ拳秀さんがフリーだから。


これで(実質、いつ終っても良い「うちの嫁…」を除いて)仕掛かりは無くなりましたので、新作へのモチベーションを上げにいきたいと存じます。


いつか再度お目に掛かれます日までm(_ _)m





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