ひとつ、約束をした。
恐ろしいほどに鮮やかな白黒の世界
ひとつ、約束をした
今もまだ、戦火の中のことを夢に見る。
昔、永遠に守ると約束した彼女のことを。
「エミリーィィ」
「泣かないで」
「泣かないでいられるものか」
「大丈夫。あなたは強いもの」
「いやだ」
「ふふっ。子供じゃないのだから」
「お前を守ると約束したのに、何だ!この様は。お前を、守れなかったじゃないか」
「ちゃんと私を守ってくれたじゃない。こんなにも傷ついてまで」
「それでもお前は、今まさに」
「あなた!ふぅ……あなた、一つ約束をしましょう」
「ッ……。うぅっ、くぅぅ」
「また、語り合いましょう、今までみたいに。それで、どんな人生だったか教えてね」
「ああ。あぁ、絶対だ!」
「その時は、たっくさん、話を聞かせてね」
ふぅっ…………。
星の下、老いぼれた彼は、戦火の中のことを夢に見る。
「もうすぐ会えるから、少しだけ待っててくれ」
小さな寝言は、満天に溶けていく。
ひとつ、約束をした。 恐ろしいほどに鮮やかな白黒の世界 @Nyutaro
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