第6話 毒物の真実
氷川光一警部とその部下たちは、南山宗吾の死の謎を解くため、南山の弟子である邦方竜紀に話を聞くことにした。彼らは「山谷のディナー」の一室で邦方と対面した。
邦方は落ち着かない様子で椅子に座っていたが、氷川たちが部屋に入ると姿勢を正した。
「邦方さん、私たちは南山さんの死についてお聞きしたいことがあります」と氷川が静かに切り出した。「南山さんのカバンに入っていた新しいフライパンは、実はあなたに渡す予定だったことを知っています。」
邦方の顔が一瞬驚きで曇ったが、すぐに平静を取り戻した。「フライパンですか...。確かに、南山さんは毎年一人の弟子に特別なフライパンを贈る習慣がありました。」
「あなたは南山さんとの関係はどうでしたか?」と田宮が尋ねた。
邦方は深いため息をついた。「南山さんは厳しい師匠でしたが、彼の指導のおかげで多くのことを学びました。彼は色々と厳しい言葉を僕にぶつけてきましたが。それも彼の愛情の一環だと思っています。」
中原が続けて質問した。「その日、南山さんと何か特別な話をしましたか?」
「特にありませんでした。いつものように仕事の話をして、ハンバーグを食べ終わった後、急に彼が苦しみだしたんです」と邦方は答えた。
氷川は邦方の目をじっと見つめながら言った。「南山さんの死因は毒物によるものでした。あなたはそのことについて何か知っていることはありませんか?」
邦方は一瞬目を伏せたが、すぐに顔を上げて答えた。「いいえ、何も知りません。ただ、あの日の出来事が今でも信じられないんです。」
氷川は頷き、邦方に礼を言い、次に警察署に戻ることにした。捜査本部で資料を再度見つめ直していると、鑑識の芝岡雄三が入ってきた。
「氷川さん、大変な発見がありました」と芝岡が興奮気味に言った。「毒物の購入者が判明しました。」
氷川たちは芝岡の言葉に驚き、即座に関心を持った。「それは誰ですか?」と中原が急いで尋ねた。
芝岡は資料を広げながら説明を続けた。「毒物はオンラインで購入されていました。購入者の名前は邦方竜紀でした。更に現場のゴミ箱の中から毒物の瓶が発見され。そこから指紋が採取され、鑑定の結果邦方のものと一致しました。」
その言葉を聞いた瞬間、部屋は一瞬静まり返った。氷川は深い考えに沈みながら、これですべてのピースがはまったことを感じた。
「なるほど、これで邦方が犯人である可能性がほぼ確定になりました」と氷川は冷静に言った。「彼がどのように毒を使ったのか、そしてその動機を確認する必要があります。」
中原が資料を見直しながら提案した。「氷川警部、邦方を重要参考人として警視庁で取り調べをしましょう。」
氷川は頷き、再度捜査の計画を練り直すため、チーム全体で情報を共有し、次の行動に移る準備を始めた。氷川たちは、この重要な手がかりをもとに、事件の全貌を明らかにするために全力を尽くす覚悟を固めた。
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