第23話
前線では既に大規模な衝突が起こっているようでその際に負傷した者たちが出始めているのか、数人が後退している姿が見える。
そんな撤退している負傷者たちを狙ってなのか、上空からは蝙蝠の眷属やウリ科の野菜の眷属たちが襲い掛かっていた。
「もう空中戦力がここまで来ているのか!!」
俺は負傷者を狙って攻撃しようとしているのを確認して走り出した。今回の戦闘が始まってからと今とでは断然に速さが違う俺の走りだったが、それでも負傷者を狙う眷属たちの迎撃には間に合いそうにない。
だがそれでも間に合わせようと走っているが、それでも急降下して負傷者を狙う眷属たちは飛行する。
ああ、これは間に合わない。そう思っていると後方から風を切る音と共に鋭い矢が蝙蝠の眷属の翼に突き刺さる。
蝙蝠の眷属はそれだけでバランスを崩したのか、他の眷属を巻き込むようにして地面に墜落していった。
そして俺はその間に負傷者たちの元までたどり着き、負傷者を狙う眷属たちの迎撃を行なっていく。
「ありがとう、助かった。」
「気にするな。それよりも早く移動するんだ。アイツらはお前たちを狙っているぞ。」
「分かってる。お前ら行くぞ。」
撤退していく負傷者たちを狙わせないように今も狙っている空中戦力の眷属たちを牽制するように地面に落ちている石を投擲していく。
その間に先ほどの負傷者たちは後衛組を守る者たちの元までたどり着いたようだ。それを見て、俺は空中戦力の眷属たちへの牽制を止めて前線へと走る。
そうして前線にたどり着いたがそこは既に多数の眷属たちと選ばれし者たちが混戦状態になっていた。
まだ最前線でもないのにこの混沌具合に最前線ではどうなっているのかと気になるが、俺はすぐ近くの眷属を狙って攻撃を行なっていく。
どうやらここまで来れた眷属たちは比較的弱い眷属のようだ。強い眷属は最前線の選ばれし者たちに拒まれているのだろう。
俺も早く最前線に向かいたいが、そうするとこの場に数多くいる眷属たちを残すことになる為、俺は最前線を目指しながら危なそうな選ばれし者を救って移動していく。
幸い、この場の眷属の大半は俺が全力で殴れば一撃で殺せる程度の強さしかないのは良かった。
これで必殺技を使わないといけない状態だったのならもっと苦戦していただろうし、そんな状況ならとっくに前線を突破した眷属が多数いる状態になっていただろう。
そうして俺が最前線へと向かって行けば行くほどに戦うことになる眷属の数が増えて行き、等々必殺技を使わないと一撃で倒せない眷属も現れ始める。
「どれだけいるんだ!コイツら!!」
流石に身体能力の強化にも使われているだろう進化エネルギーをこんな場所で消耗する訳にも行かず、俺は拳や蹴りを何度も繰り出して眷属を殺して進んで行く。
そんな風に殺して進んで行く俺の姿は味方の選ばれし者たちだけでなく、もちろん敵である侵略者たちの目にも止まる。
そうなると部隊を率いている吸血鬼たちの命令で集中的に狙われることになった。
四方八方から集団で眷属たちが向かってくる。周囲だけじゃなく、空中にすらも警戒しないと行けない状況に焦りを感じるが、このままだと殺されかねないと必殺技の使用も解禁することにした。
的確に一撃では倒せない眷属のみに必殺技を使用して殺し、通常攻撃で倒せる眷属は普通に攻撃して倒す。
段々と身体能力が進化エネルギーの消費で落ちていくのを実感するが、俺の中から湧き上がる進化エネルギーの量が少しずつ増幅されて多くもなっていた。
このまま連続戦闘が続けば、俺はより高揚感が増して行き俺が生み出す進化エネルギーの量は今までの消費よりも増えるだろう。
俺の消耗を狙って行なっているこの戦闘がより俺を強くしているが、どうやら吸血鬼たちにはそれが分からないようだ。
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