第21話

 連続で休むことなく俺は拳を振るい、蹴りを繰り出して男子吸血鬼へと攻撃を行なっていく。


 絶え間ない連続攻撃に男子吸血鬼は喋るのも止めて俺の攻撃を避けるだけになっていた。


 「な、なんなんだ、コイツ!?うぐ、わぁッ!!!」


 無呼吸連打で行なう攻撃をする俺の動きをわざと鈍らせたことで喋り出した結果、男子吸血鬼に隙が生まれて俺の攻撃が命中した。


 土手っ腹に拳を減り込ませた一撃が男子吸血鬼に入り、男子吸血鬼はお腹を抑えて後退ろうとする。


 「逃がさん!!!」


 「うわぁあ!!!離せ!僕の腕を離せよぉお!!!」


 後退りして後退する男子吸血鬼の腕を掴んだ俺は逃がさないように力を込めながら男子吸血鬼を引き寄せる。


 「エナジーナックル!!!」


 「うわぁああああ!!!!!ごぐッ、ぎゃぁあああ!!!!!」


 左手に集まったエネルギーの拳が男子吸血鬼の顔面に突き刺さった。それに手応えがあったと感じた俺はそこから逃がさないように腕を掴む手のひらを握り締めながら空いた手で男子吸血鬼の顔面を殴り続ける。


 もちろん男子吸血鬼も防御しようと顔面を庇うがそうするとガラ空きの胴体の腹部を狙って膝蹴りを行ない、膝が男子吸血鬼のお腹に突き刺さった。


 口から血を吐き出す男子吸血鬼を尻目に俺は防御が外れた顔面を再び狙って【エナジーナックル】を叩き込む。


 鼻の骨がへし折れ、口内から歯が数本飛び散るのが視界に入るが、俺はこれでもまだ死なない男子吸血鬼が死ぬまで攻撃を行なおうとするが、ここまで無呼吸で呼吸をしていない俺の身体は酸素を要求して苦しい状態だった。


 それでも俺は呼吸をしない。もしここで呼吸をすることになれば、無呼吸からの呼吸をした際に出来るだろう隙を狙って逃げられかねないのだから。


 呼吸をしないせいで頭が痛くなってくるのを我慢して拳や蹴りを多用し、隙が出来た瞬間に【エナジーナックル】を叩き込む。


 それを繰り返して2分の時間が経った。ハッキリ言って男子吸血鬼に攻撃を行なってからここまで5分も無呼吸で動いている俺の身体は既に死に掛けていた。


 それでもとこれが最後だと力を振り絞って繰り出した【エナジーナックル】が男子吸血鬼の胸骨を砕いて心臓を破壊する。


 「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、はぁ。」


 身体が酸素を欲して俺は殺した男子吸血鬼の灰が散らばる中で荒い呼吸を繰り返し膝を付いた。


 身体から力が入らない。頭がズキズキと痛む。さっきから呼吸が止められない。苦しい。辛い。死にそうだ。このまま眠りたい。


 先ほどから思考もままならない状態で荒い呼吸が止まない。


 俺がこんな状態でも侵略者からの攻勢が止まないのかと思われたが、先ほどから呼吸するのに必死な俺に侵略者からの攻撃は来ていない。


 聴覚も働かない状態だが、俺は滲む視界を頼りにして周囲を確認すると、侵略者の第二陣のほとんどは全滅しているようだ。


 さっきから膝を付いて動かない俺の元へと数人の選ばれし者が走り寄って来ている。


 それを見て俺は侵略者の2回目の攻勢を乗り越えたのだと理解した。


 「大丈夫ですか!!」


 「はぁ、はぁ、大丈夫、だ。ゆっくりさせてくれ。」


 「救護班の元に連れて行きますから頑張ってください!!」


 俺に話しかけた男の選ばれし者に背負われ、そんな男と俺を守るように護衛する選ばれし者たちに連れられた俺は、後方にある救護所へと運ばれることになる。


 背負われて運ばれている間に呼吸が出来ているお陰で頭に酸素が回って状態も良くなってきた。


 そして俺は救護所の回復系スキルを持つ選ばれし者に身体の状態を確認して貰うのだった。

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