第14話
眷属狼の頭部へと繰り出した拳は眷属狼の頭部を砕くことはなかった。それでもかなりの一撃を受けた眷属狼は反撃に出ることはなくふらふらと身体を揺らしている
「ふん!」
額から血を流し、頭部が一部陥没しているがまだ死んでいない眷属狼にトドメを刺す為に、俺は握り拳を上から下へと真っ直ぐに振り下ろした。
屈伸の動作も入れたこの一撃は頭部の一部が陥没している眷属狼の頭部に耐えることが出来ず、そのまま陥没が激しくなった位置から頭部が潰れて眷属狼は死ぬことになる。
そして俺は次に向かって来るグールと呼ばれていた存在と対峙する前に、先ほどの眷属狼を一撃で倒すにはどうすれば良かったのかを考えるが、そんな少しの間に何か思い付くことはなかった。
「クワセロォォオオ!!!!!」
西洋人風の見た目なのに日本語で喋るグールに疑問が生じて動きが鈍くなった隙にグールの人間よりも断然に長い爪での引っ掻き攻撃が向かって来る。
それを俺は後ろに飛び退くことで躱そうとするが、思ったよりも長かったグールの爪を躱しそびれてしまい、武装の【全身鎧】の胸部の金属装甲にグールの爪の跡が付いてしまう。
他の防具系武装よりは防御力の性能が低いが、それでもただの金属よりは硬度は高いはずだ。
それでもここまでザックリと武装の金属装甲を切り裂くことが出来るのなら、俺はこれからグールの攻撃を積極的に回避しないと武装を貫通して肉体まで攻撃が届くだろう。
「シネェエエ!!!!」
再びグールが接近して長い爪での引っ掻き攻撃を行なってくるが、どんな軌道でグールから攻撃が来るのかを理解すれば、先ほどの様にはならずに済む。
だからと俺はグールの振るう腕の関節部分を掴むと、身体を滑らすようにグールの側面へと移動して、その反動でグールの腕の関節を破壊する。
「イダィィイ!!!!!」
「死ね。エナジーナックル!!!」
初めての必殺技【エナジーナックル】を使用して、俺はグールの頭部へと緑色のエネルギーが集まった拳を振り抜いた。
まるで豆腐を砕くかのような感触で俺の拳はグールの頭を粉砕する。
「ここまで威力があるのか、必殺技。」
必殺技【エナジーナックル】のあまりの威力に思わず唖然としてしまうが、そんな時間はすぐに周りの戦闘音でかき消される。
次に向かってきたのは眷属狼と眷属犬の2匹だ。これにはあまりの威力で使うのは止めようかと考えていた必殺技の使用を止めずに使用することを決めるのに時間は掛からなかった。
先頭は眷属狼、その後ろに眷属犬が続く様にして向かって来ている。その為、俺は先頭を走って向かって来ている眷属狼からトドメを刺すことにした。
「【エナジーナックル】!!」
こちらに飛び掛かり、俺の首元へと噛み付こうとしてくる眷属狼の攻撃を躱す為、俺は体勢を前屈みにしゃがみながら倒して、ジャンプしている眷属狼の懐へと飛び込むと、そのガラ空きな眷属狼の腹部を真上に向かう様に殴り付けた。
緑色のエネルギーを纏う拳の一撃は高く、眷属狼の上半身と下半身は俺の拳が命中した場所を境にして真っ二つになる。
空中を二つに分かれた眷属狼が飛んでいくのを尻目に、俺は二つに分かれた眷属狼を見て驚愕の顔をしている眷属犬へと蹴りを放つ。
姿形は地球の犬と変わらない存在がする驚愕の顔を面白く感じるが、そんなことを気にしないで繰り出された蹴りは眷属犬の顔面へと命中する。
バキンッと骨が折れる音が眷属犬の首や命中した頭部から聞こえる。これで蹴りを受けて倒れ痙攣している眷属犬はあと少しの時間で死ぬだろう。
だが、まだまだ向かって来ている侵略者の軍勢に対する武器として俺は利用することにした。
倒れて痙攣している眷属犬の後ろ足を持つと力の限り身体全体を使用して振り回し、こちらへと向かって来ている侵略者の中でも固まって動いている場所を狙って投擲する。
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