第23話

 集合場所へと着いた私とルイさん。着いた途端、私に対する侮辱が始まった。

「なんだあのチビ?」

「あんなやついたか?」

 などという言葉が聞こえてくる。わざと聞こえるように言っているのだ。

 ルイさんはパンっと両手を叩き説明をする。この場にいた全員がルイさんの方に視線を向ける。

「この者はわずか9歳で魔術師となりました。非常に強くて優秀ですよ?私でも敵わないので。それとあまり油断はなさらないように。.…いいですね?」

 ルイさんが圧をかけるとみんな黙ってしまった。さすがはルイさんである。

「これで侮辱は無くなるでしょう。まぁ、表向きはですがね」

「た、助かります」

 ルイさんは今回の魔術師筆頭で指示役でもあった。つまり団長ポジションである。

「おい、<結界の魔術師>。そいつが新人か?」

「ひっ!」

 威圧的で怖い顔の男性。髪はルイさんと違ってボサボサで跳ねていた。

「ああ、紹介しますねミーシャさん。この人は<風霧の魔術師>エリック・バーンさんです」

「よろしく、ミーシャ。あんたの噂は聞いている。まぁ、下手して死ぬんじゃねぇぞ。……じゃあな」

 こちらが挨拶するまでもなく去ってしまった。怖い顔してるのに根は優しいのかなと私は思った。ルイさんに視線を向けると……。

「ああいうやつですよ。それから……」

 エリックさんの後ろにもう3人控えていた。

「僕はラムド・シエル。すごいね。9歳で魔術師になるなんて」

「私はミルキー・スターよ。よろしくお願いするわね」

「ボクはロヴェル・ノーランド。えーと、よろしくね」

 そしてルイさんが補足した。

「<雷光の魔術師>ランド・シエルさん。<星読みの魔術師>ミルキー・スターさん。<天候の魔術師>ロヴェル・ノーランドさん。以上、エリックさんと私も合わせて5名が肩書きがある魔術師です」

 肩書きが付くのはそう簡単ではない。ある程度の功績を残し、国王に認められなければならないのだ。

「ルイくん。とりあえず星を占ってみたけど大丈夫そうよ。でも、油断は禁物ね」

「ボクも天候を操っといたよ。あと1時間したら魔物に対して部が悪い雨が降るよ」

「ええ、ありがとうございます」

 ルイさんがニコリとお礼を言ったとき、見張をしていた魔術師から伝言が走った。

「魔物が攻めてきた!!」

 レッドムーンテンペストの始まりの合図だった。















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る