第14話

「私はミーシャ様との婚約は反対なのですよ、兄上」

「なぜだ?」

 私に威圧を放ちながら婚約反対を訴える第二王子のロベルト様。そんなロベルト様をアーサー様は睨む。

「ええ。<天才魔術師>とも呼ばれている大魔術師のミーシャ。しかし裏では引きこもり、人見知り、人間不信ときた。私はそんな者が兄上に向いているとは思えません」

 主に私の引きこもりと人見知りが原因だった。しかし、人間不信とは初耳だ。

(もしかして過剰な人見知りがゆえに人間不信だと思われてる?!)

「人間不信ではない。人見知りが激しいのだ」

 アーサー様がすぐに否定する。しかし、すかさずロベルト様が訴える。

「分かりました。人間不信は撤回しましょう。しかし、フードを目深に被るなどどういうことですか?普通ならドレスを着るものではないかと思うのですが」

「しかし、それがミーシャだ。私はそんなミーシャを認めているし、そもそもミーシャはミーシャだ。人見知りなのは仕方がないことだ。なりたくてなっているわけではない」

「……」

(アーサー様……)

 私はアーサー様が言ってくれた『私は私』という言葉に何か心が動かされた。気づけば私は先を立ち上がって言葉を発していた。

「ロ、ロ、ロベルト様からそのような印象に思われてしまったのは私の責任です!ですが、私はアーサー様と短いですが……過ごしてきて本当に好きになってしまったのでひゅ!」

(噛んだ……。しかも過去一しゃべった)

 ゼェハァと息を切らすミーシャ。そんなミーシャをアーサー様は頰を染めて抱き寄せた。ミーシャは驚きはしたが今は息を整えるのに精一杯であった。

「ロベルト。私もミーシャを好いている。それはもう本当に好いている。だから婚約を認めてほしい」

「わ、わ、私も精一杯努力します!」

 ロベルトは威圧をやめて頷いた。

「分かりました。認めましょう。しかし、ミーシャ様、その発言に責任を持ってくださいね」

「は、は、はい!」

 私とアーサー様は互いに微笑みあった。最初は婚約も嫌だったのに今ではアーサー様を本当に好きになっていた。

(こんな私を認めてくれた……)

 私は最高に嬉しかったのだった。

 ……ちなみに国王様は微笑ましく最後まで見守っていたのだった。















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