My heart will always be with you.

@tsuji-dou

The Prologue

第1話 現実にこそ、「物語」が溢れている。




誰もが忘れ得ない記憶を持っている。



それが

本当は「忘れたい記憶」なのか、

いつまでも「忘れたくない記憶」なのかは、

本人のみぞ知る。



省みられることなく忘れ去られる記憶もあれば、

いつまでも心に残り、人生の糧となる記憶もある。

かと思えば、その時々の様々な感情と共に、

自分自身を縛る鎖のように絡みつく記憶も、またある。




「記憶」はその後の経験で様々に彩られ、

一つの「物語」として成長していく。


その「物語」は、人に語られることもあれば、

ひっそりと仕舞いこまれることもあるだろう。


この「物語」は、どこにでもいる、

普通の少年が経験したものだ。


ドラマのような意外性は、ない。

けれど、その本人にとっては、

何事にも換え難いものであり、

今なお心に留めている「物語」である。

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