第9話 会議
わたくしが丁寧に
巨大なトレーラーを見送りながら、わたくしは空に飛び上がると辺りを見回します。
日の出が近いせいか、遠くの空が明るくなり始めていました。雪を被った地表がキラキラと輝いています。
スポットの植生は摩訶不思議です。北海道ほどの大きさなのに、北側は豪雪地帯、南側に行くとジャングルが広がっています。中には砂漠や湿地帯など多種多様な場所が存在します。ちなみに地形をぐっちゃぐちゃに破壊しても、ゆっくりと元に戻るそうですわよ。
そして魔獣たちは生殖で増えているわけではありません。あれはマギコークスを核として創られたクローンのような存在なのです。
以前も言いましたが、マギコークス鉱床も枯れることはありません。掘り尽くした鉱床も、何十年とゆっくり時間をかけて、元に戻ることが確認されています。
さらにスポットにおいて最も不思議なもの、それは「レガシー」と呼ばれるものです。もうぶっちゃけてしまえば「レガシー」は宝箱ですわね。
中にはマギコークスやその他の希少鉱石、あとはMAの武器やパーツ、ジェネレーター、ピュアマギコークスクリスタルなども入っているそうです。わたくしはまだ実物を見たことがありませんので、そのうち取りに行きたいですわね!
ここまで説明すればおわかりですわね……? スポットっていわゆる「ダンジョン」なんですわよねぇ……。
「カルヴォノ・マギストリア」のゲーム内容も、オープンワールド+ロボット+ハクスラ+エロゲー+戦略ゲーみたいなカオスな内容でした。
ちなみに「ハクスラ」とはハック&スラッシュの略で、毎回形の変わるダンジョンに潜ってランダムに配置されている敵を退治してランダムに配置されているアイテムを拾ってくるタイプのゲームです。風来坊がトリコネしたり、ディアボラ風ハーデスしたりするあれですわ。
そんなことを考えつつ、スポットの景色を眺めながら空を飛んでいると、うちのトレーラーが魔獣に襲われていました。おじ様たちが苦戦していましたので、わたくしはきちんと助けておきましたわよ。
これで翠蘭がわたくしが壊したものの修理費を割り引いてくれるといいのですけれど……。
それからは何事もなくトレーラーも、わたくしもおうちに着きました。もう夜が明けてしまっていますが、サッ! とグローシアを格納庫に駐機して、パッ! と自室に帰ればおっけーですわ! 疲れましたわ〜~~~~~!
「ヴィア、少しいいかい?」
「おはようございます、お父様。お早いんですのね」
あとはシュッ! とベッドに潜り込むだけ、というところでお父様に捕まってしまいました。お父様、なぜか少しやつれましたか……?
「ヴィア、また出掛けていたのかい?」
「ごめんなさい、お父様。ちょっと遅くなってしまいましたわ」
「ああ……そうだね。ところで今日はMAは倒していないよね?」
「はい、お父様! MAは倒していませんわ!」
「な、ならよかった……? 最近ハロウェル家に目をつけられてて大変なんだ。ヴィアも気を付けるんだよ……」
「お父様、お疲れなのね……。お仕事頑張ってくださいまし。わたくしはお散歩してカニさんを見てきましたのよ」
うるうるの上目遣いで父を激励しておきます。これが一番効くんです。わたくし知ってますの。
「ん? え? カニ? ……とにかくMAは倒しちゃだめだからね! 見かけたら逃げるんだよ!」
後ろからわたくしに声をかけるお父様に手をふりふりしながら自室へと戻ります。
それにしてもお父様も心労のご様子。やはりアシのつかない国際問題を引き起こせる機体を手に入れることが急務ですわね……。
部屋に入ると、なぜか裸のサラがわたくしの布団に居たことをご報告しておきます。ぺちぺち。
◇────────────────◇
ごきげんよう、皆様。見てください! 見てください! このフォルム!
わたくしのグローシアが黒くなりました! なかなかマットなブラックでよろしいんではなくて?
なお整備班のおじ様方からは、祟られるから勘弁してください! と泣きつかれましたけど、祟られた場合はわたくしが
さらに格納庫の隅で朽ちかけていた、巨大な防弾繊維のシートをマントのように羽織ることで、完全に怪しい不審機になりましたわ! これで当分の間は誤魔化していきましょう。ひゃっほですわー!
「ごきげんよう、夜月の皆様!」
グローシアで岩に偽装された扉を開けて中に入ると、おじ様たちが元気よく返事してくださいました。
『敵襲! 敵襲ー!!』
『なんだあの怪しいMAは!?』
『無駄口を叩くな! 撃てっ! 撃てっ!』
あ、あれ……?
すぐに誤解は解けたので、今回は説得の必要はなくてよかったです。夜月の方を説得すると、なぜかわたくしのお財布にダメージが入るので自重しておきました。わたくしは悪くないと思いますけどね!
「なんだ? また問題を起こしたのか?」
グローシアから降りたわたくしの元に、呆れ顔の翠蘭が現れました。
「今日はわたくし何もしていませんわよ? 少しだけグローシアに国際問題対策を施しただけですのに、このような仕打ちを受けるなんて……」
「お前なんか歩く国際問題みたいなもんだろ?」
「冗談にしても笑えませんわね。で、そちらの方は?」
「お前が会いたがってたんだろうが」
翠蘭の隣には小柄な少女が立っています。あの特徴的なツインテ地雷女子は! あ、あの子は衣装変更NPCではありませんか……!?
「まぁまぁ、初めまして! わたくし、あなたに会いたかったんです。よろしくお願いしますわね。お名前を教えて頂けるかしら?」
「……
「まぁ、未夢さん、可愛らしい名前ね。仲良くしましょう? どこかに二人っきりになれる静かな場所はないかしら?」
「私の時と対応が全然違わないか? お前、今日はMAの仕様を決めに来たんだろ?」
「そうでしたわね。すぐ決めてしまいますのでそこで待っててくださいね、未夢さん」
すぐに大まかではありますが、わたくしのMAの仕様が決まりましたので、わたくしは未夢さんを引き連れて夜月の会議室を借りることにしました。
「では未夢さん。
「……わかった」
「第1回エクソシア家主催、翠蘭の衣装をもっとエロくしよう会議を始めさせて頂きますわ!」
「……エクソシアさん、なかなか見所がある」
「ヴィアで構いませんわ! 未夢さんとはよいお友達になれそうですわね」
未夢さんもうんうんと頷いてくれています。わたくし、初のお友達では!? 連絡先の交換とかしちゃうのかしら? なんだか恥ずかしくなってきちゃいましたわ……。
「いや、本人の前でやるなよ……」
翠嵐が呆れた顔で煙管の煙を吐き出しました。
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