第3話


 そこには、ざっくり言うと、こう書かれていた。


   ◆ ◆ ◆ ◆ 


――セナ・アダストラ様。

 今春、晴れて教師となられたことを、お祝い申し上げます。

  

 さっそくでございますが、我がクラスリー家からも、魔術師を輩出すべく、ニルヴァーナ王立魔法学園に、孫娘のリースリットを入学させたいと考えております。


 何卒、孫娘の家庭教師として、セナ様のご教授を賜りたい。

 

 それなりの報酬と待遇をご用意いたしてお待ちしております。

 


 クラスリー当主 ブルックリン・マルズ・クラスリー

 


 ◆ ◆ ◆ ◆ 


 私は手紙から目を離す。


 

 つまりこれは、3食付き、住み込みの仕事なわけだが。


 しかしながら。


 私はクラスリー家とは交流も無ければ、コネクションも無い。

いったいどこで、私が教師になったという話を聞いたのか。



「――そんなに目立ったことをした覚えは無いんですが」


 心当たりがあるとすれば、教師になる前に、人間が魔神将なるものを倒すのをちょっと手伝ったくらいだけど。


 とりあえず、何はともあれこの門をくぐらなければ。

 

 目の前の大きな門は、ガッチリ閉ざされている。

 高さ2メートルほどの門は、格子状で、よじ登り易そうで、乗り越えれば簡単に越えられそうに思うけれど。

 

 実は、魔法による障壁が展開されていてそう簡単には入れない。


 しかしそこは、魔法の先生の腕の見せ所というもので。


 ちょちょいのちょいで、解呪ディスペルして――。



ジリジリジリジリジリジリジリジリジリジリ――――!!!!




「アッ!?」


 警報が鳴り響き。


 私はこの後、衛兵に捕まりました。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る