夫と姉(継母の連れ子)に罪を着せられた侯爵令嬢の二度目の人生

青空一夏@書籍発売中

プロローグ 

 ゴルボーン王国の初代のマッキンタイヤー公爵は、この国の王女ユーフェミアであった。聖女でもあった彼女は神や動物と対話ができたという。毎年行われる神聖な儀式ではユーフェミアが神に祈りを捧げ、神の言葉を国王や民に伝えた。


 神に愛されていたユーフェミアが生まれた時、美しい七色に光る大粒のオパールを握っていたと伝えられている。そのオパールはマッキンタイヤー公爵家の家宝として受け継がれていたが、五代目のジェラルド・マッキンタイヤー公爵は溺愛する妹の嫁入りに、そのオパールを持たせた。


 妹の名はバイオレッタ・マッキンタイヤー公爵令嬢である。カッシング侯爵家に嫁いだバイオレッタは美しいアナスターシアという娘を生み、世界にひとつしかないと称された七色のオパールは指輪に加工され、アナスターシアに贈られた。その指輪はアナスターシアの成長に合わせて毎年調整され、アナスターシアの中指を飾った。


「可愛いアナスターシア。この指輪をいつも身につけていなさい。きっと、あなたを守ってくれるはずよ」

そのように言い残しバイオレッタが病に冒されこの世を去ったのは、まだアナスターシアが5歳の頃であった。

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