~都会(とかい)のスープ~(『夢時代』より)

天川裕司

~都会(とかい)のスープ~(『夢時代』より)

~都会(とかい)のスープ~

 孤独の信仰(めいろ)が窮屈でもあり、無頓の忍者が巣鴨へ往(い)くのは、幻想(ゆめ)に気走る往来から観てどんどん遠退く無頼に在った。一女(おんな)の躰が男性(おとこ)を惹き付け、身欲(よく)の人間(あいだ)を通して往くのは、幻(ゆめ)に流離う人間(ひと)の定形(かたち)と流離いばかりの窮屈でもある…。

 一幻(ゆめ)の身重に目暗(めくら)が据えられ、精神(こころ)の弄(あそ)びへ準じて行くのは、旧い胴から精神(こころ)が燃え立つ恭しい日の快無(オルガ)であった。虚無と一心(こころ)が精華(はな)に咲くまで旧い夜霧は一幻(ゆめ)を追い駆け、少女(おんな)の躰に身欲(よく)を感じる不動の制覇の快無(オルガ)が添うた。幻想(ゆめ)の余韻(あまり)に酷(こく)が仕上がり旧い一夜(とばり)は向日に在れども、幻想(ゆめ)と精神(こころ)に非情に在るのは都会の主観(あるじ)の貪欲でもある。幻(ゆめ)に先立つ女性(おんな)の勝手が一人(ひと)に観られる活気で在るのは、無己(おのれ)の世界に準じて生け得る非道の生果の上塗りでもある…。…弄(あそ)び疲れた児(こども)の小敗地(アジト)は暗い空気(しとね)に散々色煌(いろめ)き、不頼(ふらい)の長(ちょう)から幾度も頼れる不動の思乱(あらし)を構築して居る…。幻想(ゆめ)と精神(こころ)の独歩(どくほ)の様子は一人(ひと)の深化を妨げながらも、翌朝(あさ)の人間(ひと)から「都会」を退(の)け得る非常の進化に特化していた。精神(こころ)と人形(かたち)が悪魔の手先へ進歩するのに、幻(ゆめ)の概(おお)くを特化に看破(みやぶ)る非情に豊かな「都会」を見合わせ、灰色して居る宙(そら)の身元は身欲(よく)を転じた脚色とも成る…。男女(ひと)の所以(ありか)を小児(こども)に探れど一女(おんな)の身重は特化を見破り、分厚(あつ)い〝手弱(たおや)〟に身欲(よく)を並べる非常に静かな活気を保(も)った…。

      *

 …前に出て発表して居た。場所は何処(どこ)かの大講堂の様(よう)であり体育館の様(よう)であり、ゼミ学生のように居る皆は紺色のブレザーを着て座って居り、妙に冷たそうな白壁を俺に感じさせた。学生(皆)は可成りの数だった。

      *

 無知の温度を体に引くのは「宙(そら)を眺めた虫歯」で在って、白亜(しろ)い鼻輪(はなわ)を夢中に眺めた「未来(みらい)の妃(きさき)」がどんよりして居る…。一心(こころ)の概(おお)くを無機に調べる不毛の撤廃地(アジト)は御託を識(し)らずに、朗(あか)るい窓から陽(よう)が差し込む「夢中の日蓋(ひぶた)」が盆を観るのは、拙い最期の蜻蛉ばかりの「都会」に暮らせる快無(オルガ)であった。男女(ひと)の幸(こう)から根暗(ねくら)が逆上(のぼ)り、幻(ゆめ)の葦から未来が発(た)つのは、精神(こころ)の信途(しんと)の許容を見守る旧い小敗地(アジト)の雪洞だった。どんよりして居る白雲(くも)を空目(そらめ)に「夢中」に羽ばたく狭筵(むしろ)の蝶には、精神(こころ)の体躯が始動を損ねた見様(みよう)の傘下が大きく在った…。朽ち生く躰を未来(さき)へ透せる宙(そら)の丸味(まるみ)は円転(えんてん)しながら、傑作ばかりを一人(ひと)に求める〝商業豊か〟な汚(よご)れが先立ち、明日(あす)の陽日(ようび)を律儀に画せる無用の教致(きょうち)は不断ながらも、見様(みよう)に息衝く旧(ふる)びた進化は無己(むこ)を配(はい)せる快無(オルガ)を識(し)った。白紙(こころ)に打(ぶ)つかる嗣業の連歌は精神(こころ)の煽りを微妙に紐解き、明日(あす)の定形(かたち)に散々束ねる空気(もぬけ)の〝連歌〟を提携させ得た。白亜(しろ)い孤独を幻想(ゆめ)に覆われ〝身元〟を識(し)るのは悪魔の体裁(かたち)で、無言の檻から苦業(くぎょう)に出掛ける古い信途(しんと)は「都会」を識(し)った…。

      *

 …地黒(じぐろ)で眼鏡の、後頭(あたま)の薄禿げた二枚目の男児の様(よう)な奴が、全然上手く行かない俺の発表を聞いて、見て居て、馬鹿にして居た。

 俺の前に、白色天然女、或いは人を見た目で差別し忌み嫌う敬虔な信徒(クリスチャン)の女の

様(よう)な奴が発表をして居たように見えたが(確かに誰か女の子が発表して居た)、そいつさえ俺を小馬鹿にして居る様(よう)だった。

      *

 無告の思乱(あらし)を精神(こころ)に寸止め自己(おのれ)の主観(あるじ)を幻(ゆめ)に観るのは、分厚(あつ)い孤独の展開(ながれ)を紐解く幻影ばかりの奈落であった。幻想(ゆめ)の仄かを〝水面(みなも)〟に映して発声(こえ)の隙間を男子に詠めれば、一女(おんな)の形を美空(みそら)に描ける一幻(ゆめ)の進理(しんり)を堂々交(かわ)せた。分厚(あつ)い気楼を無駄に運べる無心の日(ひ)の掌(て)を片目に準え、幻想(ゆめ)の初歩(はじめ)に子供を観るのは無幻(むげん)に慕える一幻(まぼろし)だった。空想ばかりの一声(こえ)の間際に畔仄(ほとぼ)りばかりを認(みと)める頃には、暗(やみ)の静寂(しじま)に未活(みかつ)を与(あず)ける不遜に寄り付く講義が在った。幻(ゆめ)の夜(とばり)が主観(あるじ)を失くせる予行に外れた一男(おとこ)の勝手は、旧い夜中に文言(ことば)を切らない広い空間(あそび)を設けて在った。幻(ゆめ)の再起へ屈曲して行く精神(こころ)の列(ならび)の素通りだけ観て、遣る気ばかりを空(くう)に並べる〝未活(みかつ)〟に埋れた元気を識(し)った。識(し)った禿冠(かむろ)は堂々巡りの肌を着せ替え「幻想(ゆめ)」に降(お)り立つ一局(ひとつ)の従順(すなお)は無心に併さる要(かなめ)を観た儘、幼稚な成人(おとな)を現代人(ひと)に認める無間奈落(むけんならく)の九尾(しっぽ)を識(し)った…。

 一幻(ゆめ)の哀れが俗に這い出て児(こども)の奥義を真理(しんり)に観るのは、幻想(ゆめ)の柔らを垣間見て生く不当を問わない出鱈目だった…。

 過去の生絆(きずな)を一(いち)に設けて「暗(やみ)」の滴(しずく)を精神(こころ)に観るのは、幻想(ゆめ)の無欲を御託に任せる「旧い叫(たけ)び」の連続だった…。むさ苦しいのは幻(ゆめ)が見得ない現代人(ひと)の一体(からだ)で、幼稚の音頭を活き活き取り巻く不当の精神病(やまい)を皆が温存(あたた)め、斬新(あらた)な人への幼稚の両刃(やいば)を事毎正しく通して来るのは、現代(いま)を透して現行(いま)を載せない不動の主観(あるじ)の連続だった…。―――神秘(ふしぎ)を取り巻く蜃気の意味には〝無効の実力(ちから)〟が暫時頼れて、現代人(ひと)の体裁(かたち)を一人(ひと)に観(み)せない旧い孤独を連続斬りする…。余裕(ゆとり)を酔わせる空気(しとね)の両刃(やいば)は未知の精神(こころ)を有耶無耶にもして、暑い日照りを未憶(みおく)に統(たば)ねる疲労に豊穣(ゆたか)な詩吟の路(みち)には、小生(おいき)が活き得る未知の残香(かおり)の無駄を省ける快無(オルガ)であった…。小人(こびと)の群れには悪意が目立たず旧い深化が哀れを歪めて、分厚(あつ)い界(かぎり)が未憶(みおく)へ依るのは「不動」に基づく余韻であった。〝静寂(しじま)〟と人群(むれ)とが生気を与(あず)けて宙(そら)の真中(まなか)を駆けて往く頃、「俺」を堕(おと)した数多の大蛇(へび)には一幻(ゆめ)の主宴(うたげ)が真平(まった)り在った。幻想(ゆめ)と一心(こころ)の微動の宿痾は一心(こころ)の所以(ありか)を充分報せて、〝泣き寝入り〟に在る個動(こどう)の幾多を放心から得て巣立って行った…。蒼い肌衣(ころも)が無知を見限る不応(ふおう)の夜空を欲する果(さ)きには、幾度も幾度も〝未知〟を相(あい)する無機の指標(しるべ)が軒並み空転(ころ)げて、無心を衒った人間(ひと)の連歌は〝意味〟を忘れて精神(こころ)を携え、白亜(しろ)い空気(しとね)に未来(さき)を詠み取る一幻(ゆめ)の斬新(あらた)を構築して居た…。

 成果(ゆめのさき)から魅了を相(あい)する吝嗇(せこ)い関係(あいだ)は現代人(ひと)との間で、俺の視(め)に発(た)つ無機の諸刃(やいば)は怜悧(つめ)たい夜露を凌いで行った。精神(こころ)の過憶(かおく)を現代人(ひと)と乖離(はな)して独人(ひと)の奥義(おうぎ)を凌いで生くのは、幻(ゆめ)の無知から無頼を気取れる孤高の遊歩に相対(そうたい)され得る…。未行(みこう)の悶絶(なやみ)を具体(からだ)に紐解き青空(そら)に渡れる不動の賛否は、神秘(ふしぎ)に埋れて不思議を気遣う精華(はな)の〝遊歩〟の演説だった…。

 紫色した精神(こころ)の〝遊歩〟は意味を報さず付随を取り巻き、…漆黒(くろ)い案山子を生屍人(ゾンビ)に見出す不通の主観(あるじ)を背後に飼った…。過ぎた記憶は一人(ひと)の歩を観てすらすら零され、天(そら)の成果(かなた)を悠々遊泳(およ)げる不断の八頭(おろち)を充分飼った。…空転(ころ)がり続ける〝一重(ひとえ)の自主(あるじ)〟は漆黒(くろ)い自然(あるじ)を背中へ置き遣り、未開に塞がる「孤独の八光(おろち)」を精神(こころ)に暈せる主観(あるじ)を識(し)った。白亜(しろ)い孤独を孤独で失くせる〝水と霊との…〟嗣業の裏では、幻想(ゆめ)の文言(ことば)が気憶(きおく)を辿れる旧い主観(あるじ)を見限り始めた…―――。

 透明色した幾つの過酷は人間(ひと)と現行(いま)とを〝善し〟と観ながら〝孤独の幻想(ゆめ)〟へと散々化け得る未知の残香(かおり)に接触して活き、「価値が無い…」のを価値に観て生く不装(ふそう)の信仰(めいろ)を大事に保(も)った―――。精神(こころ)の人陰(かげ)から未屈(みくつ)が蔓延る無五の哀れを散々活き出せ、無己(おのれ)の両刃(やいば)は頑なから成る幻覚(ゆめ)の制覇を狙って在った。新体(からだ)も新形(かたち)も幻想(ゆめ)に追わせる〝旧(ふる)びた独気(オーラ)〟は没我を生やして、〝行方知れず〟の故意の路(みち)から拙い「論破」を明日(あす)に従え、鼓動を追わせる二性(ふたつ)の夜風は二心(にしん)に揺らげる独気(オーラ)を噛んだ。幻(ゆめ)の一心(こころ)を無知に負わせる扶桑(ふそう)の快無(オルガ)は撤退して活き、冷めた幻(ゆめ)から軌道を発(た)たせる不審ばかりは文言(ことば)を擡げて、一重(ひとえ)の四季(きせつ)に葦を奏でた無為の機節(きせつ)は御託を知り付け、幻(ゆめ)の一女(おんな)に個動(こどう)が鳴くのは余裕(ゆとり)の無いまま鮮やかだった…。苦労症(くろうしょう)から密(ひそか)を奏でる分厚(あつ)い界(かぎり)は矛盾を報され、幻想(ゆめ)の最後に導く〝折り〟には「未来」を転ずる安心(こころ)が在った…。一幻(ゆめ)の文言(ことば)に葦が生くのは身欲(よく)の寝転ぶ瞬間(あいだ)であった…。

      *

 …その前任者(色白娘か痘痕娘)が発表に使って居たDVDを、俺も当り前のように使う。それが無ければ駄目だと言う風(ふう)にその発表は出来て居た。

 マイクは、俺が都島小学校に居る頃に見た、校長が朝礼の時やなんかに持って居た、水色やオレンジ色していた、あのマイクであって、俺は駄目々々ながらも、そのマイクを丁寧に、大事に使った。

 持参したDVDを皆の前で付ける時、AVとか出ないか!?と、少し冷や冷やもんだった。まぁ真面に映った。

      *

 …所構わず常緑(みどり)の諸星(ほし)から意固地を掛け得る児(こども)の自覚(かくご)の〝檻〟には、個動(うごき)が名高い分厚(あつ)い四季(きせつ)を順折り並べて共存して居た…。幻(ゆめ)の無垢から宙(そら)が表れ「旧い小人」が人社(やしろ)を退(の)く時、精神(こころ)の哀れが傀儡(どうぐ)へ懐ける無頼の主観(あるじ)は何処(どこ)にも留(とま)らず、旧い奥義(おくぎ)は〝水面(みなも)〟を忘れる不装(ふそう)に寄り添う独語(かたり)を摘んだ。一女(おんな)の軌跡を後光(ひかり)に見出せ、幻(ゆめ)の一心(こころ)に無垢を観るのは、純粋成るまま扶養を疾走(はし)らす不純の生気の上辺(うわべ)に名高く、漆黒(くろ)い独理(ドグマ)を許容に与(あず)ける意味を失くした不活(ふかつ)の〝遊歩〟は、信心ばかりを大目に観て生く無根の奥義(おうぎ)に秘(ひっそ)りして居た…。文言(ことば)の界(かぎり)を仕手に惑わす古い夜霧は向日に輝き、鈍(くも)れる両眼(まなこ)は男女(ひと)へ頼らず不為(ふい)に片付く神秘を摘み取り、明日(あす)の孤独を一体(からだ)に表し幻想(ゆめ)の進理(しんり)を真面に解(と)くのは、精神(こころ)の孤独を無機に絶やせる旧い定規に明らかだった。児(こども)の宿へと人社(やしろ)を傾け「宙(そら)」の居場所をどんより観たのは、絶えて久しい悪意の独学(まなび)の〝幻(ゆめ)と霊との…〟不頼(ふらい)であった。孤独の諸刃(やいば)を差し向けながらも不幸に弄(あそ)べるmonkを述べれば、白亜(しろ)く輝く精神(こころ)の隙には〝身重〟の両刃(やいば)が片々(かたかた)鳴った。所構わず嫌わず優しく、幻想(ゆめ)に擡げる和(やわら)の情緒は上気を差し止め身勝手ながらに、白亜(しろ)い両刃(やいば)を「不出来」に相(あい)した「女性(おんな)の言語」を凡庸(ふつう)に観て居る―――。―――、幻(ゆめ)と霊とに身筈(みはず)を調え暗(やみ)に迫れる主観(あるじ)の文言(ことば)は、幻(ゆめ)の実益(みのり)に最足(さいた)る表情(かお)した固有の思乱(あらし)に通覧(つうらん)して居る…。個々に岐(わか)れる気楼の小敗地(アジト)は無悔(むかい)の言語に擾乱せられて、孤独を苛む「不改(ふかい)」の言語は漆黒(くろ)い涼風(かぜ)から感覚(いしき)を吐いた。一女(おんな)の気色に身重が乗り生く「不幸続き」の悪魔の言語は、暗(やみ)を相(あい)して暗(やみ)へ尽きない不応の論者が切羽を詠み取り、不倫に感覚(いしき)が片付けられ生く不遇の対処は久しく削られ、一人(ひと)の孤独が宙(そら)へ寝そべる不倫の刹那は鮮やかだった…。一男(おとこ)の表情(かお)から元気が統(たば)ねる「無効の四季(きせつ)」は成果(かなた)を知り得ず、不幸を通して不論(ふろん)を愛する人間(ひと)の翳りは〝見た儘〟だけ観て、分厚(あつ)い展開(ながれ)を過憶(かおく)に照らせる浮浪に堕(お)とせる陰府路(よみぢ)の〝思乱(あらし)〟は、…過去を識(し)るまま過敏を保(も)ち出し、幻(ゆめ)の途次へとその眼(め)を懐かす「不浪(ふろう)の主観(あるじ)」へ信仰して居た。無機を眺める無知の問いには、不論の論破を素酷(そっく)り説いた…。個体と気体に文言(ことば)を覚られ無為の主宴(うたげ)に人間(ひと)が載るのは、一幻(ゆめ)の花火を孤高に宿せる不為(ふい)の独理(ドグマ)にその実(み)を安(やす)めて、都会の上気に幻(ゆめ)を忘れる不穏の孤独を一緒に持った。過去に纏わる不乱の孤独を男女(ひと)の常盤に逆生(もど)せる暗(やみ)には、不断の形を充分揮える人見(ひとみ)の豪華の馴れ初めだった。白亜(しろ)い泡沫(あぶく)がぎこちない儘〝夜半(よわ)〟に気取れる不穏の所以(ありか)は、片言ばかりを具(つぶさ)に振り撒く幻想(ゆめ)の八光(おろち)の連なりでもある。茶色い人煙(けむり)に土豪が這い生き固陋の迷路へ解け込む間際も、一幻(ゆめ)の孤独はぎこちない儘〝不乱〟に纏わる優雅を以(もっ)た。明日(あす)の流行(ながれ)を都会に差し行く一つ覚えの律儀はともかく、一女(おんな)の気色を密(みつ)に問うまま一人(ひと)の自覚(かくご)を未然に張(ば)ら撒く「不等の音頭」を間近に採った。女体(おんな)の野陰(のかげ)で俺が傷付き一幻(ゆめ)の旧巣(ふるす)に活気を観るのは…、一精(こころ)の一重(ひとえ)に暗間(やみま)を知らない不当の正義の表れだった。一幻(ゆめ)の八頭(おろち)を身塵(みじん)に紐解き陽(よう)の刹那を奈落へ褒めるは、無期限から成る孤独の長さの一幻(ゆめ)の独語(かたり)に偶然合った。一男(おとこ)の視野から界(かぎり)が拡まり八又(やまた)の大蛇(おろち)が光に問うのは、不為に拡がる〝正義〟の諸刃(やいば)と孤高の人体(からだ)に解(と)け込む一形(かたち)の、一幻(ゆめ)と現行(いま)との奈落の両腕(かいな)の未然に解(と)け得る習わしだった。生命(いのち)の故国に習わしさえ失(き)え、天(そら)へ逆上(のぼ)れる不感の躰は、一(いち)にも三(さん)にも幻想(ゆめ)を保(も)たない〝不穏〟に駆られた幽体だった。

 過去の体温(ぬくみ)を情緒に秘(ひ)め堕ち、未来(さき)の独理(ドグマ)を孤高に呼ぶのは、自己(おのれ)を導く夜半(よわ)の定形(かたち)の〝魅惑〟を講じた露体(ろたい)であった。白亜(しろ)い気色に〝幾度〟が生くうち夜の生気は悶々しながら、幻想(ゆめ)の泡沫(あぶく)に女性(おんな)が乗り生く孤独の〝正義〟を霧散(むさん)に吐(は)いた。葦に活き得る「児(こども)」の事実が孤高を取り上げ意味を吐(は)く内、孤独の両腕(かいな)は無重を気遣う人間(ひと)と刹那の郷里を保(も)った。緩い孤独は躰を仕上げて孤踏(ことう)と信仰(めいろ)に仕上がりながらも、白亜(しろ)い精気に夜霧(きり)を観て生く無名の優雅を密かに待った。老い生く宙(そら)には孤独が片付き不明の主観(あるじ)が無戒(むかい)に生くのは、不意に活き得る無音の論破の幻覚(ゆめ)に片付く人質ばかりで、私闘の幻(ゆめ)から細(ほっそ)り生くのは独創(こごと)に絡めた論破であった。孤独の日々へと〝無頼〟が生くのは宙(そら)の相図(あいず)の無進(むしん)に訪れ、明日(あす)の一形(かたち)を一定(さだめ)に看破(みやぶ)る無穏(むおん)の上手(じょうず)の労いでもあり、一女(おんな)の上気を一周して生く不埒に尽き交(か)う〝男女(ひと)の輪廻(ロンド)〟は、…一幻(ゆめ)の御託を並べ尽き得る不活(ふかつ)の同調(シンパ)に同調(どうちょう)して居た。男女(ひと)の主観(あるじ)は独談(どくだん)して活き「脆い小舟」を大河(たいが)へ遣っても、或いは身許に無己(おのれ)を引き生く無踏(むとう)の要(かなめ)を未来(さき)へと識(し)った…。独創(こごと)の独自が持前(じまえ)の艶(あで)から身屈(みくつ)を詠むのは、不毛に熟(う)れ生く人形(かたち)の人象(むれ)での故意に解(と)け生く独理(ドグマ)であった。幻想(ゆめ)の未活(みかつ)と独理(ドグマ)と夜霧(きり)では女性(おんな)の豪語が未来(さき)を見て採り、幻想(ゆめ)の哀れを未覚(みかく)に構える不毛の輪廻(ロンド)と倖(こう)に観て居た…。男性(おとこ)の不妊が〝上気〟を従え不意に身構(かま)える八頭(おろち)を観た儘、幻想(ゆめ)の〝解(と)け〟には未曾有に伴う「八又(やまた)の大蛇(おろち)」が概(おお)きく在った。人間(ひと)の頼みが宙(そら)を先見(さきみ)て「幻(ゆめ)の夜半(よわ)」から私源(しげん)を採るのは、不毛の孤憶(こおく)に未練が断たれる人間(ひと)の生憶(きおく)の相乗にも在る。無知を餌食に無心が開かれ、宙(そら)の緩みは不沈に在った…。人間(ひと)の孤憶(こおく)を体現するうち〝一人(ひと)〟の概(おお)くは無限を投げ掛け、人間(ひと)の塊(たまり)を軒端へ与(あず)ける幻(ゆめ)の空転(まろび)に相応して居る…。不頼(ふらい)の陽(よう)から日々に感ける文言(ことば)の多くは伽藍を問い掛け、無知に活き生く不遜の真理(しんり)は無暗(むやみ)に間違う〝正義〟を買った…。無沈(むちん)の〝日々〟には上気が片付き不頼の寡が生果を得る頃、無頼を透した憂き世の犠牲(えじき)に一人(ひと)の軽身(かるみ)を程好く識(し)った。宙(そら)の身元は宙(そら)へと還る…。孤独の活気は横行して生く。不倖を見積もる不敵の両刃(やいば)は情事(こと)に看破(みやぶ)る煩悶さえ識(し)り、一男(おとこ)と女性(おんな)の「奈落の底」から不頼を切り裂く情緒(こころ)を準え、無意味が重なり無意識(いしき)が紐解く〝水と霊との〟過録(かろく)を保(も)った。一幻(ゆめ)の言霊(こだま)は漆黒(くろ)に解(と)け生く既応(きおう)の信仰(めいろ)へ散々解(と)け出せ、男女(ひと)と一人(ひと)とが孤高を織り込む無意(むい)に統(たば)ねる無遊(むゆう)の弄(あそ)びは、〝水と霊との…〟感覚(いしき)に駈け出す不穏の進理(しんり)を上手(じょうず)に盛(も)った…。夜半(よわ)の故郷(くに)から夢限(むげん)を織り成す不応(ふおう)の自然(あるじ)に真面を見出せ、俺の界(かぎり)は身屈(みくつ)を信じる「不毛と主観(あるじ)」を上手(じょうず)に保(も)った。漆黒(くろ)い角(かど)から人見(ひとみ)が撒かれて「一人(ひと)の信仰(めいろ)」に労苦が死ぬには、一女(おんな)に蔓延る〝理解〟の目下(ふもと)が相乗効果を費やす頃迄、精神(こころ)と一心(こころ)を無為に設ける不穏の居場所が必要でもある…。一女(おんな)の空虚は宙(そら)を見上げて、男性(おとこ)の様子を仰ぎ始めた。―――一幻(ゆめ)の白衣(ころも)が身欲(よく)を捨て去り精神(こころ)の「度肝」を向日に見る頃、一幻(ゆめ)に纏わる無心の多くは呼吸を伴う調子を挙げた。孤高の自衛(まもり)を基調として生く旧い自覚(かくご)の旧巣(ふるす)の頭上(うえ)では、一人(ひと)の生命(いのち)が永久(とわ)を活き得る幻想(ゆめ)と桜の挽歌が在って、精神(こころ)に識(し)り生く〝往来〟ばかりは〝素人気取り〟に横着だった。茶色い景色が未有(みゆう)を擡げて幻(ゆめ)の人頭(どくろ)を孤独へ返すは、偏に界(かぎり)を次来(じらい)に設ける人間(ひと)の小躍(おどり)に従順(すなお)であった。

      *

 発表内容は、何か、江戸時代頃の或る物語に就いての論考で、北斗の拳の内容が何故か出て来て、ラオウとケンシロウの一騎打ちから始まるような、十四~十五巻辺りの話を追いつつ、又、江戸時代或いは幕末頃である事から、るろうに剣心の内容もちらほら出て来て、〝昔の遊びは何だと思います?〟と俺が問うと〝雙六(すごろく)〟とか〝隠れん坊(ぼ)〟とか、それらしい遊びの名前がちらほら挙がったが、俺は自分でそれを言わねば成らなく言い直して〝昔の遊びは、そう、テレビなんかは無かったので、雙六も在ったし、隠れん坊も在ったし…〟と始めた。

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 精神(こころ)の共鳴(さけび)に自然(あるじ)が顕れ、暗(やみ)の許容(うち)へと具体(からだ)が生くのは、幻想(ゆめ)と一心(こころ)と現行(いま)を流離う無刻(むこく)の自主(あるじ)に精通して居る…。個刻(とき)を変じる僅かの空(すき)から女性(おんな)の列(ならび)が段々表れ、群青色した暗空(そら)の両眼(まなこ)で男性(おとこ)の行儀は洗われ始めた。白亜(しろ)い一夜(とばり)の温度の空(すき)から幻想(ゆめ)の返りに逆上(のぼ)る気色は、幻(ゆめ)の未覚(みかく)に堂々巡りの呼吸に伴う狭筵(むしろ)の様子に、「都会」の一重(ひとえ)を隈なく求める夜半(よわ)の途切りに陰通(いんつう)して生く…。無為の精神(こころ)に未完(みじゅく)が逆上(のぼ)るは非常を徹した無刻(むこく)の柔味(やわみ)で、非情に手向(たむ)かう主観(あるじ)の躰を〝水と霊との…〟主観(あるじ)に放(ほ)かすは、幻想(ゆめ)の一界(かぎり)で丁度間も無い「人間(ひと)の展開(ながれ)」に滔通(とうつう)して居た。白亜(しろ)い間延びに「気配」が殺され一人(ひと)と「水」との相(そう)が立つのは、幻(ゆめ)の旧(むかし)に遠く見て居た娘の凌駕に相殺され得る…。披露に名立足(なだた)る魅惑の坩堝に嗣業が降りるは、旧来(むかしから)観た人間(ひと)の主観(あるじ)の到底越え得ぬ空壁(かべ)の髄まで、幻想(ゆめ)の未完(みじゅく)と「通り」を好くする朝の木の葉と相乗している…。

 精神(こころ)に名立足る幻(ゆめ)の言語は無心の概(おお)くを一人(ひと)にお浚い、明日(あす)の具体(からだ)を暗(やみ)に愛する一夜(ひとよ)の限りを稀有に観て居た。―――幻(ゆめ)と孤独に孤高を装い近付く「スープ」は、都会に導く人間(ひと)の哀れを「無心」に片付け呑まず食わずで、幻覚(ゆめ)の床(とこ)から眺める朝陽を無己(おのれ)の正体(からだ)へ放り置くのは、拙い気色に幻想(ゆめ)を彩(と)れ得る未想(みそう)の理性(はどめ)に久しく付いた。古豪の主観(あるじ)が根底から失(き)え幻想(ゆめ)の暴乱(あらし)と久しく成るのは、幻覚(ゆめ)と理性(はどめ)を帳尻合せる精神(こころ)の一夜(ひとよ)に聡明とも成る…。分厚(あつ)い信義(しんぎ)を初春(はる)に零せる「独人(ひとり)芝居…」の空気(もぬけ)の暗(やみ)には、一人(ひと)の囃(はやし)が太鼓を叩ける未聞(みぶん)の調子を幻想(ゆめ)に流離え、明日(あす)の「調度」を自ず懐ける深い思乱(あらし)に精通して居た…。幻想(ゆめ)と一心(こころ)を無碍に懐ける一人(ひと)の御託は「茶色」を見出せ、分厚(あつ)い展開(ながれ)を孤独に発(た)たせる「不毛の倫理」は健やか成れども、思春(はる)の風覧(あらし)は時を跳ばせる「見積もり仕立て」の目先を宿させ、…言葉限りの俺の思惑(こころ)を自由に相(あい)せる吃(ども)りと成った…。幻想(ゆめ)と既憶(きおくは文言(ことば)を辿れる「風来坊」から未完(みじゅく)を見出し、一通・相場(とおりそうば)の連想(おもい)の乱(あらし)を床(とこ)に伏せさせ活命(いのち)を按じて、若い人煙(けむり)を髑髏へ懐ける幻想(ゆめ)の返りは一体(からだ)を紐解き、人間(ひと)と経過を目の当たりとする身欲(よく)の改致(かいち)を順繰り識(し)った。一幻(ゆめ)と既憶(きおく)を個動(こどう)に紛らす一人(ひと)の旧さは未覚(みかく)を信じて、明日(あす)と今日とを夜半(よわ)に匿う、人間(ひと)と「念じ」を世波(よわ)に見詰める…、一人(ひと)に失くせる無頼の調子は精神(こころ)の独理(ドグマ)を手懐けながらに、暗(やみ)の九尾(しっぽ)を矛盾に相(あい)せる不相(ふそう)の間際を信じて待った…。枯渇に脚色取(いろど)る未亡を楠(くす)ねた夜半(よわ)の頃から、明日(あす)の元気へ始動を重ねる「暗(やみ)の吐息」は段々透り、安い樞(しかけ)を現代人(ひと)に見詰める不座化(ふざけ)た枯渇は「スープ」を呑み干し、明日(あす)と今日との精神(こころ)の屍(かばね)を見積もり仕立てに案出して居た。京(きょう)の町から宙(そら)を統(たば)ねる「硝子一箱(ガラスケース)」の余韻)の流行(ながれ)は、既憶(きおく)に準ずる悪魔の絶やしはと孤高に導く純度を素思(すおも)い、明日(あす)の計(はかり)に無純(むじゅん)を仕掛ける〝世迷(よまい)〟の総理(すべて)を矛盾に賭した…。無己(おのれ)の美声(こえ)から不意を突かれる旧い〝夜半(よわ)〟には脆差(もろさ)が彫られて、分厚(あつ)い「日々」から精神(こころ)が漏れ行く死闘の合図は無穏(むおん)成れども、稀有に流行(なが)れる不毛の主宴(うたげ)は魅惑を通して自然(あるじ)を身に付け、一夜(ひとよ)限りの無頼の主観(あるじ)に人間(ひと)を寄らせず穏やかだった。――――――空虚を相(あい)して空野(くうや)を保(も)たない不毛の合図に幻想(げんそう)だけ活き、一人(ひと)の霞に軒端を探せる下(しも)の翳りは自由に在った…。労苦に置き去る一人(ひと)の無闇は〝向日の調子〟を手短(てみじか)にも採り、明日(あす)の発声(こえ)から人間(ひと)を象る「不毛の合図」を沌々(とんとん)続けて、名誉に轟く「一人(ひと)の道理」は孤高の隅まで朗(あか)るく成れた。無謀の思乱(あらし)に具体(からだ)が静まり、不意に活き生く「脆差(もろさ)」の総ては、〝水と霊との所以(ありか)…〟を捜せる一人(ひと)の微温味(ぬるみ)に好(よ)く好(よ)く漲り、分厚(あつ)い途切りを不倖に晒せる不安仕立ての淀味(よどみ)を識(し)った…。幻想(ゆめ)の調子(シェフ)からコックが活き出し〝孤高に見積もるスープ〟は未(いま)でも、淡い四季(きせつ)へ羽ばたきながらで未来(さき)の暴徒を刻んで行った。「スープ」の人波(なみ)から波紋が生き出せ不乱の論議は空(くう)を切れども、一体(からだ)の四隅(すみ)から未然を失くせる不快の論破は論歩(ろんぽ)を弛(たゆ)ませ、五月蠅(あわ)い彼処を空(そら)へ戻せる不浪(ふろう)の「淡路」をぽつんと突いた…。一人(ひと)の文言(ことば)を何気に自認(みと)める白亜(しろ)い背中を朝に認(みと)める一女(おんな)の文句は堂々永らえ、…幻(ゆめ)の景色を重んじ観て居る不動の揺らぎは精神(こころ)を静めて、幻想(ゆめ)の未屈(みくつ)を理屈に沿わせる不論(ふろん)の小敗地(アジト)は一杯にも成る…。

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 …発表は、始めに馬鹿にされて居た事に分るように、全く出来ずに(トーキングペーパーを見ずに発表をして居たから)、聞く皆は退屈し始め、他の事なんかをし始め、注意を逸らし、俺は半ば孤立した形で居た。発表を見守る、このクラスを受け持つ担任は西田房子だった。房子の若さがクラスの中で、俺から見て房子の向こう側から差す陽(ひ)の光に少々逆光に映った儘、彼女の視線(め)は前を向き、学生皆の方へ向いて居り、俺は妙に怜悧(つめたさ)を彼女に感じた上で、房子を通してこのクラスに、「食(は)み子に成っては困る」と言う恐怖感のようなものを房子と皆へ対して感じて居た。

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 無刻(とき)を忘れた指導の概(おお)くは男女(ひと)の孤独を空(そら)に見積もり、明日(あす)の孤独と現行(いま)の孤独を不装(ふそう)に懐かせ信義(しんぎ)を辿り、「母校」を想わす白亜(しろ)い許容(うち)には幻(ゆめ)の魅惑をぽつんと識(し)った。余命(いのち)が片付く不明の水面(みなも)は「都会」の定理(じょうり)を不意と跳び越え、無意識(いしき)へ列(なら)べた旧(むかし)の既憶(きおく)と不応に並んだ自然(あるじ)の姿勢(すがた)を、心成らずに恰好(かたち)を見付けて、無頼を相(あい)して形容して来る…。幻想(ゆめ)と初歩(いろは)の諸行の残骸(むくろ)は凪の補足を自然(あるじ)へ囲ませ、無重に傾く一重(ひとえ)の主観(あるじ)を〝細切れ〟成るまま具体(からだ)へ侍らせ、幻(ゆめ)の無垢から〝間延び〟が講じる外法諸行(アウトレイジ)の素行を保(たも)たせ、分厚(あつ)い流行(ながれ)を虚無に盛(さか)せる浮浪の主観(あるじ)を主従に遣った。意味を観せない自然(あるじ)の掟は人の規定(さだめ)を規律(おきて)と識(し)りつつ、無言を相(あい)して無言に逆らう体質凌ぎを順々感じて、暗(やみ)の許容(うち)から無法を補う外法諸行(アウトレイジ)を盛(さか)りに切った。細切れ成るまま人間(ひと)の哀れは白亜(しろ)い気色を目の当たりにして、扱い辛さを微妙に魅せ得る旧い女子から主観(あるじ)を買った…。児(こども)の体重(おもさ)を宙(そら)へ投げつつ旧い自然(あるじ)の孤独の目下(すそ)では、一人(ひと)の正体(からだ)が小敗地(アジト)を知らない浮浪の〝男児〟をおっとり視(め)に付け、幻想(ゆめ)の速水を過去へ懐ける「同化の音頭」を頻りに執った。幻想(ゆめ)に見紛う孤独の主観(あるじ)は暗黒ばかりを人間(ひと)へ準え、旧来(むかしから)観る〝痘痕の過去〟には見様見真似の空虚が拡がり、最果(は)てを識(し)らない不倖の日々には空気(もぬけ)の思乱(あらし)が不乱に咲いた。孤独に連なる不穏の〝列(ならび)〟は無憶(むおく)に蔓延る幻想(ゆめ)を保(も)たずに、嗣業に名高い朝陽の揺蕩(ゆらぎ)が意味を問い掛け気楼を待たずに、一人(ひと)に差し込む今日の陽光(ひかり)を私運(さだめ)に求める不安を識(し)った。朝陽の流行(ながれ)に不気味を報され不幸を眼(め)にした八頭(おろち)の最期は、白髪(かみ)を撫で生く凪風(かぜ)の如くに人間(ひと)の最果(さき)へとずんずん活き付け、精神(こころ)と躰を矢庭に仕立てる「向日の空」での不生(ふしょう)を知った。一女(おんな)の柔手(やわで)は夢中に隠れて男性(おとこ)の身を跳ぶ蠅に報われ、幻(ゆめ)の空気(しとね)に心身(からだ)を任せる旧(ふる)びた傀儡(どうぐ)を孤高に保(も)たされ、暗(やみ)の主観(あるじ)は何処(どこ)へ行くのも、魅惑の人陰(かげ)からその実(み)を描(か)いた。独創(こごと)の上辺を躰に見せ付け幻想(ゆめ)と〝身重〟の童謡(うた)を知る時、幻想(ゆめ)の残骸(むくろ)は過去を断てない「始動」の所以(ありか)を朗(あか)るみへと引く…。都会の真中(まなか)を活(いき)んで闊歩(ある)ける〝夜半(よわ)の鈍(くもり)〟は俄かに空転(ころ)がり、明日(あす)の労苦を見定(さだ)める岐途(きと)から無機に煩う信心(こころ)を識(し)った。無能に亘(わた)れる不夜の主観(あるじ)を無己(おのれ)の巨躯から大きく遠退け、幻想(ゆめ)の宮(みやこ)を死地に与(あず)ける固陋の欠伸は日々を遠ざけ、分厚(あつ)い空壁(かべ)から欺瞞を持ち出す女性(おんな)の夕日は淑やかだった…。既憶(きおく)の男性(おとこ)と一夜(いちや)を過せる不能の主観(あるじ)は「御託」を遠ざけ、白亜(しろ)い祈りを巨躯へ手向ける不動の私運(はこび)は視座を諦め、無刻(むこく)の郷地(きょうち)に散々纏める一人(ひと)の自由は人群(むれ)を片付け、やがて概(おお)きな「白亜(はくあ)の文字」には〝その実(み)〟を画せる千夜(とばり)を保(も)った…。夜の許容(うち)から陰府(よみ)を見出せ自己(おのれ)の巨躯から精神(こころ)を飼うのは、旧来独語(むかしがたり)の夜半(よわ)を感じる人間(ひと)の記憶と相乗して居り、白亜(しろ)い輝体(きたい)が空(そら)へ跳ぶのを遠い死地から展望して居る。一女(おんな)の欠伸を一夜(とばり)に知りつつ無垢の主宴(うたげ)を密かに観るのは、幻想(ゆめ)の「スープ」を順々呑み干す無機に転じた無己(おのれ)であった。幻想(ゆめ)に滴る無己(おのれ)の信心(こころ)は腐り掛けでの肉体から成り、幻想(ゆめ)を弄(あそ)べる不頼(ふらい)の諸刃(やいば)は私闘を相(あい)せる夜半(よわ)を紅(あか)らめ、己の記憶に真っ向勝負のどんどん透れる不安の小敗地(アジト)は、幻(ゆめ)と信心(こころ)の「出来合走(できれーす)」を棄て「問わず語りの空気(もぬけ)」へ入(い)った。一幻(ゆめ)と精神(こころ)の矛盾の逆目(さかめ)は昼と夜との〝交互〟を追いつつ、欲芽(よくめ)を私転(ころ)がす過憶(かおく)の許容(うち)から段々遠退く無心を識(し)った。無己(おのれ)の気憶(きおく)を無駄に弄(あそ)べる人と不意との愚行(おろか)の上では、未来(さき)に蔓延る活命(いのち)の横から宙(そら)へ概(おお)きく空転(ころ)がる〝芽〟を観て、分厚(あつ)い独語(かたり)を夜半(よわ)の目下(ふもと)へ如何(いか)に繋げる既憶(きおく)に在るかは、無断の園(その)から一体(からだ)を見出す人の千夜(とばり)に精通して居る。個々の〝生み〟から「都会」が成される嗣業の総理(すべて)は〝善かれ〟を過ぎ越し、旨の色彩(まつり)を無導(むどう)に訓(おし)える「その日観たさ」へ放(ほう)った内にて、幻想(ゆめ)の一夜(ひとよ)を人に観るのは大して概(おお)きな災いでも無い…。殊に概(おお)きく色彩(いろど)り成るのは一幻(ゆめ)の講じをその実(み)に棄て置き、精神(こころ)と一心(こころ)の無礼を紐解く「生物(いきもの)」から成る定めを透させ、幻想(ゆめ)の一夜(ひとよ)に燦々極まる無垢の欠伸に精通して居る…。人間(ひと)が求める〝解(かい)〟の上から無頼に大きく掛かる両刃(やいば)は、無己(おのれ)の未知から翻(かえ)る万(よろづ)と何等化(か)わらぬ無効を取り添え、無己(おのれ)の無断と宙(そら)を操る不頼の憂慮を前進させ得る。白亜(しろ)い流行(ながれ)をその実(み)へ突き出し幻想(ゆめ)の宙(そら)まで人に送るは、「都会のスープ」の成果(なれのはて)から暫く翻(かえ)った律儀を想わせ、旧い陰府(よみ)から〝見事…〟を懐ける人の解(かい)など無残に彩(と)った…。

 自己(おのれ)の空虚は慢心成らねど都会に活き発(た)つ不幸の主観(あるじ)は、幻想(ゆめ)に織り成す従順(すなお)を紐解き分厚(あつ)い優美(ゆうび)を美しくも観る…。不応の自然(あるじ)は美しくも発(た)ち、機敏の所以(ありか)を夕日に観た儘、…都会に織り成す無業の輪廻(ロンド)を人間(ひと)へ騙して贈って在った…。

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 発表途中に、虎の巻である〝自分用トーキングペーパー〟の存在を思い出した。発表本文を持って来る為に入れて居た、茶色の角型二号の封筒がこんもり膨れ上がっており、俺はその存在に気付いた。このぐだぐだ感に収拾を付けるべく、カンペのような虎の巻で挽回を計ろうとして居た。が、その虎の巻が肝心な時に自分に見辛かったのか、余り役に立たない。もう発表をし始めて何十分と経ってしまって居たようで、場の空気・皆との極感(きょっかん)、房子への見栄、なんかが余計にその時の俺を責めて来て、そんな事を考えながらに、何処(どこ)から読み上げて良いやら良く分らなかった。困ったものだった。皆の内の誰かに、その事が破(ば)れやしないかと、びくびくもんだった。

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 孤独の夜半(よわ)から未亡を想わす不等の主観(あるじ)に悶絶しながら、朗(あか)るい明日(あす)から精神(こころ)を費やす未業(みぎょう)の自主(あるじ)は精神(こころ)を掴めず、旧い陰府(よみ)から伝播して生く固陋の撤廃地(アジト)は幻覚(ゆめ)から成った…。白亜(しろ)い四季(きせつ)が木洩れ日から成る不装(ふそう)の合図は企図を諦め、旧い陰府路(よみぢ)を過去に使わす〝木漏れ日豊穣(ゆたか)〟の既知は衰え、無断に蔓延る都会の範囲(サイズ)は無形に拡まり偏に成った。旧い淡路を人体(からだ)に使わせ固陋の相図(あいず)を無断に擦(す)るのは都会の目下(ふもと)へ潜(こっそ)り息衝く不毛の小敗地(アジト)へ通底して居り、陰府(よみ)の最中(さなか)を不毛に操る〝不義〟に徹した大事(こと)の哀れは、幻想(ゆめ)の無闇に概(おお)きく照らせる不幸の身重と一緒に成った…。幻想(ゆめ)の孤独に白亜(はくあ)が活き発(た)つ不問を通せる人の躰は、幻想(ゆめ)の最中(さなか)へ不満が息衝く「不倖」を目にした無刻(むこく)の夕べで、明日(あす)の八光(おろち)に秘(ひっそ)り片付く遊歩の畝(うねり)は精神(こころ)の身塵(みくず)と同等にも在り、通り相場の余韻の術(すべ)には密かに懐ける夏日(なつび)が照った。孤独を相(あい)せる固業(こぎょう)の許容(うち)では一体(からだ)は伝わる八頭(おろち)が這い出て、純白(しろ)い定形(かたち)に充分通れる不毛の輪廻(ロンド)と合成し始め、無己(おのれ)の幻(ゆめ)から気楼が眺める無頼の刹那を手懐け入(い)った。…幻想(ゆめ)へ連なる〝奈落〟の界(かぎり)は刹那に対する不能を擡げて、収拾付かない旧い庭から宙(そら)へ運べる精神(こころ)を打った。無己(おのれ)の大口(くち)から安転(ころ)がる独理(ドグマ)は無心を愛せる孤独を視(め)にして、一重(ひとえ)に片付く「無頼の音頭」を固陋に肖り踏襲した儘、夏日に極まる「都会の芽欲(めよく)」を人間(ひと)へ懐かせ空転(ころ)がり続けた。…不毛の宮(みやこ)を横切る輪廻(ロンド)は不頼の人体(からだ)を如実に対させ、不倖を擡げる空気(しとね)の道標(しるべ)を無能に帰(き)せ得る独理(ドグマ)を識(し)った。巧い「夏日」が巨躯を擡げる固陋の〝銀河〟の成果(なれのはて)には、「都会のスープ」が気丈を擡げる幻想(ゆめ)の哀れが密かに成った…。頃合い計った孤独の傀儡(どうぐ)が幻想(ゆめ)の惑味(まどみ)を精神(こころ)で吟味(あじ)わい、無己(おのれ)の無知から無謀を引き出す不良の阿漕を苦心に緩める…。幻(ゆめ)と一心(こころ)が間延びを費やす幻想(ゆめ)の自然(あるじ)を渡航に失(け)すのは、孤踏(ことう)に無視する女性(おんな)の緩みの向日の総理(すべて)の無頼に似て居り、明日(あす)の科目を嗣業に費やす脆い白亜(はくあ)は白壁(かべ)から這い出て、幻覚(ゆめ)と無心(こころ)の共鳴(なげき)の空壁(かべ)には余程の秩序が分散して生く…。発狂(くる)った渦海(うみ)から無根が出るのは俗世(このよ)の不得手を通算した後(あと)、幻覚(ゆめ)と一心(こころ)の間延びの脆さを総嘗めして生く男女(ひと)の実力(ちから)で、幻(ゆめ)に肌蹴(はだけ)る純心(こころ)の白衣(ころも)は純白(しろ)い具体(からだ)を「俺」まで遠ざけ、時の鳴る儘〝宮(みやこ)〟の成る儘「無心」に名高い気色を打った。幻(ゆめ)の既憶(きおく)を無知へ遣るのは無効の生絆(きずな)が精華を得る頃、夢限(むげん)の軌跡を通り相場に「女性(おんな)の気色」を透す故にて、純白(しろ)い空(から)まで男女(ひと)が独歩(ある)ける旧(むかし)に好く観た叫(たけ)びの相図(あいず)は、漆黒(くろ)い殻など滔々流行(なが)れる不問の欠伸に通底して居た…。男性(おとこ)の体裁(かたち)を脆く観るのは一女(おんな)の要(かなめ)の通底でもあり、鎹成るまま児(こども)を生育(そだ)てる幻想(ゆめ)の定律(おきて)は段々素通り、分厚(あつ)い展開(ながれ)に肝を冷やせる無害の家畜はどしんと成った…。白亜(しろ)い家畜は自然(あるじ)を忘れて奇妙に差出る陽光(ひかり)を観る儘、内夜(うちよ)の〝小槌〟を坊(ぼう)に保(も)たせる〝併せ鏡〟の画期の縁(ふち)には、幻想(ゆめ)に差し込む常緑(みどり)の層から〝雨降らし〟に似た屈曲(まがり)が降りた。一女(おんな)の家畜は堂々巡りに〝在る事無い事〟人煙(けむ)に紛らせ幻想(ゆめ)の未完(みじゅく)に煩悶して生く死闘の音色(ねいろ)は次第に高まり、精神(こころ)の美声(こえ)には〝男・女(だんじょ)〟を連れない舞踏の初歩(いろは)が燦々鳴った…。幻想(ゆめ)の枯渇は自然(あるじ)を紐解き「幻想(ゆめ)のお蔵」を端正(きれい)に刳り貫(ぬ)き俗人(ひと)と小敗地(アジト)の矮小(ちいさ)な人象(むれ)まで孤軍に彩り値踏みしながら、苦力(くーりー)達から美笑(びしょう)を授かる〝有難見たさ〟をしどろに打った。孤踏(ことう)に生え行く未開の境地は無垢に彩る奇跡を遮り、宙(そら)の許容(なか)まで無答(むとう)に居座る一幻(ゆめ)の主観(あるじ)を見詰めて在った。精神(こころ)の四隅(すみ)まで落ち着く四季(きせつ)は凡庸(ぼんよう)ながらに浮き世が片付き、生娘(むすめ)の延命(いのち)が直ぐに澄むのを淡い四季(きせつ)に総覧して生く…。一男(おとこ)の乞食が身元を忘れて旧い寺から俗世へ生くのを、過去の日(ひ)の掌(て)にその〝芽(め)〟を忘れた苦行の行方はすんなり吐(は)いた…。一女(おんな)に追(つ)い出る故郷の自主(あるじ)は孤独に幻見(ゆめみ)る呼吸を煩い、永久(とわ)の独語(かたり)を私闘へ賑わす無類の空気(しとね)を上々打った。

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 もう、俺は発表を結果的に間延びに間延びさせて仕舞い、一生懸命して居るが嫌に勿体振った発表の仕方は(当然に)皆の集中力を奪って行き、もうしなくても良いような発表に成ったのはこれ又自然の事だった。

 好い加減見兼ねたような西田房子先生が、俺に「(今回は)活舌悪い」と注意して居た。俺も納得して居た。けれども悔しかった。

      *

 孤独の人陰(かげ)から伽藍が身を寄せ無機の日(ひ)の粉(こ)を一幻(ゆめ)に追っても、朝の精神(こころ)に〝仕分け〟が遺れる身重の微かは健在だった。白亜(しろ)い景色が人間(ひと)を纏える不倫の展開(ながれ)は気楼に満ちても、孤独の行方を不意に晦ます人望(のぞみ)の遥かは宙(そら)を飛び交い、無知を競わせ無類を活き尽(き)る不応の小敗地(アジト)は低迷して居る…。疼々(むずむず)して居る孤闘(ことう)の成果(はて)には一身(からだ)を蹴散らすmonkが現れ、愚痴を吐(つ)くのに未知を執り成す男女(ひと)の懊悩(なやみ)を洗練させ得た。幻(ゆめ)の未完(みじゅく)が呼応を図れど耐えて忍べる無菌の景色は、「俺」の調度を済し崩しにする不応のmonkを頂戴して居た。幻想(ゆめ)に這い出す無双の躰は独創(こごと)の体躯にげんなりして居り、涼しい表情(かお)した「向日の住人(ひと)」から精神(こころ)の概(おお)くを頂戴した儘、昨日に見送る密かな独理(ドグマ)を孤高に煎じた幻覚(ゆめ)の八光(おろち)は潜伏した儘、精神(こころ)と暗(やみ)とに活気が遊べる無頼の孤独は初めて成った。葦の〝気の実(み)〟が女性(おんな)を装い無明(むめい)の今朝から洞野(どうや)を観る頃、無己(おのれ)の勝手を自在に羽ばたく夢限(むげん)の日蓋(ひぶた)は労苦を模した。大樹に生育(そだ)てる無類の〝日(ひ)の粉(こ)〟が無名を引き出す精神(こころ)の粒(つぶて)は、見境無いまま精神(こころ)を厭(いと)わす孤高の調子へ先見(せんけん)して生く…。幻想(ゆめ)の初歩(はじめ)を具体に識(し)り生く未亡の主(あるじ)を一心(こころ)へ呼ぶのは、無己(おのれ)の未知から災いすら成る無頼の日下(ひもと)を片付けながらに、奇妙に世に降る臨機の空間(すきま)を否応無しにも無駄に認(したた)め、分厚(あつ)い「明日(あす)から壁」が延び行く幻想(ゆめ)の見定(さだ)めを徹意(てつい)に採った。一人(ひと)の形を独理(ドグマ)に忘れて幻想(ゆめ)の無駄には臨機が費えて、「明日」を識(し)らない一人(ひと)の諸刃(やいば)は〝両刃(やいば)〟を片付け「不毛」を盛(も)り活き男性(おとこ)と木の葉の微かの相異を初春(はる)に仕留める〝間延び〟を保(も)った…。徹頭徹尾に感覚(いしき)を失い、幻(ゆめ)の進途(しんと)に固陋が生くのは、汚く穢れる男女(ひと)の信徒の歪曲(ゆがみ)に徹した正義を彩り、神を信じる悪人(ひと)の総理(すべて)は俺の精神(こころ)へ届かなかった。暗(やみ)に按じる怒涛の既憶(きおく)は無闇の新根(しんね)を試みから退(の)け、緩い夜半(よわ)から白亜を翻(かえ)せる〝身元の空気〟を新参させつつ、暗い儀式を人間(ひと)へ問うのは、一幻(ゆめ)の芯(コア)から辛うじて成る「未屈(みくつ)の活命(いのち)」に届かなかった…。無己(むこ)を養う自己(おのれ)の気色は我慢さえして延命され活き、未聞(みぶん)の気色を堂々彩(と)らない不応の真理(しんり)を影命(えいめい)した儘、無根に倣わす無秩(むちつ)の延命(いのち)は、…だらだら遠退く人間(ひと)の愚行(おろか)に滔々遠退く間延びに在った…。分厚(あつ)い景色の分散から観て幻想(ゆめ)の進理(しんり)は下駄を履きつつ、夢命(むめい)の仄香(ほのか)を無暗(むやみ)に酔狂(くる)わす「割れた硝子」を私闘に遣った。「屈する延命(いのち)は身籠るばかりで、幻(ゆめ)の好(よしな)に随業(ずいぎょう)して生く…」。一人(ひと)の具体(からだ)に文句を連ねる死闘の最期は手毬を突きつつ、一女(おんな)の生命(いのち)を明るみから引く虚空の連歌は何処(どこ)へも成らずに、幻(ゆめ)を相(あい)して経過(とき)を透せる一人(ひと)の夜半(よわ)へは孤憤(こふん)が拡がり、絶えて凌げる余命(よめい)の思乱(あらし)は乱歩を先駆け朗(あか)るく成った…。古都の表紙に提灯(あかり)が点(とも)され幻想(ゆめ)の宵路(よいぢ)に温味(ぬくみ)が疾走(はし)るは、「経過(とき)」の無刻(むこく)に脱走して生く広い元野(げんや)の表れだった…。発音(おと)に尽きない旧(むかし)の過憶(かおく)は過敏に独走(はし)れる不満を二重(かさ)ねて、未己(おのれ)の四肢(てあし)に無謀を寄せ得ぬ不応の手先と翻(かえ)って往った…。孤高に連ねる身憶(みおく)の主観(あるじ)は無視に問われる懶惰を識(し)りつつ、無己(おのれ)の葦から四肢(てあし)が逃れる不審の正義に固唾を呑んだ。過去の魅惑に無己(おのれ)が駆け活き器量の安堵が女に在る頃、惨く散り生く一人(ひと)の連歌は最果(はて)を見知らぬ宙(そら)から成った。幻(ゆめ)に静める精神(こころ)の弄(あそ)びは加齢に伴い不遜を象り、幻覚(ゆめ)の魅惑の根底(そこ)へ沈まる精華(はな)の朝日を清閑(しずか)に解(と)いた…。一女(おんな)の初歩(いろは)は文句(ことば)を採り付け不応に逆らう未惑(みわく)の主観(あるじ)は、餓鬼に夜毎を夢中と添え得る不頼の身重に追(つ)い立て行った。―――行った果(さ)きから一身(からだ)が仕上がり「幻(ゆめ)の奈落」に鼓膜が割くのは、幻覚(ゆめ)の脚色(いろ)から砂塵が逆上(のぼ)れる人間(ひと)の朝陽に健在だった…。孤独に費やす人間(ひと)の飲酒は白亜(しろ)い躰の強靭ばかりで、女人(にょにん)の姿勢(すがた)を多勢から観る幻覚(ゆめ)の仄香(ほのか)にその実(み)を失くさず、「明日(あす)」の初歩(いろは)に孤踏(ことう)を与(あず)ける無頼の活き芽(め)に痛烈だった…。ほっとした後(あと)「俺の活命(いのち)」は暗(やみ)を忘れて「健在」だけ採り、幻(ゆめ)の疾風(はやて)は白亜(しろ)さに乗じて「ほくそ笑む」まま無宿(むじゅく)を感じ、明日(あす)の軌先(きさき)を微量に感じる〝物憂い暗(やみ)〟へと「孤踏(ことう)」を射った…。苦労症(くろうしょう)から人間(ひと)が穢れて文言(ことば)の老い等「都会」に引き連れ、「明日(あす)」を詠めない幻想(ゆめ)の未完(みじゅく)は四方(よも)に黄昏(たそが)れ跳ばされ往った。精神(こころ)の暗(やみ)から〝スープ〟が煮え出し、分厚(あつ)い空壁(かべ)など幻(ゆめ)から転じて、人間(ひと)の一心(こころ)は軽々(かるがる)泣け得る〝しどろ〟の天屋(てんや)を狂転(ころ)がり出した。幻(ゆめ)の羽音(はおと)は小言の脚色(いろ)まで無想に並べて点在して居た…。

      *

 …俺の体は汗ぐっしょりだった。(が、夢から覚めると俺の体は非常にさらさらして居て、汗一つ搔いちゃ居ない)。

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 下らぬ御託を暗(やみ)へ放れる女性(おんな)の円らは暗(あん)に等しく、精神(こころ)の旧巣(ふるす)を具体(からだ)へ仕上げる雪解け間近の陽(よう)が逆上(のぼ)った…。一女(おんな)の過去には一通(とおり)が先立(さきだ)ち旧い夜(とばり)が盲狐(もうこ)を失(け)す頃、幻想(ゆめ)の間際に現行(いま)が忍べる無数の活命(いのち)は群歌(ぐんか)を射った。描(えが)ける一幻(ゆめ)には具体(からだ)が届かず不毛の人渦(うず)など個体に透せば、我楽(がらく)を識(し)らない雅楽の際には身塵(みじん)に尽きない追手(おって)が入(い)った。白亜(しろ)い正形(かたち)が不毛を見出す幻(ゆめ)の八頭(おろち)は味方を掌(て)に挙げ、現行(いま)も旧(むかし)も統(たば)を識(し)らない涼風(かぜ)の空間(あいだ)をこそこそ這い活き、宙(そら)に失くせる「不倫の輪廻(ロンド)」は返転(はんてん)しながら孤独に逝った…。明日(あす)に息衝く形は姿勢(すがた)で、夜半(よわ)に透れる孤独は波間に、幻想(ゆめ)の〝問い〟から男女(ひと)を見出す旧い孤独を充分識(し)った…。明日(あす)の理屈を躰に安(やす)めて四季(きせつ)の流行(ながれ)は昏々採らねど、幾つに在っても一体(すがた)を象(と)らない不信の欠伸をその眼(め)に保(も)った…。不通に息衝く漆黒(くろ)い成果(かなた)は、玄人(ひと)の正義を矢庭に微動(うご)かし、宙(そら)の二性(ふたつ)に尻込みして生く不装(ふそう)の生果を吝嗇して居た…。男性(おとこ)の体裁(かたち)が無効に在らねど純白(しろ)い四季(きせつ)は夜霧を蹴散らせ、二性(ふたつ)の生息(いぶき)に透れる両眼(まなこ)は人の〝活き血〟をとっぷり飼った…。不通の欠伸に〝間延び〟を報され幻(ゆめ)の元野(げんや)に魔物を観る頃、無心に息衝く不夜の辺りは〝魔物〟に倣わぬ律儀を賭して、純白(しろ)い気色に丘を見詰める無造(むぞう)の刻日(こくび)を礼賛して居た。人間(ひと)に見付かる不倖の荒野(あらの)は〝都会のスープ〟を一気に呑み干せ、陽日(ようび)を見知らぬ小敗地(アジト)の辺(へん)迄「無造(むぞう)」を置き去る烈火を識(し)った…―――。―――苦労症から律儀が擡(もた)がり幻想(ゆめ)の信者が規則を正せば、一人(ひと)の温味(ぬくみ)は去来を見守る不当の思乱(あらし)をぐんと遠ざけ、宵の口から騒ぎ廻れる人間(ひと)の芥(あくた)を罪へと化(か)えた…。孤高の仕事が嗣業を忘れて無為の思乱(あらし)を御託へ付けるは、大海(うみ)の辺(へん)まで御業(みわざ)を逆採(さかど)る「荒野(あらの)」の行事を難無く観て取れ、旧い夜宙(よぞら)へ〝不毛〟を観るのは無限に閊える夜霧であった。文言(ことば)の奈落に退屈(ひま)が二重(かさ)なり温厚(あつ)い空壁(かべ)から温味(ぬくみ)が発(た)つのは、幻覚(ゆめ)の生果に無頼が断たれる〝旧着(ふるぎ)〟を失くした夜霧であった。幻視(ゆめ)の無屈(むくつ)に未来(さき)が廻され不悶(ふもん)の休暇に夏日(なつび)が入(い)るのは、惨く極まり無鈍(むどん)を失くせる不能を相(あい)した孤独であった。個録(ころく)に三重(かさ)ねる未来(みらい)の〝両眼(まなこ)〟は私闘に得られる義務に見合って、一人(ひと)の飼い葉を尻に敷け得る夢中の快無(オルガ)を通算して居た…。

      *

 …西田房子に多少見栄を張って仕返しの心算(つもり)で、「これは実は挑戦なんです!カンペ見ずに、この発表と言う機会を再度利用して、皆の前で言いたいようにさらさら言えるように成る事で、同じこの発表の機会にて被(こうむ)って仕舞った〝この症状(自律神経失調症)〟を治そうと思いまして」と言って居た。

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 無言の一路を辿って女性(おんな)の気配が暗(やみ)に浮いたが、独創(こごと)の〝日蓋(ひぶた)〟が暗(やみ)へ紛れる悲壮の表情(かお)には生気が見得ない。経過(とき)を安(やす)める悲壮の最期は男性(おとこ)の両肩(かた)から無言を相(あい)して、白亜(しろ)い塊(たまり)に奈落を刻める思春(ししゅん)の相図(あいず)を被(こうむ)り続ける。…女性(おんな)の背後に静けさだけ発(た)ち無音の木の葉を流行(ながれ)に観るのは、無秩に暫く具体(からだ)を留(とど)める男女(ひと)の煽りに同等でもある…。無限の界(かぎり)に感覚(いしき)が働き〝相乗効果〟に安味(やすみ)を得るのは、幻想(ゆめ)の律儀に「孤独」が発(た)たない暗黙(やみ)の規定(さだめ)に相当して居り、男性(おとこ)の両刃(やいば)は飼い葉を保(も)たない旧い景色に散散(さんさん)して居る―――。無意(むい)の羽衣(ころも)を矢庭に引き裂き宙(そら)を眺める二性(ふたつ)の八頭(おろち)は、孤高に脱する悪魔の凌ぎを幻覚(ゆめ)を流離う概(おお)きな掌(て)だけが、暗(やみ)を拉(ひし)げる夜風の鳴りから常に大きく返って来て居た…。

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 …確かに、汗は搔いちゃったが、それは、既に成った〝自律神経失調症〟の後遺症から来る心身(からだ)の調子から来るもので、(自律神経失調症を)被(こうむ)る以前の自分の調子に戻ろうとする、自分の心身(からだ)の努力による疲労の表れだった。

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 虚空を見上げる奇妙の横には真綿に包(くる)まる男・女(だんじょ)が表れ、悲壮に逆生(もど)れる茜(あかね)の空(そら)には暗(やみ)に迫れる不装(ふそう)が発(た)った。鼓膜の許容(うち)から無音(おと)が訪れ、最果(はて)を見知らぬ不思議(はてな)の上では、〝奇妙〟へ懐ける未有(みゆう)の私運(はこび)が指を鳴らして孤独を着合せ、暗黙(やみ)の姿勢(すがた)に涼風(かぜ)を発(た)てない旧い煉瓦を都会に切った…。苦労に見詰める不甲斐の底には儚い〝涙〟が人心(こころ)を募らせ、茜の宙(そら)から「真綿」を忘れる不毛の感性(センス)を充分識(し)った。幻(ゆめ)の意固地に人を着せ替え「旧い芽株(めかぶ)」に切りを観るのは、夢の品(しな)まで徒労を集める古い時代(けいか)の暗黙ばかりで、夜半(よわ)の躾を古豪に射止める不意の主観(あるじ)は桃色(ピンク)を打った…。暗い陰府路(よみじ)を生命(いのち)に見詰める不浪(ふろう)の自主(あるじ)は都会を置き去り、人間(ひと)の活き血を暗(やみ)に込ませる不装(ふそう)の信途(しんと)を律儀に汲み取り、幻覚(ゆめ)の未覚(みかく)に男女(ひと)を捜せる千夜(とばり)の合図を朗(あか)るくして居た…。―――苦悩の〝水面(みなも)〟は安気(やすき)を妨げ浮浪に活き尽(き)る信途(しんと)を見初めて、淡い四季(きせつ)に涼風(かぜ)を掴める〝物憂い里(さと)〟まで行李を投げた。幻(ゆめ)に集まる未完(みじゅく)の小敗地(アジト)は一女(おんな)に染め得る感性(センス)を改め、孤独の行事に正体(からだ)を射止める旧い一人(ひと)まで都会に置いた…。都会へ逃げ込む旧(むかし)の人片(かけら)は未完(みじゅく)を従え空気(くうき)を圧(あっ)し、行方知れずの小室の許容(なか)から理由を識(し)らない「老い」を観て居た。

 無答(むとう)に悩める一人(ひと)の吐息を無残に殺した魅惑の暗(やみ)には、人間(ひと)の律儀が奇妙に培う暗黙(やみ)の界(かぎり)が立在(りつざい)して居た。幻(ゆめ)の好(よしみ)をこの掌(て)で放れる労苦の成果(さき)から孤独を按じて、四方山話に精神(こころ)を保(も)てない揺蕩(ゆらぎ)の煩悩(なやみ)に屈して在った。幻覚(ゆめ)の硝子に挫けた坊(ぼう)から緑(ろく)の翳りを暗(あん)に見て取り、悩める物等(ものら)を遠方(とおく)に見守る文言(ことば)の限度を段々足らしめ、温厚(あつ)い政(まつり)を輝体(からだ)に射止める始終の憂慮を無難に吐(は)いた。一幻(ゆめ)の独創(こごと)を未想(みそう)に与(あず)けて冬の一夜(とばり)を奇妙に失(け)す頃、初夏(なつ)の了(おわ)りは無断に儚い「一人(ひと)の音叉」に解(と)け入り出せた…。厳冬(ふゆ)の生気を未知(さき)へ見送り余裕(ゆとり)と労苦を既視(おおめ)に観る頃、幻想(ゆめ)の秤に貴重に保(も)たせる精神(こころ)の髑髏を煩悩(なやみ)に置いた。白亜(しろ)い吐息を精気へ与(あず)けて空転(ころ)げる〝人頭(どくろ)〟を宙(そら)へ観る内、「無答(むとう)」に懐ける地味の素顔は無断を徹する一定(いってい)さえ得る…。精神(こころ)と暗(やみ)とが初夏(なつ)を生く頃「無法の相図(あいず)」は散々散り果て、一心(こころ)と暗黙(やみ)とに生果を見守る不業(ふぎょう)の構図を無論に帰(き)せた。暗黙(やみ)の途切りを微妙に相(あい)する一人(ひと)の労苦の源等には、無知の億尾が減退して生く浮浪の〝遊戯〟が鮮やかだった。幻想(ゆめ)の〝脆さ〟が質(しつ)を挙げねど暗黙(やみ)の生茂(しげみ)に相対(あいたい)するのは、精神(こころ)の無根に生気を合せぬ雇用の安堵を温度にも化(か)え、活きる罰から貫(ぬ)ける罰へと、幻(ゆめ)の身重を吸収して居た…。一女(おんな)の末路は男性(おとこ)に儚く白亜(しろ)い気色が微妙に絡まる、夜半(よわ)の温度を矢庭に想定(さだ)めて、玄人ばかりの現行(いま)の許容(うち)へと選り取り見取りに埋没して去る…。精神(こころ)の景色に小躍(おど)れる柔裸(やわら)は正規の果てから表情(かお)を紅(あか)らめ、陰府(よみ)の御託に追従(ついしょう)して生く「昨日の賛美」に幻灯(げんとう)して行く…。幻想(ゆめ)と一心(こころ)に倣う〝軌跡〟は無様(むよう)の安堵を散々費やせ、明日(あす)を待たない嗣業の哀れに、追悼して生く無己(おのれ)の生気と、幻覚(ゆめ)の矢庭に泣いて傾く旧い翁の悦ぶ生気が、過去に包(くる)まる無適(むてき)の精気と微妙に静まる感覚(いしき)を従え、無己(おのれ)の角(かど)から丸まる感覚(いしき)は〝未完(みじゅく)〟を通して妙意(みょうい)を識(し)った…。勝手の角(かど)から一文字(いちもんじ)が成り人間(ひと)の精気が安泰足るのは…、無知に静まる無根の人宿(やど)から肢体(からだ)を翻(かえ)せる安堵を見守り、幻(ゆめ)と現(うつつ)にその実(み)を騙せる不沈の元野(げんや)を航海させた…。通り相場の一人(ひと)の宿(やど)から〝野宿〟を流離う「元野(げんや)」が顕れ、夜明(あかり)に徹した「奈落」の陰など思中(しちゅう)に跳ばせる不乱を培い、幻想(ゆめ)の一重(ひとえ)に抜き出る分野は「色恋(いろこい)」から観た陽明(あかり)に在った…。一人(ひと)に識(し)れ生く「不浪(ふろう)」を掌(て)にした夜半(よわ)の翳りは、精神(こころ)に名高い哀れの静間(しずま)を無己(おのれ)の既知から無言へ費やし、一人(ひと)の労苦を散々彩(と)り得る孤高の情緒(こころ)に砕いて在った。一人(ひと)の男は「奈落」を費やし、女性(おんな)の御殿へ返って往った。〝あの手この手〟の男性(おとこ)を象(と)るうち私闘の雲母は宙(そら)を渡され、無己(おのれ)の旅路を陰府(よみ)に捧げる不応の自然(あるじ)は盛(さか)って在った。狂い咲きする私労(しろう)の主宴(うたげ)は未知を採るうち未完(みかん)を保(も)ち出し、現代人(ひと)と女性(おんな)の確かな正体(からだ)を幻(ゆめ)の火種へ葬り去った。一心(こころ)の陰から悪夢が跳び出し暗(やみ)の日種(ひだね)に一女(おんな)を観るのは、男性(おとこ)の煩悩(なやみ)に本能(ちから)が尽きない幻(ゆめ)の旅路の成果に在った。固陋に死太(しぶと)く〝翳り〟を観るのは夢限(むげん)に計れる妙味であって、白亜(しろ)い規律(おきて)にその芽を安(やす)める「その日尽(づく)し」の舶来さえ得る…。

 孤高の文句は男女(ひと)を棄て置き無知の高嶺にその実(み)を剥いても、安(やす)む間の無い二性(ふたつ)の気色は孤憶(こおく)に準じた奇想を練った…。

 一幻(ゆめ)の最期は「都会」を跳び越え一幻(やみ)の幾路(いくろ)を散々這うても、「狂い咲き…」する生命(いのち)の欠片(かけら)は無情を引き込む快無(オルガ)を飼った…。一幻(ゆめ)の無闇と「都会」の愚痴とが併せ鏡に交互に成り果て、温厚(あつ)い具体(からだ)を景色に張(ば)ら撒く起草の相図(あいず)にほとほと成った…。通り縋りの延命(いのち)の幻(ゆめ)から無駄を尽(つか)せる現代人(ひと)の飢えには、孤独の労途(ろうと)が器用を騙せる無頼の清閑(しずか)が事毎成った…。生憶(きおく)の便りに白宙(そら)が高鳴り暗黙(やみ)の季節に「都会」が鳴るのは、無言の「スープ」が人間(ひと)を留(とど)める旧来(むかしながら)の器用の生句(せいく)で、人の具体(からだ)と球(たま)を相(あい)せる扶養続きの未来(さき)への安堵は、一人(ひと)の傍(そば)から旧(むかし)へ懐ける「独り続き」の狂句に在った。…―――無限に居座る爺(じいや)の狂句は未(いま)に見取れる女神の端(すそ)にて、穏やか成れども生粋(もと)へ辿れる扶養の温味(あつみ)をこっそり懐(なず)けて、こそこそこそこそ…、こそこそこそこそ…、俺の背筋を小微(こそば)す遊女は「都会」の八頭(おろち)を無断に飼った…。既憶(きおく)の暗(やみ)から故習を彩る旧(ふる)びた〝四肢(てあし)〟は人間(ひと)に表れ、行けども生けども余命(いのち)を繋げる現代人(ひと)の潤(うる)みに進退して生く…。

      *

 …確かに、カンペ(虎の巻)を見ないで喋って居た時の自分は、汗は搔くが、倒れる程には疲れはせず、随分喋った後でも、もう少し喋れそうだった。

      *

 幻想(ゆめ)の囲いをすっかり飛び越え男女(ひと)の主観(あるじ)は幻滅すれども、五月蠅(あわ)い四季(きせつ)は遊離に構える〝身重〟の信徒を追随させ得た。気楼の孤独に思乱(あらし)を堂々巡りに発声(こえ)を荒げて四方(しほう)を固めて、宙(そら)の何処(どこ)かで女性(おんな)を忘れる一人(ひと)の孤独はすんなり失(き)えた…。俺の背中に文言(ことば)が降(お)り立ち自由に弄(あそ)べる文句が在っても、白雲(くも)の切れ目に齢(よわい)を見積もる幻覚(ゆめ)の区切りは広々だった。白亜(しろ)い畝(うねり)が四季(きせつ)を飛び越え治安を緩めた俗世(このよ)の四隅(すみ)には、都会を称した人間(ひと)の合図が宙(そら)を見忘れ具体(からだ)を湿らせ、浮き世の如くを不安へ操る未亡の主観(あるじ)を痛感して居る…。一女(おんな)の自覚(かくご)が俗世(このよ)を湿らせ幸福ばかりを器用に保(も)つのは、白夜に併せる司業(しぎょう)の謂れと何等変らぬ興味(おもしろみ)が在る。架空の傀儡(どうぐ)を人間(ひと)に誂え幻覚(ゆめ)の旧巣(ふるす)へ透って往くのは、幻(ゆめ)と相図(あいず)の体(からだ)を取り合う〝旧来独語(むかしがたり)〟の想わせでもある…。不幸の塒を宙(そら)へ締め出し一幻(ゆめ)の〝身重〟を体に巻くのは、白亜(しろ)い生扉(とびら)に不幸を見付ける脆弱(よわ)い孤独の一夜(とばり)であった。未知へ目を引き幻想(ゆめ)と生扉(とびら)の孤独を追っても、〝水と霊との〟分厚味(あつみ)の代わりは一人(ひと)の分身(かわり)と朧気(おぼろげ)ながらに、「俗世(このよ)のスープ」を出汁に余(あま)せる「空気(もぬけ)の流行(ながれ)」へ降(くだ)って入(い)った…。

 都会の千夜(とばり)を一人(ひと)に認(みと)めず孤独の夜半(よわ)から旧着(ふるぎ)を脱ぐのは、幻想(ゆめ)の未活(みかつ)に散々下れる不装(ふそう)の挽歌を身軽(みがる)く操り、不明の端(はし)まで一人(ひと)を待たない未想(おもい)に暮れ得た未活(みかつ)であった。一女(おんな)の孤独が体(からだ)を着替えて夜半(よわ)の高利へ辿り着くのは一男(おとこ)の還りを変らず待ち生く「都会のスープ」の成れの果てにて、幻覚(ゆめ)を見果てぬ未曽有の宮(みや)には、…精神(こころ)成らずの経過が零れる不応に寄り添う「思乱(あらし)」であった…。都会に纏わる孤踏(ことう)の思乱(あらし)が〝魅惑〟を連れ去る陰府(よみ)の四季(きせつ)に堂々流行(なが)れる歩合の恋には男女(ひと)の巡りが落ち着き出した。暗(くろ)い弄(あそ)びが虚無を観る頃、矛盾の一点(あかり)はそわそわし始め、分厚(あつ)い展開(ながれ)に木の葉を探せる夢遊の要(かなめ)を大事(だいじ)として生き、男女(ひと)の孤独に流行(なが)れ着くのは幻想(ゆめ)の無欲の概(おお)きさだった。不審に拡がる二性(ふたつ)の精気は身重に割かれる無頼を連れ去り、明日(あす)の意固地を人物(もの)に仕留める不能の思乱(あらし)に合流しながら、四季(しき)の空間(あいだ)に身軽(かる)く流行(なが)れる「不能の季節」を絶対にも観た。幻覚(ゆめ)の純白(しろ)さに狭さを魅せ生く孤高の流行(ながれ)は鈍(くもり)を観ながら、「都会」へ活き貫(ぬ)く二性(ふたつ)の要(かなめ)は不倖を相(あい)する歩合に絡まり、嘆きを心で脚色付(いろづ)け始める昨日の空気(もぬけ)を愛して在った。純白(しろ)い気色に律儀を観るうち女性(おんな)の素描(すがお)は男性(おとこ)を綾採(あやと)り、明日(あす)の〝要(かなめ)〟へ美しくも発(た)つ幻想(ゆめ)の恋路を未来(さき)へと見送る…。浮浪を弄(あそ)べる幾つの恋には男・女(だんじょ)の気色があやを観て採り、分厚(あつ)い展開(ながれ)に空壁(かべ)を見送る不通の景色を不毛に解(と)いた…。人間(ひと)の感覚(いしき)を一幻(ゆめ)へ扱う美容の景色は感情(こころ)に合さり、「都会」の感覚(いしき)を宙(そら)へ費やす不能の感覚(いしき)は男・女(だんじょ)を誂え、幻(ゆめ)の美的を電子に発狂(くる)わす無適(むてき)の角(かど)から感覚(いしき)を断(た)った。…美熟(びじゅく)に供する不能の一家が陰府(よみ)を忘れて無根へ発(た)つ内、奇妙に亘(わた)れる一人(ひと)の造作は無論を幻見(ゆめみ)て酔狂して活き、幻(ゆめ)の不覚へ意味を忘れる旧い気持ちを身欲(よく)に見知った…。精神(こころ)に留(と)まれる不信の初歩(いろは)を呼吸に仕留めて秋空(そら)を観る頃、無己(おのれ)の無欲は虚空に彷徨う一幻(ゆめ)の神秘(ふしぎ)を概(おお)きく観て居た。孤踏(ことう)の言語に冷(さ)め冷(ざ)めしながら虚無の竜胆(はな)には蒼さが増し活き、孤高に跳び発(た)つ無言の景色は眩暈を遠ざけ軍歌に在った。幻(ゆめ)の感覚(いしき)に精神(こころ)が透れる夜半(よわ)の景色は浮浪を遠ざけ、休みながらの門(かど)の景色は感覚(いしき)に追い立ち未完(みじゅく)を透らせ、幻(ゆめに見詰める無類の景色は曰く付きでも「都会」に在った…。


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~都会(とかい)のスープ~(『夢時代』より) 天川裕司 @tenkawayuji

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