第140話
変身スキルを早速使ってみよう。
そう思い、俺は何となく城で見たメイドに変身をしてみた。……いや、何となくっていうか、正直に言うと普通に見た目が好みだったからだけど。
服も含めて見た目が変わった。
胸に重みまでちゃんと増えてる。
胸を触ってみる。
柔らかい。めちゃくちゃ柔らかい。
……でも、カロンの話じゃこれは俺のただの想像なんだよな。
なんて虚しいんだ。……ちゃんと胸はあるのに。
体だって、俺はこのメイドの裸を見たことがある訳じゃないから、俺の想像なんだよな。
…………娼館にでも行ってこようかな。
金貨が5枚も臨時収入として手に入ったことだし、それだけあれば俺好みの人と一晩くらいはできるだろう。……ありだな。
やっぱり、変身するなら、俺好みの見た目になりたいしな。
それ以外にも、そろそろ卒業したいって思いも当然ある。後、カロンの時みたいに男を誘惑するとなると、本物の女性の方が色々と都合もいいだろうしな。
せっかく今は一人になれてるんだし、そうだな。娼館に行こうか。
良し、そうと決まれば、早速娼館を探すか。
こればっかりはミリアに聞くなんてことは出来ないしな。
……小狐のせいとはいえ、これから長く一緒にいることになる相手にそういうことを聞くのはちょっとな。
いくら俺でも、流石に気まずい。
仕方ない。
自分で探そう。
「ちょっといいですか?」
まぁ、結局こういうのは誰かに聞くのが早いよな。
そう思い、変身スキルの効果を解いて路地裏を抜けた俺はその辺を歩いていた男に声を掛けた。
……流石に女性にそういうことを聞くのはあれだからな。
「お、おう、なんだ?」
……こいつも俺の事を女だと思ってないか?
いや、別にいいけどさ。
「娼館の場所を教えてくれませんか?」
「し、娼館!? あ、あぁ、そこの角を曲がって、真っ直ぐ行ったところにあるぞ」
「ありがとうございます!」
よし、娼館の場所が分かったな。
……とはいえ、空を見上げてもまだまだ星が全然出てきてないし、少し時間を置くか?
こういうのはやっぱり夜だと思うしな。
そう思い、俺は適当なところに腰をかけ、時間加速のスキルを使った。
これなら、直ぐに夜が来るし、直ぐに娼館へ向かえる。
そんな俺の考え通り、空を見上げていると、あっという間に星が出てきた。
それを確認し、俺はスキルを解いた。
よし、今度こそ、娼館へ行くか。
「ラム?」
そう思い、歩き出そうとした瞬間、今一番……いや、一番は小狐だから、二番目に聞きたくない声が聞こえてきた。
「……ミリア、なんでここに?」
後ろを振り向くと、よく知るツインテールの女の子……ミリアと小狐の姿がそこにはあった。
分かりきってたことだけど、今一番会いたくない相手も一緒だったな。
「私たちはあんたが全然帰ってこないから、二人で適当な店で夕飯を食べようと思って外に出てきたのよ」
「あー、そうなのか」
「それで、あんたは何でこんな所にいるのよ。暇なのなら、一緒に夕飯を食べに行かない?」
「……いや、俺は今から忙しいんだよ」
元がスライムだからか、そこまでそういうことをしたいって欲があるわけではない。
ただ、もう完全にそういうことをする気分になってるし、今更しないなんて選択肢はせっかく手に入れた変身スキル的にもありえないわけで、ミリアの誘いを断るために俺はそう言った
「何があるのよ?」
「……俺も、今から食べる気だったんだよ」
嘘は言ってない。
ミリア達と違い、料理じゃなくて、女性を、だけど。
「? なら、一緒に食べればいいじゃない」
まぁそうだよな。
伝わるわけないよな。
「あー、分かった。分かった、もう、耳を貸せ」
「え? う、うん。わ、分かったわ」
こうなったのなら仕方ない。
もういっその事、正直に言ってしまおう。
ちょっと気まずいことになるかもだけど、それはもう仕方ないと諦めよう。
ここでミリア達に出会ってしまった自分の不運を呪おう。
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