第23話
進化した俺のスキルを試そうと子狐を連れ魔物を探すこと多分数分、沼地のようなところに辿り着いたかと思うと、直ぐに一つの体に頭が二つ生えたワニのような魔物が現れた。
(超音波!)
「ギャオっ!?」
俺と子狐は主に俺が喋れないせいで意思疎通が取れないから、この10日間で俺が倒そうとした魔物を子狐が取ることが割とよくあった。
だからこそ、今回は進化したスキルを絶対に試したかったから、俺は魔物の姿を見るなり直ぐに超音波を放った。
どうせまた直ぐに魔物くらい見つかるだろうけど、好きで一緒にいる訳じゃない奴に獲物を取られるのは普通に不快だからな。……仮に俺が子狐と好きで一緒に居るのなら全然大丈夫だったと思うけどさ。そうじゃないからな。
そんなことを思いつつも、目の前の頭が二つ生えたワニは目や口から血を流して動かなくなっていた。
……進化する前でも、超音波は普通に強かったし、一撃で殺せるやつは殺せてた。
……ということは、だ。進化する前に一撃で殺せなかった魔物……分かりやすいところで言うなら、地竜とかじゃないとどれくらい威力が変わったのかが分かりにくいってことだ。
超音波であそこまで血を流してるのを見るのは初めてだし、一見かなり威力が上がってるように見えるけど、進化前の俺がこいつに超音波を使ったことがない以上、やっぱり分からないんだよな。……案外、進化前の俺でもこんな風に殺せてたかもだしな。
木で試したし、威力が格段に上がってるのは分かるんだけど、やっぱり超音波の一撃で倒せなかった魔物とかで試したいんだよ。
「キューっ!」
そんな俺の内心なんて全く知らずに、子狐は俺を置いて一人……いや、一匹嬉しそうにはしゃいでいた。
まぁ、こいつからしたら、獲物を倒したみたいな感じだもんな。多分。
子狐のことなんて放っておいて、俺は殺したワニに向かって強奪スキルを発動することにして、ワニに近づいた。
子狐なんかより圧倒的にこっちの方が大事だからな。……子狐からは何故かスキルを奪えないし。
(強奪)
【種族名ダブルダイルからスキル、沼化Lv2を強奪に成功しました】
……レベル2? これは、強奪スキルのレベルが上がった影響か?
今まで結構沢山スキルを強奪してきたけど、いきなりレベル2だったことなんて一度も無いし、その可能性が高い、よな。
仮にそうだとしたら、気になるのは奪えるスキルのレベル上限が上がっただけなのか、もうどんな奴から奪ってもレベルは2に固定されているのか。
今まで通り奪いまくってれば分かることか。
「キュー!」
俺が自分のスキルに対しての考察を進めていると、急に子狐が鳴き出したから、また新しい魔物でも現れたのかとそっちに視線を向けると、小さな体でワニの体に噛み付いている子狐の姿がそこにはあった。
……別に俺には関係ないし、食べたいなら勝手に食べればいいと思うけど、本気か? 控えめに言ってあんまり綺麗には見えない沼地から出てきたワニだぞ? 普通、食うか?
いや、別にいいんだけどさ。もう一度言うけど、俺には関係ないし。
……よく噛み砕けるな。
子狐がワニを食べる様子に若干引きつつ、こいつもやっぱり俺と同じ魔物なんだな、というのを再認識した。
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