第19話

 さっさと強くなって子狐からスキルを奪えるようになろう、と考えつつ、俺は子狐が倒した熊に向かってどうせスキルなんて持ってないだろうな、と期待せずに強奪スキルを発動していた。


【種族名クマからスキル、咆哮を強奪に成功しました】


 スキルが奪えた。

 ……この熊、動物じゃなく魔物だったのか? ……それとも、ただ今までの俺の運が悪かっただけで動物でもスキルを持ってることがあるってことか?

 ……分からない、が、種族名がクマっていうのは何とかならなかったのか? 俺からしたらそのまんまなんだが、違う世界なのに呼び方が同じっていうのはなんか、変な感じだ。

 別にそこまで気にするような事じゃないし、どうでもいいけどさ。




 そうして、仕方なくではあるけど、俺が子狐と行動を共にしだして5日の時が経った。

 5日も一緒に過ごせば子狐のことも少しづつではあるけど、分かってきた。

 

 まず、あの熊を倒した時点で薄々察してはいたけど、この子狐、結構強い。

 この子狐が倒した魔物のスキルを強奪できたりするし、俺としては案外悪くないのかもしれない。

 ……一応、デメリットもあって、こいつが倒すと俺に経験値が入ってこなくて、レベルが上がらないんだよ。

 まぁ、その分なんのリスクもなくスキルを奪えるから、俺としては全然良いんだけどさ。

 俺の種族的にレベルどうこうであの洞窟の奥にいた存在に勝てるようになるとはあんまり思えないしな。


 レベル:449

 名前:無し

 種族:スライム

 スキル:超音波Lv10、嗅覚強化Lv10、暗視Lv10、不意打ちLv10、打撃攻撃耐性(小)Lv10、聴覚強化Lv8、聖魔法耐性(極小)、毒生成Lv10、毒耐性Lv10、糸生成Lv10、噛みつきLv10、打撃攻撃Lv10、ファイヤーボールLv7、ウォーターボールLv8、隠密Lv2、俊敏Lv2、威圧、痛み耐性Lv2、農家Lv3、農具扱いLv2、地震、魔法耐性、我慢、投擲、体術、身体強化(小)、囮、咆哮、霧、透明化、透過、適応、瘴気耐性、弱点生成、風の刃

 ユニークスキル:強奪

 称号:転生者


 そして、これが俺の今のステータスだ。

 俺自身のレベルはあまり上がっていないが、スキルは結構増えたと思う。

 正直、このスキル達と子狐の力があれば、あの洞窟の奥にいた存在にも挑めるんじゃないか? と思えてしまうんだが、どうなんだろうな。

 今の俺とこの子狐が居ればあの時ほど勝負にならないって感じでは無いと思うんだよ。

 ……まぁ、子狐が直前であの圧に怯えて逃げる可能性も考慮するなら行かない方がいいんだろうけどさ。

 流石にやめておくか。

 あの洞窟の奥にいる存在は本当に命を懸けて戦わなくちゃならない相手だろうし、もっと強くなってからだな。

 この好奇心はまだ、もう少しだけ心の奥底に閉まっておこう。

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