第10話
村の住民達は大量のゴブリンが村に向かってきていることに今気がついたみたいで、慌てた様子で武器を用意していた。
武器と言っても、全然剣とかではなく、農具っぽいけど。
俺の位置は結構村を見渡せるいい位置で、ゴブリンの来ていない方向から女、子供を避難させようとしているのが良く見えた。
ここからでも分かるくらい、あの村の雰囲気は絶望に満ちていた。
やっぱり、戦う力なんて無いんだろうな。
それでも幸いと言うべきなのかは分からないが、俺が洞窟で出会ったボブゴブリンのようなゴブリンの上位種? って奴はいないからか、女、子供は簡単に逃げられそうだった。
もしも指揮を取れる上位種がいたのなら、これだけの数のゴブリンがいるんだ。村の人達を逃がさないために村を包囲させていた可能性が高いだろうし、そこだけは運がいいのかもな。
そして、ゴブリンが馬鹿みたいに村に突撃していくことによって村人とゴブリン達の戦いは始まった。
ここから見ている限り、ゴブリンも村人も目に見えて分かるようなスキルは使っていないみたいで、ただただ持っている武器で殴りあっているだけにしか見えない。
……実際、ゴブリンの持っているスキルはレアな個体以外大体知ってるし、本当に殴りあっているだけなんだろう。
村人の方だって何かいいスキルを持っているのなら、こんな村でずっと過ごしたりなんかしていないだろうし、村人も本当にただスキル無しで殴っているだけなんだろう。
……と言うか、今更なんだけど、俺、全然人が死んでもなんとも思わないな。
血を流し倒れて動かない人ももう居るし、あれは絶対に死んでいるだろう、という人を見ても、俺は特に何かを思うことは無かった。それどころか、後でスキルを奪いに行く時に何かいいスキルを持っていたらいいな、と思ってしまっているほどだ。
……まぁ、俺はもう魔物なんだし、こういう考えの方が正しいんだろうけどな。
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