藍より青く
本間和国
第1話 日本に行きたい!
フランスの中学に通う日本人。
身長171センチ
体重55キロ
色白で小さい顔に、くっきり二重の大きな目。
すっとした高い鼻に、小さな口。
黒髪のストレートのロングヘア。
アジアンビューティーというのがしっくりくる美少女だ。
「日本の高校を受験したい!?」
自宅アパートのリビングで、愛那は母にお願いする。
「うん。お願い。ママ。行っていいでしょ?」
「日本の高校って・・・一体どうして?」
「う・・・ん・・・やっぱさ、それは、自分の産まれた国?両親の産まれ育った国への憧れっていうか、リスペクトっていうか。」
「あたしは、良いと思うけど・・・でも、パパがなんて言うか。どこの学校が良いとかあるの?」
「まあ,ママの母校のが入りやすいだろうけど、先の事を考えたらバパの母校かな。」
「失礼ね。どういう意味合いよ。言っとくけど、パパ、ああ見えてかなり頭いいのよ。愛ちゃんの成績で行けるかな。」
「ご心配なさらず。あたし、顔はママに似てるけど、有り難い事に、頭はパパの遺伝子を受け継いでるの。だから、ぜんっぜんっ、問題なぁ〜い。」
「ムカつくわね。」
「ただいま。」
仕事を終えた父が帰ってきた。
「パパ!おかえりなさーい!」
愛那は急いで父の元に行く。
「ねえパパ、あたし日本の高校受験したいの。ねえ〜行っていいでしょ?」
父は冷蔵庫からビールを取り出す。
「いいんじゃないか?」
愛那は両手を挙げて喜ぶ。
「やったー!!ありがとう!!バパ!!」
――やったー!!日本の高校に行ける!!!
こうして、愛那は父親の母校を受験する事になった。
愛那が日本の高校に行きたい本当の理由。
それは、バレー部に入りたかったからだ。
最近見たバレーの試合で、愛那は男子バレーの選手に一目惚れし、生で選手を見たいという浅はかな考えだった。
そんな理由で行きたいと言ったら、真面目な父は激怒するに違い無いと思い、あえてちがう理由で懇願した。
理由はどうあれ、偏差値90の進学校に合格できたのでスゴイ。
◇◇◇◇◇
「あ!愛ちゃん!こっちこっち!」
空港では、愛那の祖父母が待っていた。
愛那は無事、父親の母校に合格し、4月から、祖父母の実家から学校に通う事になった。
「じいじ!ばあば!」
愛那は2人の元に駆け寄る。
「久しぶりだなぁ。また背が伸びたか?」
「もう〜バパとママがデカイから、あたしまでグングン伸びちゃったよ~。
でも、もう止まったから大丈夫!」
「ますます
「そう?でも、あたしはママほどワガママじゃないから大丈夫!」
「
3人は会話を楽しみながら、祖父の運転手付きの車で、祖父の家に向かった。
「おかえりなさいませ。まあまあ、愛那お嬢さん、大きくなられて。」
玄関を開けると、家政婦の順子さんが出迎えてくれた。
春川家には、約50年勤めていて、今年で70歳になるベテラン家政婦だ。
「お久しぶりです。えっと〜・・・」
「順子ですよ。」
「そうそう!順ちゃんだ!」
順ちゃんと呼ばれ、少し驚いたが、すぐにいつもの笑顔に戻った。
「さあさ、奥へどうぞ。おやつを用意してありますよ。」
「やったー!ありがとう順ちゃん!」
愛那はイソイソとダイニングに向かった。
愛那はお迎え前に祖母が作っておいてくれたドーナツと、順子さんが入れてくれた紅茶を飲みながら、フランスでの生活と、父と母の話を機関銃のように話した。
祖父母は、愛那の勢いに圧倒されながらも、嬉しそうに話を聞いた。
愛那が日本に戻ってきたのは1年ぶりだった。
幼い頃は、年に数回戻ってきたが、大きくなるに連れ、両親の仕事が忙しいのと、受験などが重なり、久々の帰国となった。
おやつを食べ終え、一通り話を終えると、愛那は祖母に部屋を案内される。
その部屋は、愛那が生まれた時、母親と1年間過ごした部屋だった。
その後も帰国する度に、愛那達は、この部屋を利用していた。
愛那は部屋に荷物を置くと、窓を開け、外を眺めた。
――これから、ここで暮らすのかぁ。
愛那はスエットに着替えた。
「ちょっとジョギングに行ってきまーす!」
愛那はスニーカーを履いて、外に出た。
顔とスタイルは母親似だが、頭と運動神経は父親似で、愛那は小さい頃から、数々のスポーツに挑戦し、優勝してきた。
しばらく走ると、コンビニから高校生の背の高い男子が出て来た。
愛那は、チラッと横目で彼を見る。
彼もまた、愛那の綺麗な顔を見つめる。
――スッゲー可愛い!
男子は愛那に一目惚れをした。
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