番外編 流星雨~夜絵の詩~

 灰色の大地に

 背中預けて見上げた夜空を

 冷たい流れ星が切り裂いた。


 一瞬にして消える空の亀裂。

 けれどすぐにまた

 新しい刃が黒い夜空を傷つける。

 

 この空の儀式を輝夜は美しいと言った。

 この空の儀式を私は悲しいと思った。

 

 美しくはない。

 ただ一瞬空を傷つけるために

 散っていく星たちは。


 美しくはない。

 ただ一瞬の痛みの見返しに

 小さな星を握りつぶす夜空は。

 

 世界が始まった時から幾度も繰り返されてきた

 この儀式を

 私はこれからも見届け続けなければならないのだろうか。

 この灰色の大地の上で。

 


 ―夜絵―


    2003年3月


世界が危うい感じになってきた頃、書いたやつ。

夜絵は、流れ星に別の物を見ているわけですが、「自ら真っ白い世界を捨てて、穢れある世界に来た人」と、「世界はそういうものだと知りながらもそこに憂いを感じている人」の違い、みたいな感じで書いたと思います。

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