番外編 流星雨~夜絵の詩~
灰色の大地に
背中預けて見上げた夜空を
冷たい流れ星が切り裂いた。
一瞬にして消える空の亀裂。
けれどすぐにまた
新しい刃が黒い夜空を傷つける。
この空の儀式を輝夜は美しいと言った。
この空の儀式を私は悲しいと思った。
美しくはない。
ただ一瞬空を傷つけるために
散っていく星たちは。
美しくはない。
ただ一瞬の痛みの見返しに
小さな星を握りつぶす夜空は。
世界が始まった時から幾度も繰り返されてきた
この儀式を
私はこれからも見届け続けなければならないのだろうか。
この灰色の大地の上で。
―夜絵―
2003年3月
世界が危うい感じになってきた頃、書いたやつ。
夜絵は、流れ星に別の物を見ているわけですが、「自ら真っ白い世界を捨てて、穢れある世界に来た人」と、「世界はそういうものだと知りながらもそこに憂いを感じている人」の違い、みたいな感じで書いたと思います。
次の更新予定
2024年9月20日 19:00
月は白く輝いて 暁香夏 @AkatsukiKanatsu
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