パレット

秋雨

 漆黒をも凌駕する初夏の熱帯夜。

 僕はただ空を眺めていた。月などは存在しない。ならば星々が燦々と、ということもなく、幼稚園児が黒インクをぶちまけたみたいな特徴のない天井だった。

 おそらくは、僕を歓迎するためにその身を黒に染めさせられたのだろう。これといった特技もなく、他者より優れている点も特になく、文字通り特徴皆無の我が身に寄り添うため、何か大きな力がそうさせたのだろう。

 そうでもないと、彼らがかわいそうだ。

 ネットにまでも載っていない無数の色を体現する彼らが、ここまで惨めであっては良くない。

 一度瞬きをして、改めて空に目を向ける。

 そこには僕がいた。

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パレット 秋雨 @tuyukusa17

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