魔王エ口サイ卜

高谷

プロローグ

 ここに一人の魔王が居た。


 魔王の名は「エグチ・サイホク」。漢字を使うと「エ口サイ卜」で「エロサイト」ではなく「エグチサイホク」と読む。


 見た目は魔王というだけあって肌は青黒く目は三つ。頭には山羊のような角が生えており、背中にはコウモリのような羽が1対と天使のような羽が1対で計4枚の翼が生えており、尻と尻の間にはトカゲのような尻尾ではなくトカゲそのものが生えていた。……というような事はなく、尻と尻の間には尻が生えていた。……というのは全て冗談で、魔王の見た目はどこにでもいる普通の魔王、どこにでもいる普通の生物ナマモノだった。


 そしてそんな彼には右腕とも呼べる忠実なるしもべがいた。


 魔界の最新鋭アンドロイド。美少女系アンドロイド型メイド式人工知能siriを搭載した「siri・滅裂」という名のそれほど美少女でもないが、ゴリラの中にいればブッチギリの美少女アンドロイド。それが魔王の腹心「siri滅裂」だった。


 siriはパッと見だけでは人間と区別がつかないどころか、2度見3度見しても人間にしか見えず、YouTuberの中にいてもTikTokerにしか見えないくらい精巧に造られたアンドロイドだった。


 そんな魔王とsiriは今――ワケあって魔界を追放され日本の東京に来ていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る