再会?
シオン達がコメディをしている時に、待ち切れなかったゼノン皇帝が待合室へやってきた。
「なかなか来ないがどうした?」
部屋に入ると入口にいた騎士が敬礼をして頭を下げた。
「はっ!申し訳ございせん!シオン御令嬢が緊張していたので、緊張をほぐしていた所でした」
うん?あの令嬢が緊張だと???
「ゼノン皇帝は視線を部屋の中に向けると、シオンの仲間達も静かになり、シオンと視線が重なった。
「相変わらず美しいな」
ズッキューン!?
シオンは真赤になって俯いた。
姿絵で顔は知っていたが、実際はもっとイケメンだったからだ。
そしてシオンはメンクイだったのだ!
『これはイケる!』
逆に仲間達はシオンの様子を見て、掴みはOKだと感じた。皇帝のお手付きになればバンバイザイである。
ハッとシオンは慌てて挨拶した。
「お初にお目に掛かります。オリオン辺境伯家の長女シオン・オリオンでございます」
「ゼノン・エスタナだ。待っていたよ」
「あの、私は初めてお会いしたと思うのですが?」
しまったとゼノンは顔に出さず内心で思った。
「すまない。姿絵を見ていたのとカノンから細かく報告を聞いていたのでな。つい勘違いした。それより、これからの事について話したい。ついて来てくれ」
ゼノンに言われて執務室へと移動した。
「さて、仲間の者達も席についてくれ」
執務室の横にはテーブルと何人も座れるソファーがあり、お互いに向かい合って座った。
「あの皇帝陛下、ここは重要な書類もある所です。私のメイドや護衛達は待合室で待たせるべきだったのでは?」
「何を言っている。これからオレ達は戦友となるのだ。無下にはできん」
!?
「お嬢……シオンお嬢様、前回自分が来た時もこの部屋に通されました。皇帝陛下は信用できる方だと思います」
リオンがフォローした。
「紹介しよう。宰相のマルス・クリアンスだ。オレの数少ない信用できる家臣だ」
「初めまして。シオン令嬢の手紙が届く度に、王宮は大騒ぎで楽しかったですよ」
笑いながら宰相は話した。
「なに言ってやがる!手紙が届く度に頭を抱えていただろうが」
「おや?それは陛下も同じだったではないですか?」
軽口を言い合うほど二人の仲は良いのだと感じた。
「それで宰相から『常闇の蜘蛛』について聞いたよ。たいした事は知らなかったが、5~6年前に壊滅したぐらいしか、わからなかった」
「それは仕方がありません。滅多に表舞台には出てこない奴らでしたから」
「この件については、お互いに情報交換したいと思う」
「かしこまりました。あ、それとヴァイス侯爵領でルドルフ様にお会いしました。信用できる方でしたので、事情を話してこの件についても調べてくれるそうです」
驚いた顔でゼノンと宰相は顔を見合わせた。
「確かに、ヴァイス侯爵が叛乱を企てていると手紙を貰ったが、実際に会っていたとはな。城にきたらすぐに逮捕するつもりだったが、シオンのおかげで何もしなくても良くなった。感謝するぞ」
シオンはゼノンの偽りない感謝の言葉を嬉しく思った。
「さて、に詳しい話は今度にするにして、これからの事について話そう」
横にいた宰相が書類を渡してきた。
「おおまかな内容をお伝え致します。今回は誰かさんの我儘で、7人の妃を娶らず日曜の妃のみ妻にすると言われました」
チラッとゼノンの見て説明した。
「それで。各自で課題を出すことにしました」
課題とな!?
「そんな身構えないで下さい。課題は【王妃になって何をしたいか?】この課題を1年間取り組み、成果を出して下さい」
王妃になって何をしたいか?
「これは王妃になる前の予行練習とでも思って下さい。まぁ、シオン王妃様はいつも通りで良いと思いますが」
???
「いつも通りとは?」
「何を隠している?もう実践しているではないか?土芋と赤芋の大規模栽培で民の飢えを無くす事に、砂糖の代わりになる調味料を帝国で作れないかと、模索中なのだろう?」
ニヤリッとゼノン皇帝は言った。
どうしてそのことを!?
シオンも一瞬驚いた表情をしたが、すぐに通常の顔に戻した。
「それが課題になるのですね」
「そうだ、正確には【王妃になってどう国を富ます事ができるのか?】これが本当の意味の課題だ。同じ説明をした、とある王妃候補の令嬢は、最新のドレスを流行らせますわと、真面目に答えたバカもいたがな」
そいつは問題外と言ってすぐに候補を辞退させた。
「その課題について3ヶ月に1度、進捗の報告をしてもらう。後、最低でも月に1回は各妃候補と2人で食事会をする予定だ。これが大まかな日程になる」
なるほどね。でも月に1回の食事会は面倒ね。
「1つだけ、月に1回の食事会は辞退してもよろしいのでしょうか?」
驚いた顔でゼノンはシオンをみた。
「………オレと食事をするのは嫌か?」
「いいえ、そうではなく、一ヶ月に一度、『戻らない』といけないのが面倒なので」
ゼノンは頭が痛いと手を頭に当てた。周囲を見ると仲間達も同じポーズをしていた。
何故に!?
解せぬ!!!
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