名場面!
アクダイカーン男爵は目の光景に目が離せず、逃げる事も忘れてた呆然としていた。
「ば、バカな!五十人はいたんだぞ?僅か十名にも満たない手勢で、どうして………」
強すぎる!?
特に前線で戦っているメイド服を着ている女二人が強い!ハルと呼ばれた女は、両足に着けて隠していた大型ナイフを両手に握って、配下達をバッタバッタと斬り倒している。(刃を逆にして峰打ち)
アキと呼ばれた女はいつの間にか徹甲(てっこう)を装着しており、剣を徹甲で受けてガードし、そのまま殴り倒している。
主犯であり、リーダーっぽい女を狙うも、騎士のようなヤツらが5人で守っており近付けない。
その護衛も強く、メイドより手が出せない。
そうしている間に、ワシの配下の者達は全滅していた。
( ´Д`)=3
「はぁ~弱すぎですわね。もう貴方1人ですわよ?」
男爵は周囲を見渡して自分1人立っている事を認識した。
「貴様ら!貴族である男爵のワシにこんな事をして、ただで済むと思っているのか!!!?」
焦る男爵にシオンは冷静に、凍えるような冷たい声で言った。
「………ええ、知っていてよ?領民を省みず、自らの権力と金を求めるしか興味のないクズ領主でしょう?」
シオンの物言いに憤慨するが、シオンの圧力に言い返せなかった。
何か反論しろうと冷や汗を掻きながら躊躇していると、入口の門の前に街の人々が集まってきた。
シオンが派手に門を破壊した大きな音で、何事かと人々が集まってきたのだ。
それを見たアクダイカーン男爵はニヤリッと嗤った。
「おいっ!貴様ら!!!ワシを助けろ!こいつは賊だ!ワシを助けた者には税を免除し、褒美もやるぞ!!!」
ザワザワ
ザワザワ
人々は、ざわめいたが、誰も動こうとしなかった。
シオンは手を上げて護衛の騎士に命じた。
そう、馬車に閉じ込められていた女の子達を助け出したのだ。屋敷から運び出そうと門の近くに馬車があったのも幸いした。入口の人々から馬車が良く見える場所にあったからだ。
騎士達が馬車の扉を開けて、閉じ込められていた女性達を次々に馬車の外へ運び出し、縛られた手足と猿轡を外した。
「みんな、聞いて!男爵は私達を奴隷として売り捌いていたのよ!」
「私達は騙されて、無理矢理借金を負わされて売られる所だったのよ!」
助け出された女性達は大声で叫んだ。
奴隷売買は帝国法で禁止されいる。いくら借金があるからと言っても、いや、不当に借金を負わされたと聞いては黙っていられない者もいた。
「おい!どういうことだよ!?」
「アイカ!大丈夫?」
助けられた女の子に集まる家族がいた。
「これはどういう事だ!税が払えないのなら、娘を奉公に出せば免除してやると言うから、娘を奉公に出したのに!」
「それに売られるってどういうことだよ!!!」
ヒィィィイイ!!!!!
ただでさえ高い税を払わされて、良い感情がないのに、さらに大事な娘が売られると言う所で、街の人々の感情が爆発したのだ。
「おい!き、貴様の目的はなんだ!金ならいくらでもやる!だ、だから───」
「いらないわよ。女達を売り飛ばして得た汚い金なんてね。それに私には別の目的もあるし」
「別の目的だと………ふざけるな!お前など侯爵様にお願いすればすぐにでも痛い目に会わせてやる!」
今にも街の人達が入口から押し掛けようとしたタイミングでシオンはハルに目配りをした。
ハルはみんなが聞こえる声で叫ぶと、手を突き出した。
「無礼者!!!この御方と誰と心得る!イリシア王国の【守護神】オリオン辺境伯が娘シオン・オリオン御令嬢である!そして、この国の皇帝陛下に嫁がれる王妃様であらせられるぞ!オリオン辺境伯家の家紋が目に入らぬかーー!!!!」
ハルの手には開いた【扇】があり、開いた扇にはオリオンの家紋である、『鷲の頭に左右に剣と盾』が描かれていた。
!!!?
「みなのもの!頭がたかーい!控えおろう!!!」
ははっーーーー!!!!!!
門の前に居た人々は両膝を付いて頭を付いた。いわゆる土下座スタイルである。
アクダイカーン男爵も土下座をした。身分の高い者には低姿勢であり、王族になる人間に強気な態度の取れない小心者だった。
そして、これから断罪劇が始まるとも知らずに。
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