自分の意見を叫ぶとき、大抵は届かない言葉だ。身勝手で、どうしようもなく聞く価値がない。しかし、これは文章の作りのうまさで聞く側の人間をどうしようもなく引き込んでくる。そして人生に負けた苦しみを吐いた怨嗟を、我々の心の中へ届かせる。いつも掃いて捨てられてしまう言葉を、届かせる力がある。笑いと敗北感を与える、素晴らしいエッセイだと思う。