火を噴く東京リモートワーク

にこにこ先生

火を噴く東京リモートワーク

食い込むような日差しが照りつけて、冷房を強めにかけないと命の危険を感じる。ボンネットでピザ、ルーフでお好み焼きを作ることも難なく出来るであろう。梅雨なのにかくの如く灼熱なのは誰のせいか。誰のせいでもないが、被疑者として挙げられるのは「地軸の傾き」である。夏の間は北半球では地球の軸が太陽に向かって傾いている為、太陽光がより直接的に当たりエネルギーが集中する。夏季に於ける高気圧の発達と相まって左様に灼熱となる。


そんな理屈は益々、体温を上げるばかりである。場合によっては病を招く。目の前に氷が欲しい。冷たい麦茶と冷えた丸いスイカ、そして風鈴があれば尚、良い。


僕は「システムエンジニア」という分かるような分からないような名称を生業にしている。


仕事場は、本社と現場と時にリモートワークという形態を取っている。最近の担当はPM (*1)が多いが、プレイングマネージャ (*2)も多いしシンプルに手を動かす要員(ワーカー) (*3)もよく担当する。分野は問わず、インフラ、開発、仮想基盤、NWと様々である。運用だけはあまり面白みを感じられないので請け負わない様に仕向けている。


今日はリモートワークである。コロナ禍の初期に出社からリモートワークへと転換が大きく進んだ。その頃は家で仕事ができることに対しパジャマ姿でヒャッハー風味であったが、今では慣れて全然そんな気分ではない。唯一、良いところは就業時刻になったら即刻、仕事を終わりにできることくらいか。


本社でも、特に現場でもそうだが、終業時刻の17:30になっているのに誰も帰らないのは何故なのか。


作業進捗の定量化と管理が出来ていことが理由ではなかろうか。或いは突発的なタスクが入り対応に追われ、バッファが無いため、残業になっているのか。あの謎の帰りにくいムードは何なのだろう。ずっと昔からどこの会社でもそんな風習がある気がする。


上司や先輩が帰っていないと特に顕著で、終業時刻が近づくと緊張が走る。残業代が正しく計上される所であればまだ納得し得るが、残業代が出ないところ、みなし残業とかいう謎システムのところなどは苦味しかこみ上げてこない。「お先に失礼します」の言いづらさたるや。


でもリモートなので今日は定時で終わらせてカクヨムの記事を書く僕なのであった。



[ 用語解説 ]


(*1) PM

いうことを聞いてくれないメンバをなだめすかし、やって欲しい事を願い倒し、プロジェクト全体をなんとか進めようとする人。案件に関係する技術全体に通じている必要がある。名前に反して控え目かつ和やかに丁寧に接するスキルも要求される。特に対顧客に対してはお客様の特性を理解し柔軟な対応を求められる。全体をさばいたフリをするようなPMの案件は言わずもがな炎上しメンバの命を削ることとなる。


(*2) プレイングマネージャ

PMをしつつ作業も同時に担当する場合の名称。


(*3) ワーカー

案件の各フェーズに於ける実作業を担う立場の名称。

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