YouTube動画投稿用自作原稿(短編)
三途ノ川 黒
投稿日 2024年7月4日
2024年7月4日 作成
マッチングアプリの闇(ホラー)
ある男は、マッチングアプリで出逢った、容姿のそんなに整っていない女性に恋心を抱かせてから暴言を吐いたり罵倒をすることによって日頃のストレスを発散していた。
「おい、ブス!! てめーなんか誰も求めてねーよ!!」
「デーブ!! 一生一人でオナってろ!!」
「ベリーショートはなぁ、顔がちいせぇから可愛いんだよ、てめぇはおっさんだな!! おっさん!! ぎゃははははは!!」
そんな男でも、恋はするもので。
マッチングアプリでいいねしてきた超絶美女にコロリ、と恋に落ち、マッチング。
なかなかLINEを交換してくれない彼女にイライラしながらも『人を傷つけることより心地いい恋』を覚えて行った。
男は、自身も容姿が整った方ではなかった。
マッチングアプリの画像はまだ整っていた顔の半分だけを見せたマスク姿だったし、中肉中背を隠すために、女性と会うなんてことはしなかった。
要は、コンプレクスだったのだ。自分の整っていない容姿が。
だから、画面の向こう側の女性に対してだけ強気で傷つける、なんてことができたのだった。
ある日、その美女が、「貴方に会いたい」と言ってきた。
男は焦った。
こんな自分じゃ幻滅されるんじゃないかと。
そして、「ごめん、仕事忙しくてさ」とせっかくの美女とのデートを断った。
その日、デート予定だった日。
男は家にいた。
デートに行けなかった鬱憤を、またあの『罪』で晴らしていた。
その時だった。
―ピロリン
「お、小鞠ちゃん?」
小鞠というのはあの超絶美女の名前だ。
本名かは分からないが。
『貴方に会いたい……あいたい、あいたい、あいたい……殺したいほどに』
―ゾワリ。
寒気がして、背中に嫌な汗が滴る。
「なん、だよ、これ……」
―ピンポーン……
『健くーん。会いに来たよぉ』
あいに、あい、あいにき、あい、あい、あいたか、ころしたい……
その後、男の姿を見た者はいない。
小鞠というアカウントも消えていた。
小鞠とはなんだったのか。
ただ、言えるのは、人を簡単に傷つけてはいけないということ。
もしかしたら、その思念が、怨念になってしまうかもしれませんよ?
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