ウーバー・イーター
矢田川怪狸
第1話
204X年、世界の大都市上空に突如として異世界に繋がるダンジョンが現れた。
ダンジョンからは有象無象種々雑多、数えきれないほどのモンスターが湧いてきて地球人類たちを蹂躙せんとした。
そんな時に人類の希望として現れたのがハンターだ。彼らは常人にはない特殊なスキルを駆使してモンスターを倒し、大元であるダンジョンを攻略してその入り口を閉じ、人類の未来を救った。
その後もダンジョンが不定期に湧くが故に、今ハンターは今日では政府公認の特殊職として認められている。
さて、そんなハンターとて所詮は人の身。腹が減れば飯も食う。特に他に娯楽もなく戦うばかりのダンジョンでは、食事こそが唯一の娯楽でもある。
ところがダンジョンでの普段の食事といえば、携行に便利なレトルトか缶詰か。ビスケット状に焼いた栄養補助食なんかもあるにはあるが、“楽しむための食事”には程遠い。
例えば長期戦で携行食に飽きた時や、例えば大事な決戦を明日に控えて食で英気を養いたい時など、ハンターたちは無聊を慰めるべく宅配を頼む。ハンターが取りこぼしたモンスターの攻撃を掻い潜り、ダンジョンの奥底まで料理を届けるこの宅配業者を、世間では一般家庭への宅配と区別をつけて“ウーブ”と呼ぶ。
人気絶頂のハンターをモデルに登用し、『戦いすんで飯食って』というキャッチコピーをデカデカと被せたポスターが世間の話題を攫い、今日ではウーブという言葉もすっかり定着した。ハンターが「今日はウーブしようぜ」といえば、それは宅配飯をとろうぜという意味なのである。
そんなウーブを生業とするダンジョン専門宅配人を"
これは、そんなウーブに命をかける一人のウーバーの物語である。
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