第1章

1, 王国に住む氷雪姫

「お嬢様。お目覚めのお時間ですよ」


使用人のその言葉で私の意識はゆっくりと浮上して目を軽く擦り起き上がった。


「おはようございますお嬢様。さぁ起きてください陛下がお待ちですよ」


「……えぇ。ありがとう」


使用人は手早く私の身だしなみを整え陛下……お父様が待つ部屋へと案内した。


「おはようエストレッラ。よく眠れたみたいだね」


「おはようございますお父様。えぇよく眠れました。」


私は軽くそう答えてから席につきお父様と一緒に朝食を食べ始めた。シンとした部屋に響くナイフとフォークの音に特に気にすることも無く食べ進めていると「そうだ大切な話があるんだ」とお父様が告げてきた。



「……大切な話とはなんでしょうかお父様」


「エターニア帝国の第1王子との縁談が決まった。」


「……は?」


何を言っているんだこのお父様は。いきなり縁談が決まったと言われてもとても困る。


「エターニア帝国と言うと……あの大国の?」


「あぁ。これは我が国と相手国と同盟も兼ねている。頼んだぞエストレッラ」


「……はいお父様」


そう返事をしたあと私は自分の部屋へと戻りため息を吐いた。まさか私に縁談が入ってくるなんて思ってもなかった……


「確か……エターニア帝国は香水が有名だって使用人達が言っていたわね……出向くのは一月後……準備をしておかないと」


私はそう呟いてから自分の仕事へ取り掛かった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る