狂ったさくらんぼ

あのね!

第1話 家族

 


 漫画家として破竹の勢いの田宮陸は現在36歳。漫画家として丁度15年が経過した。


 だが、栄光とは裏腹に陸の周りでは何人もの美女が非業の死を遂げている。

 

 一体何があったというのか?


 作風はどちらかと言うとヒーローもの、バトル・アクションものが主なのだが、どういう訳か現実社会ではミステリアスな事件に直面させられている。


 それも……調べを進めていく内に陸と交際関係に有った美少女、美女たちばかりが非業の死を遂げている。


「ヤヤヤメテ――ッ!あっ・・・あなたは……あなたは……キャ―――――――――ッ!」


 この事件を解決するには最初に事件が起きた15年前に遡らなくては事件は解決しない


 ★☆


 部屋に籠って何をしているやら……この家の長男陸は現在T芸大に通う2年生。


 そのふうたいたるや、まさしくオタクと呼ぶにふさわしい。髪の毛はボサボサで瓶底メガネのオタク気質の冴えない男子だ。


 朝の9時だというのに……まだご就寝中。


 実は……一見すると冴えない男子だが、日本角野漫画大賞で金賞を受賞している列記とした漫画家である。現在は連載をいくつも手掛ける超売れっ子漫画家だ。


 髪の毛はボサボサで瓶底メガネの冴えないオタク気質の男子だが、その実は……超売れっ子漫画家だった。 


 そんな事もあって徹夜で連載を仕上げているので、このような状態に置かれている。


 実は……兄陸はオタク気質の冴えない男子かも知れないが、妹ひなたは超可愛い誰の目から見ても超美少女。


 こんな事もあり編集者の目に留まり、陸の漫画本「マリンモンスター」が実写化される事になり、映画会社からのたっての希望で海のお姫様役として出演が決まった。こうして……ひなたは日本屈指のアイドルスターとなって行った。

 

 兄陸は有名漫画家で妹は超売れっ子アイドルスター。この様な恵まれた家族に対するやっかみもあり、不幸に見舞われたのでは?と当時新聞雑誌が挙って書き立てた。


 まあそれも確かに一理あるかも知れないが、納得のいかない事件だ。


 当時の新聞やテレビで連日連夜取り上げられた大事件だった。それはそうだろう。有名漫画家の彼女が殺害されたのだから……。


 ★☆


 それでは……当時の陸の生活環境はどのようなものだったのだろうか?


「お兄ちゃん起きなってば……」


「zzzzz zzzzz」


 起きない時は、おじいちゃんから貰った和太鼓があるので、それをひなたの部屋から持って来て陸の耳元に持って行きそれでいつも起こしている。


 ”ドン“ ”ドン“ ”ドン“ ”ドン“ ”ドン”


「起きろ!起きろ!起きろ!」


「んもう……うるさい!うるさい!うるさい!」


「ママ、リクまだ起きない!」


「リクいつまで寝ているの!オ・キ・ナ・サ・イ・」

 母が耳元で怒鳴り込むとやっと目を覚ます、これが毎日のルーティーンである。


 夜に漫画の制作を頑張っているので、眠るのがいつも明け方。


 ★☆

 それでは……家族の事情をもっと詳しく掘り下げてみよう。

 東京都国立市にあるお寺安福寺の住職は田宮剛。そして妻陽子と息子陸の3人家族。

 

 だが、安福寺の近所にスナックが多かったことから、檀家さんに連れられて顔を出している内に、ある女と懇意になり妹ひなたが誕生してしまった。


 要はひなたは愛人の子供という事になる。

 

 その事がバレて一時は両親の離婚騒ぎにまで発展したが、その女と縁を切った事で元の家族に戻りつつある。


 娘ひなたはどうなったかって?


 それが……その愛人美知という女、剛と別れるという条件で慰謝料ガッポリ請求して、さっさと店のお客さんと結婚した。


 更には相手の男性が美知がこぶつきと知って2の足を踏んだことから、田宮家でひなたを引き取る事となった。


 元々子供が出来難い陽子は、例え憎い愛人の子供だったとしても、女の子がどうしても欲しかった陽子は喜んでひなたを貰い受けた。


 

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