バフ料理で未来を掴む

山田マイケル

プロローグ

 ある日、世界は天災に見舞われた。全世界で原因不明の巨大地震が発生し、多くの国が壊滅的被害を受けた。そんな巨大地震と同時に、洞窟のようなものが大量に発見された。



 日本を含む多くの国で、洞窟への立ちりは危険だからと禁止にした。しかし、急に発生した謎の洞窟に興味を持つなというのは無理な話だった。天災を逃れた多くの人が興味本位で洞窟の中へと入ろうと試みたらしい。各国は天災の対応に追われていたのに加え、発生した洞窟が多すぎてまともに管理ができなかったこともあり、監視の目を潜り抜けて勝手に洞窟内に侵入する人が後を絶たなかったという。


 アメリカのフロリダ州に住んでいた男もその1人だった。洞窟の中はうっすらと光る苔が生えており、なんとか足元が確認できる程度の暗さだった。そんな暗さのせいか、男はブニブニしたジェル状のようなものに気づかずに踏んでしまった。そんな偶然の行為こそが、大ダンジョン時代の幕開けだった。

 突然、男の目の前に半透明のボードが出現し、「ステータス」と呼ばれる物が確認できた。自身の名前、年齢に加えて「レベル」と「スキル」他にも「気力」「魔力」「聖力」の3種類の値が確認できたという。

 男のステータスのスキル欄には「火属性魔法」とあった。どんな冗談だと思う一方で、何故かこれは嘘ではないと確信した。男は右手から火が出るイメージをして右手を前に出すと、その手から一瞬ライターの火のようになものが出てきた。


 そんな男が撮った動画とスキルについての考察が世界中に拡散されると、人々は未知の力に魅せられて洞窟へと踏み込んだ。その結果、洞窟内のどこかに必ず下へと続く階段があることなどが判明した。また、下の階には立ち入った人を本気で殺しにくる緑色の怪物がいることも分かった。そのことを受けて、世界各国は民間人の立ち入りを禁止し、洞窟に自国の軍隊を投入した。しかし、一度新たな力を手にした人々はさらなる力を求めて不法侵入を繰り返した。それを見た一般人も、自分たちも続くんだと言わんばかりに洞窟内へと立ち入った。あまりの違反者と死者の多さに各国は立ち入り禁止をやめ、遂には、立ち入る民間人を管理する方向へとシフトした。国許可を得て、洞窟に入り力を得た民間人は「開拓者」と呼ばれた。彼らは、その身を賭して名誉と力を求めてさらに奥へと潜っていった。



 そんな状況から50年。世界中の研究者により洞窟に関することが、どんどんと解明されていった。洞窟は今では「ダンジョン」と呼ばれ、ダンジョン内に生息し人類に対して敵対行動をする生物を「魔物」と定義した。ダンジョンに関する法は整備され、人類はダンジョンと共生することを選択した。人類に初めてステータスを授けた魔物は「スライム」と命名されていた。

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バフ料理で未来を掴む 山田マイケル @yamada_maikeru

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