第55話 デビルズスナイパー?
建国100周年!あのような事件があったのでお祭りは中止になるかと思ったのだが、国王陛下から「中止は罷りならん!」とのお達が出たようで続けて開催される事になった。
カガリさんとアカネは引き続き、親衛隊の魔法士と一緒に王都を監視している。うーむ、ご苦労様です。
ユーリと私はと言うと…
「こんなに楽して良かったんですかね…」
「だってナルミは魔法を使えないでしょ?」
そうなのだ。私は今、魔法を使えない。クロスライフルを全力で連射した反動で魔力切れを起こしているのだ。なので"ラブリーエンジェルス"は王都の警らを行うことになった。まあ、刀は使えるからね。
「でもせっかく武闘大会でもらった魔刀が折れちゃったね…」
「いえ、良いんです。ミシマ分室に来たときにユーリからもらった刀がありますから。」
「そのうち、ナルミのための刀を作ってもらおうよ。」
「え?何ですか?それ!すぐにほしいです。」
私達はゆっくりと歩きながら王城の正門前の広場に来ていた。正門は破壊され、昨日の戦いの跡が生々しく残っていた。多くの国民が狙撃されて穴の空いた初代国王の紋章を見上げていた。
ざわざわ
「何でもアグリーデーモンズが初代国王様の紋章をぶち壊したそうだぞ!」
「何!本当か!何て罰当たりな!」
「しかも国王陛下をタメ口で叱っていたらしい。」
「お、恐ろしい!!アグリーデーモンズに逆らうと王都では生きていけないという噂は本当なんだな…」
ざわざわざわ
「な、な、な、何おーーー。貴様ら皆んなぶっ飛ばしてやる!!」
キーキー!と騒ぐユーリを嗜めつつ、私達は『ミハルの店』の屋台を目指した。
ミハルの店は人だかりができていた。
「ユーリ、これはちょっと食べるのは難しいですね。警らをしないでお店に並んでいたらアカネに怒られますよ。」
「そうだね。はあー、最終日までお預けかー。」
その時、ミハルの店に並んでいたお客が騒然とし始めた。
「てめー、俺に順番を譲れないというのかよ!!」
「だって皆んな並んでいるから…」
絡まれているのは気の良さそうな若いお兄さん。
「俺を誰だと思ってるんだ!B級冒険者のガマンダだぞ!!」
このガラの悪い男は最近悪い意味で話題になっている輩。
「はあー。」
ユーリはため息をつくとすすっとガマンダに近寄り、その襟首を掴んで引き倒した。
「てめえ!何しやがる。俺をガマンダだと知って喧嘩を売って…はあああ!アグリーデーモンズ!!」
ガマンダはその場に平伏すると言い訳を始めた。
「こ、これはその、出来心で…」
私はガマンダの耳元で囁いた。
「私達の事を知っているなら話は早い。今度、騒ぎを起こして私達の手を煩わせたら頭をぶち抜きますよ。」
「はああ、あなたは『デビルズスナイパー』!ご、ご勘弁を!!」
ガマンダはガバッと立ち上がると一目散に逃げていった。
うん?デビルズスナイパー??
「はははは、ひひひ!デビルズスナイパーだって!ふふふははは!」
「ユーリ!!笑いすぎです!あなたなんて『バーサクデーモン』じゃ無いですか!!」
「だって、そのまんまなんだもん。」
「な、な、ユーリのバーサクデーモンだってそのままじゃないですか!!」
ざわざわ
「おい、アグリーデーモンズだぞ。」
「しっ!目を合わせるな!殺されるぞ。」
「あれが王都最強の特別チームか…」
ざわざわざわ
む、む、む。何だか怖がられてる?
「あ、あのユーリさん、ナルミさん。ありがとうございました。」
お、ミハルさん!相変わらずかわいいなあ。
「いえいえ、お仕事ですから。」
ミハルさんはもじもじしていたが、意を決して私達に問うてきた。
「あの、初代国王様の紋章を壊したのはユーリさん達なんですか?」
「いや!いやいや!違うから!いや、違わないけど…うん、壊したのは私だけど、それは仕方なく…」
「おい、やっぱりあの紋章を破壊したのはアグリーデーモンズのデビルズスナイパーらしいぞ。」
がやがや
「あと、国王様を叱り飛ばしたって本当ですか?」
「いや、それは私じゃないよ!ユーリ、ユーリだから!」
「な、ナルミ!何言ってんだ!私はバールを叱り飛ばしてなんかいないよーー」
ざわざわ
「おい、国王様を呼び捨てにしたぞ。」
「国王様とバーサクデーモンが対等な関係だっていう噂は本当だったんだ…」
がやがやがや
も、もう。勘弁して…
「ミハル、最終日の後夜祭に寄るからね!マムの分も合わせて料理!楽しみにしてるよ。じゃあねー。」
「あ、待って。ユーリさん、ナルミさん。」
私達はミハルさんを振り切るようにその場を離れた。あー、理想のかっこいい『ラブリーエンジェルス』になりたいのに!ユーリのせいで段々と変な噂になっている…
▪️▪️▪️▪️▪️▪️▪️
お読みいただきありがとうございます!これからもよろしくお願いします。
★や『フォロー』をいただけるととても嬉しいです。
気に入っていただけましたら是非、評価の程をよろしくお願いします。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます