第24話 合コン2

「ところでミットフィルはナルミの事が気になってるの?」


 ぶふっ。私は飲んでいたワインを吹き出すところだった。け、経験豊富なお姉さんはいきなりそんな事は聞きません!


「はあ、まあ、その、はい!」


 み、ミットフィルさんもな、何言ってるの!


「そっかそっか。ナルミ、良かったね。ししし。」


 私は顔が真っ赤になっていただろう。


「ユーリさん、俺はユーリさんの事が気になってます!」

「はい!俺の方がユーリさんの事が気になってます!」


 ミギとダルリ…。直接的だな…


「ふふふ、私は皆んなのユーリだから気持ちだけ受け取っておくよ。」


 ちょっとしゅんとしたミギとダルリだったが立ち直りも早い。


「はい、構いません!ユーリさん、またご一緒してくれますか?」

「うーん、奢ってくれるなら良いかな?」


 悪女だ!悪女がいる。


「はい、もちろんです!」


 私はミットフィルさんと顔を見合わせて苦笑した。あれ?何か楽しいぞ。


 次に出てきた料理はウナギを白焼にしてトマトソースをかけた一品。ウナギがふわふわでトマトソースの酸味が良くあっている。


「ナルミさんは射撃がお得意なんですね。決勝であんなに見事に撃ち抜かれるとは思いませんでした。」

「いえ、本当に運だったと思います。運良く勝たせてもらいました。」


 そんな事ない、ナルミさんの実力ですと言われ、私はとても良い気分になった。


「今度、一緒に射撃の訓練をしませんか?親衛隊で使っている訓練場をご案内しますよ。」

「本当ですか?」


 これってデートかな?訓練というのが色気ないが…


「ナルミ!ダメだよ!」


 酔っ払って目が座り出したユーリに唐突に言われた。はっ!ミギとダルリが寝ている?ど、どういう事?


「ナルミ!サーラと接触する危険のあるところには行かせられません!ダメです!」

「えー、ちょっとぐらい良いじゃないですか…」

「ダメ!あいつ絶対にナルミを引き抜くもん。」

「確かに隊長ならありえる…」

「よし、ミットフィル!今度一緒に狩に行こう!良いよね、ナルミ!」


 私に異存はない。心良く了承する。ところで…


「ミギとダルリはどうしたんですか?酔っ払ったの?」


 ユーリは苦笑しながら言った。


「いや、違うよ。カガリに眠らされたの。こういう時のカガリって神の領域かと思うくらい高次元の魔法を使うのよね…」

「…カガリさん…」


 最後のメインディッシュが来た。フォンで炊き込んだチーズのリゾットに柔らかい仔牛肉のステーキを乗せてある。もう、本当に最高!これを食べられないなんてミギとダルリはかわいそうだな!


「で?ナルミとミットフィルは付き合うの?」


 ぶふ!飲んでいたワインで咽せてしまった。


「な、な、何を言ってるんですか!」

「そうなの?ミットフィル?」


 ミットフィルさんは何とも言えない表情を浮かべていたが、こちらを見た目はとても優しかった。しばらくの間、見つめ合ってしまった。それを見ていたユーリが唐突に言った。


「だけどね、ミットフィル!ナルミと付き合いたかったら私を倒すことだね!」

「え?それはどういう意味で?」

「だから、私の相棒と付き合いたかったら私とタイマン勝負だ!」


 それって私が付き合える可能性があるのはサーラさんくらいなのでは??

 ミットフィルさんは最後に出てきた白桃のコンフィを添えた氷菓を頬張りながら答えた。


「はい、わかりました。今は無理かもしれませんがユーリさんに認めてもらえるくらいに強くなります。」


 真っ直ぐな言葉に私はちょっと心が揺れてしまった。だけど、もうちょっとハードルを下げてもらわないと私に彼氏ができないのではないか?




 

 ミハルの店からの帰り道。


「意外と楽しかったね、ナルミ。」

「はい、ですがユーリは経験豊富なお姉さんなのではなかったのですか?結局、ユーリには邪魔されました…」

「だって私の相棒が取られちゃうみたいで悲しくなっちゃったんだもん。」

「え?」

「まあ、私がもうこの人しかいないって認められるくらいじゃないとナルミの彼氏にはダメかな。」

「それってどれくらいの人ですか?」

「まあ、私が認めるくらいだよ。」


 へへへっとはにかみながら笑うユーリに私は見惚れてしまった。なんてかわいい顔で笑うんだろう。まあ、それでも良いか…


「ところでミギとダルリはどうしたんですか?」

「ああ、ヨームに特殊作戦室へ連絡をするように頼んでおいた。くしし、今頃アダルマンに怒られているかもよ。」

「ああ、また悪い顔してる!ユーリ、残念美女になってますよ!」

「何それ?」


 二人で夜道を歩きながらで晴れ渡って星がきれいに瞬いている夜空を見上げた。

 ユーリといると特殊作戦室に戻りたいという気持ちは色褪せてきてしまう。私はユーリの横顔を見ながらミシマ分室も悪くないなと思っていた。

 

▪️▪️▪️▪️▪️▪️▪️


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