ある食人鬼の話

巴雪緒

ある食人鬼の話

ある食人鬼の男が女性を食べた

その女性とは恋人同士であった。


男自身、人を食べるのは初めてだった。



女性は病弱で余命わずかだった。

女性は男に「自分を殺して食べて欲しい」と言った。

男は当然拒否するが、女性からの最期の願いだったため叶えることにした。




決行日、男は女性の胸をナイフで刺した。

女性の体内から血液が抜けていくと同時に、意識はどんどん失われていった。

男は女性が息を引き取るまで抱きしめて離さなかった。





台所は血の匂いが充満し、床や壁は白から黒ずんだ赤色へと変わっていった。

包丁で捌いたり、鍋に入れて茹でたりと男は無言で調理をしていた。




食卓には料理が綺麗に並べられており、男の向かいの席には頭蓋骨が飾られていた。


男は自らが調理した品を口へと運んだ。



 

この時女性は男とひとつになった。

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