第2話 ミミズのミス
人みしりがはげしく、おとなしいミミズは
自己紹介をするつもりで
「み、みず…」
と言いかけたらあまりの必死さに水だと
かんちがいされ、いっしょうけめい働いて
くれたありたちに
今さら本当のことは言えませんでした。
そこへ、もういっぴきのミミズがやってきて
言いました。
「コンビ組まへんか?
あんたの演技なかなかやったで。」
ほめられてるのか、せめられてるのかわかりません。もういっぴきのミミズが、みんなを楽しませたいと言うので耳をかすことに…
いいえ、協力することにしました。
「とりあえず名前つけよか。
今おるいちで君が左ミミズ
オレが右ミミズな。」
あまりに、テキトーすぎましたが
右ミミズは納得したフリをしました。
「せやな…さっきの水の入った葉っぱから
『みずからミミーズ!』って飛び出すのは
どうやろ?」
左ミミズは、はずかしくてそんな大胆なことはできそうにありません。
それでも協力することに決めたのですから 何か案を出さなければなりません。
とても小さな声で言ってみました。
『み、見ずに笑えるウサミミーズ!』ってのはどうかな?
みんなに注目されずに楽しんでもらえるなら
それが一番よさそうです。
頑張って考えたのに左ミミズは、聞く耳を
もちません。2ひきはおたがいに、
いっしょうけいめいコントを考えました。
そして、度胸をつけるためにオタマジャクシたちの前で発表することにしました。
最初に左ミミズが大きな声であいさつします。
「こーんにーちはー!」
右ミミズは精一杯の声で
「う、うるさいだろっ!」
とツッコミましたがとても小さな声でした。もう、その場からにげたくてたまりません。
「それじゃ、これでサユーナラー」
今度は大きな声が出ましたが、はずかしさの
あまりサヨウナラをかんでしまいました。
そこで、すかさず左ミミズがさけびました。
「左右ミミズやないわっ!」
そして右ミミズがにげないようにからみつき
ザブザブと水に入りながら言いました。
「水もしたたる、いいミミズ!
自分をかえりみずガンバル両ミミーズ
よろしくぅ!」
オタマジヤクシたちは
とんだりはねたり盛大な拍手をしました。
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