サンフランシスコに住むべらと、ゆかいでちょっぴりざんねんな仲間と、リトル・ゴーストの物語
九月ソナタ
1. スカンクのマリン
この
べらはサンフランシスコに、5ひきの生きものと住んでいます。
べらは
サンフランシスコのゴールデンゲート・ブリッジという赤い
「きみはスカンクみたいだ」と言われて、よろこぶ人はいません。
スカンクがどんなキャラなのかなんて、人はだれも知りません。でも、本当はいやな
スカンクがきらわれている主な
スカンクの
でも、それは
スカンク自身は自分のにおいは感じないので、どんなひどいにおいの中にいても平気です。
でも、マリンはそこがちがいました。くさいにおいに弱いのです。
世の中には、いつも、
マリンは生まれながらに、においにスーパーがつくほど感じやすいのです。それは人間だとすばらしい
マリンはそのくさいシャワーにはがまんできません。
自分のだしたにおいでも、気を失いました。
「こんなことをくり返していたら、死んでしまうわ」
ママが
「ぼくは生きたいでちゅ」
マリンも目に大きな
マリンは生きていくためにはどうすればよいのか、ママとふたりで考えました。においに弱いスカンクは、
マリンは一生けんめいに考えました。だれでも、生きるためには、自分で、一生けんめいに考えなくてはなりません。
マリンがどんな時にくさいシャワーを出すかというと、てきが
「ママ、ぼくはてきがいなくて、ストレスのない平和な場所に行けばいいんだと思いまちゅ。だから、そんな場所をさがちまちゅ」
マリンはそういう
「マリンはやさしくて、とてもおりこうなのに、くさいにおいにだけには弱いのよねえ。生きるには、それしかないわね」
ママは泣きながら
それで、マリンはファミリーやフレンズと別れ、ひとりでヘッドランズのスラッカーヒルという丘にやってきたのでした。
そこは風が強く、白いきりが冷とうこのドアをあけた時のように流れます。
でも、はれた時には青い海、赤いはし、白いサンフランシスコの町が見えて、それは美しいところです。
「ここでちゅ」
マリンは、ここがぼくのガンダーラだと思いました。ガンダーラとは天国というような意味です。
そこではてきもいないので、マリンはくさいシャワーを出さなくてよいのです。だから、気をうしなうこともなくなり、おだやかに、くらしていたのです。
もちろん、ファミリーやフレンズとのくらしはなつかしいです。
ファミリーは今ごろ、何をしているかな、とか、フレンズとなかよくあそんだ時のことを思い出しました。
ひとりのくらしはさみしいです。
しんしんとした夜には、どうしてこんな身体に生まれたんだろうと泣いてしまうこともありました。でも、生きていくためには、この道しかないのは知っています。
だから、考えても仕方のないことは考えないで、毎日の中に、小さなよろこびを見つけて、生きていくことにしたのです。
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