かけている

常夜灯の薄明かりに浮かぶ部屋


ふと開く本のページ

その文字と文字の間に


夜をひた走る心音の逼迫さ

軋むハムストリングの繊維の筋に


不意に上げる雄叫びの切れ間に

掠れて消えていく哀しみの余韻に


見えない感情を持て余して眠れない夜に

足りない何かを探している


気が付けば何かが欠けていて

何が欠けているのかさえ分からなくて


とりあえず丸くなって眠たふりをする


今日も夜をやり過ごす




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