眠すぎて眠すぎる

第1話

　今，私は非常に眠たい

　それはもう天地がひっくり返ったとしても気づかないぐらい眠たい

　どうして，こんなにも眠たいのだろうか……

　“夜更かししたからだろ”だって？

　いいや，私は夜更かしなんてしてはいないよ

　ただ，そうだね……

　今の季節は何か，答えられるかい？

　“夏に決まっているじゃないか”

　そうだね，夏だ

　夏といえばの虫がいるだろう

　どんな虫か分かるかい？

　“セミだね．みーんみーんって毎年この時期になると泣き喚くよね”

　残念，はずれ

　“ええっ！じゃあ何だってんだよ”

　答えは……蚊だよ

　“あーなるほど”

　蚊ほどこの地球上から絶滅してほしいと思った虫はいないよ

　さて，私が今眠たいのと蚊がどのようにして関係してくるのか察しの良い人は気づいているかもしれないけれど，君は分かるかい？

　“えぇー何だろう……潰すと血が出るから……とか？”

　はい，残念不正解

　“じゃあ，夜寝ているときに蚊に刺されてかゆすぎて眠りから覚めたとか……かな？”

　おしい！

　正解は……

　蚊が寝ている私の耳元で“ぷーんぷーん”って羽音を鳴らしながら飛んでいたからだよっ！！！！！！

　もちろん蚊に刺されて痒かったってのもあるよ

　“あぁーはいはいはい．なぁーるほどね”

　そうなんだよ

　もうね，うるさくてうるさくて仕方がないんだ

　一度目が覚めて，もう一度眠りにつこうとしても“ぷーんぷーん”って，“ぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーんぷーん”って

　きぃえぇぇぇぇぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇえぇぇぇぇぇえぇぇぇぇえぇぇぇぇぇえぇぇぇえぇぇぇえぇぇぇぇえぇぇぇぇえぇぇぇ

　“うぇっ，うっさいよ！”

　ごめんごめん

　まだ羽音が耳の奥に残っていたみたいで，思い出すともう……きぃぇｘ

　“すとっぷすとっぷ．今ここに蚊はいないから，密閉空間だから！！”

　はっ！

　はーはーはーはーはー……

　ごめんごめん

　蚊は私の耳元で何十分，いや何時間も飛び続けていたんだ

　“そっか”

　きっとあの蚊は今も私の部屋の付近で飛び続けているんだろうね

　はぁ～……

　“蚊取り線香買えば”

　部屋が臭くなるのは嫌なんだよ

　“じゃあ諦めなよ”

　そう言わずに一緒に考えておくれよ

　“血液型は？”

　Ｏ型だけど……

　“諦めな”

　え，酷くない？