3歩目
どんな魔法があるんだろうね、なんて言っていたけれど、本当の魔法は目の前の現象なんじゃないかって思うんだ。
閑話休題、お金がかかるらしい。
最低300zから。欲しい魔法は400zだった。それからレディバグを狩りまくった。【剣】【身体操作】というスキルが生えてきた。
手に入れたアイテムを売ったらすぐに目標額は達成できたのだけれど、アヤメは、【弓】【弓術】【身体操作】を手に入れたそうだ。1つ多いことを何かと喜んでいた。
俺とは何が違うんだろう。
という訳で今、【無属性魔法】を発動している。これでできることは、アヤメのスカートを浮かせるぐらいである。
一定以上は浮かせられないようで、イエローネーム警告とNPCからの評価が下がる警告、セクハラの警告と3つお叱りをいただいた。顔面を殴られた。頬が痛い。
観測できないなら、実在するかどうかの判断もできない。ならば彼女が彼の可能性だって……何故か睨まれた。
まだ【無属性魔法】の夢や希望が失われた訳ではない。男の浪漫はまだある。何度も練習すると出力が上がるようだ。
布→木の棒→鉄の剣、飛躍した気がするがざっとこんなもの。今はショートソードをもう一本浮かせられるようになっている。浮かせるだけだが。
限界が来ると頭がねじ切れる。ねじ切れはしないが、それぐらい痛い。頭が沸騰するんじゃないかってくらい痛い。本当に全年齢対象なのかっていうぐらい痛い。本当に痛いのだ。
アヤメは【雷属性魔法】を手に入れたようだ。矢の代わりに魔法を打ち出す練習をしているが、矢に電気を通した方が楽らしいし、そっちの方が威力があるらしい。
楽しくて興奮から一転、限界が来たようでかき氷を早く食いすぎた人みたいになっている。でちゃいけない声が聞こえてくる。
あ゛ぁ゛ばぁーーみたいな感じだ。
限界を何度も迎えると最大値みたいなのが増えるらしい。見ている分には残念ポンコツって感じがして面白いが運営はどうしてこのような仕組みを考えたのだろう。
アヤメは何かに気づいたかのように、はっとした。
「今度は私を浮かばせてよ。」
このポンコツはとんでもない。さっき俺にめくられたのを忘れたのだろうか。今度は警告が来ないよな?と思いつつ念じる。
今度は布を意識せずに身体にかけようとすると……いだだだだだっ痛い頭が唸ってハゲそう!?いだだだだっ
「なんかこころなしか手を挙げやすいよ!ふわふわしてる!浮いてないけど、もうちょっと頑張って!」
何かしらの力は働いているらしいが、アヤメが手を上げ下げすると、下げる時に鈍痛が酷くなる。抵抗値みたいなものでもあるのだろうか。
するとやはり布部分が浮き始める。鉄板スカートでもつけないとセクハラに抵触して無理なのではなかろうか。だがそれ以上は上がらないのでこのまま続けてみる。
今回は本人の同意付きなので警告は出なかった。体を浮かせてPK……結構強いのではなかろうか?となると難易度が高いことが考えられる。
【念力】を取得した。しかし、身体は持ち上がらない。頭の奥がヒリヒリとし、これ以上はいけないという警告が痛い。
システム的に無理なのだろうか。しかし、一度入院した時の脊髄に麻酔注射する時よりはマシな気がする。あの痛みに比べればまだいけるともう1人の僕が囁いている気がする。
「うわっ足がっアッハッハなにこれ面白い!」
するとアヤメの片足が浮きそうで浮かないぐらいの、某猫型ロボットみたいに数mm浮くぐらいの進展を見せ始めた。両手をジタバタしてバランスを取ろうとしている。
ピコンッという音と共に【念動力】を取得したらしい。周りを見る余裕がなかったが、遠巻きにこちらを見ている者がチラホラ。
苦しい。なので解除したらアヤメが転んだ。
「ごめん。重い。無理。」
「重いとはなんだっさすがに聞き捨てならないかなっ」
HAHAHA〜。ショートソードを浮かべてみたが、某ファンネルみたいな小刻みな動きはできない。良くて一直線に投げ飛ばすみたいな動作だ。浮かべた際、ちょっとびっくりしてたアヤメの顔は少し面白かった。
ごめんて。
続いてアヤメの特訓だ。
なんでも昔見た漫画と同じことができないか試してみたいそうだ。
アヤメが俺の身体に触れる。【雷属性魔法】で身体を覆うらしい。あだっ
静電気でピリッとくる感覚が全身を駆け抜ける。電流が流れるとはこのことだろうか。
美人に触られてウキウキ気分になってしまった罰があたった。ちょっと期待した気分は痛みにかき消された。呑気にガチ恋距離じゃんとか思ってはいけなかった。
今度はもう少し加減するからだという。自分が痛くならないよう体良く実験台にされてないか?でも顔が近いなぁ。いだあ゛っ
あれっごめんっじゃない、さっきより感覚弱めって言ったじゃん?え、動きはどうって?移動速度とかに変化はない。ジャンプもしてみるが静電気で髪の毛が逆立っているぐらいだ。ワクワクすっぞ。
実験したいことがあるって?あてりめぇだ。
おもむろにアヤメがレディバグを抱えた。離して弓を構えて電気の矢を放った。
爆発。
どうやら電気を帯びると威力が増強されることがわかった。つまりアヤメの行った事は攻撃力のバフみたいなものなのだろう。
こっちに向けないで。
初心者の矢に同じことをして、当たる瞬間に電気の矢をぶつけたら面白そうとか言っている。今の敵は初心者向けで、動きが遅いからそういうこと言えるんだよ、と諭す。
試しに初心者の矢に付与して引いてみたのだが、矢の速度が同じなので机上の空論に終わってしまった。
握手をした時に流して、矢を放ったら面白そうね。今のは〇〇ではないごっこができそうだ。その握手しようって手は何?
ふくれっ面になってしまったが、意外と戦闘厨なのかもしれないこの子。【雷属性魔法】の派生スキルに乞うご期待である。
何かスキルが増えたか聞いたが教えてくれなかった。秘密主義らしい。
そんなこんなで時刻は夕飯前。
今日はひとまず解散という流れになった。
……ならなかった。
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