第8話 違う、そうじゃない

「幼い子供の霊が走り回っている」

「血塗れた老婆が窓から覗いている」

「時々悲鳴や泣き声が響いてくる」

近隣住民から多数の依頼を受けた霊媒師は、怪奇現象が頻発する廃病院に足を踏み入れた。

彼は薄暗く荒れ果てた病院内を隅から隅まで、くまなく歩き霊を探した。

が、霊の姿は全く無い。近所の子供たちや赤い服の老人はいたが、むしろ澄んだ清い空気が院内には流れていた。

霊媒師は出口に立っていた裸の男に挨拶して、病院を後にした。

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