第5話 私だけ

「○○さん、この部分答えられる?」

教壇に立つ女性に微笑みかけられ、私は「はい」と返事をして気怠げに立ち上がる。

すると周りの生徒がまるで不審者でも見るような訝しげな視線を一斉に私へ向けてくる。

なんでそんな目で見るのか。私は一瞬考えて、その理由に気づいてしまった。


ああ、そうか。そういえば今は自習中で、先生はこの教室にいないじゃないか。

私が気づいて前を向いた時、満面の笑みを浮かべた女が目の前に立っていた。


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