第2話 同じ高校の一年女子、2
あれから占いの通りに準備を進め、今日私達の家でお母さんの結婚相手と対面する。
挨拶を済ませ、今後の事について話が進んだところで、私から相手の男性へと質問した。
「ところで、
相手の男性の名字である二歩だが、もうこの名字から二股とかしそうである。
「やだなぁ。モモちゃん。俺はそんな最低な行為、した事はないし、これからも絶対にすることはないよ」
「では、この動画について説明してもらえませんか?」
そう言ってスマホで動画を再生させた。そして、この男が友達と話している姿が映し出される。
「そういや、結婚するんだって?しかも子持ちらしいじゃん」
「まあね」
「あの浮気者が結婚かー。なんか企んでるのか?」
「企んでるなんてとんでもない。たまたま好きになった女性がお金を持っていて娘も可愛かった。それだけだよ。ま、不倫はもちろんするけどね。でも、不倫や浮気なんてみんなやってるし、十中八九バレない自信もある。今までの実績もあるしね」
「お前、娘にも手を出すのか?」
「いやいや、犯罪紛いの事はしないさ。ただ、同じ屋根の下で暮らすんだ。やりようはいくらでもある。いつもの様に仮面を被って攻略するさ」
「流石だな。お前の演技に騙されてきたやつが何人いるのか。もう俳優とか目指したらどうだ?」
「俺の演技や浮気テクニックも絶対って訳ではないからな。バレるリスクやバレた後のリスクを大きくする必要はないさ」
「なるほどね。まあ、いつか女に刺されないように注意することだな」
そして、動画の再生を止めた。二歩は黙ったままだ。おそらく上手い言い訳でも考えているのだろう。
「二歩さん?」
お母さんが二歩に説明を求めようとするが、
「女に刺される前にバレて逆に良かったんじゃないですか?」
私はそう言って煽った。占いの言葉を忠実に再現するためだ。
「このガキ!」
二歩が激昂して立ち上がり、手をあげようとする。が、私に拳が飛んでくる前に二歩が思いっきり転んだ。そう。本当に盛大に転けた。顔を床に打ち、鼻血も出ている。お母さんは状況を未だに理解できていないらしく、立った後にあたふたしていたが、こちら側に引き寄せた。
「貴方が不倫上等のDV男だと気付けてよかったです。もうこの家から出て行ってください」
「今日は本当にツいてないな。まあ、そういう事もあるか。冷静にいこう。冷静に」
「おい!今から俺はこの家から出ていくし今後関わることもしない。けど、そっちはそれで納得するのか?この後に何か仕返しとかされたら堪らないし、変な遺恨が残らないように俺の事を殴ってくれ」
「そんなのいいですからもう出て行って下さい!」
二歩の提案にお母さんが反応した。だけど、ごめん。お母さん。
「じゃあ殴らせて」
そう言って私は近付いた。
「ああ。いいとも」
痛っ。近付いた瞬間、両腕を後ろで固定され手で口を覆われた。
「大きな声を出すなよ。出した瞬間この女がどうなるか・・・試してみるか?」
「モモ・・・」
大丈夫だよ。お母さん。
バタバタッ。ガチャ。
ここで、玄関のドアを開けリビングに入ってきた警察の方数名が二歩を取り囲む。と同時に二歩が後ろに転けた。倒れたって言った方が正しいか?私も一緒に後ろへと倒れたが二歩というクッションがあったから大丈夫だった。そして、その機に警察が二歩を取り押さえたことで事態は収束した。
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