バズ・エクスプローラ!
696首
胎動
第1話 覚醒
初めまして。696首と申します。
拙作を開いて頂きありがとうございます。
執筆の練習のために書いてみました。
是非楽しんでいってください。
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内で囲まれている説明部分は、最悪飛ばしてもらっても構いません。簡潔なまとめを後書きに載せておきます。
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「うお!覚醒したわ」
夕食が終わって、各々が布団を敷いている教室に、俺ーー
「え?」
それまで友達と話していた人もみんな会話を止め、30人弱の視線が一気にこちらへと向く。
正確には俺の左手の甲、そこに現れた不思議な紋様へと。
数瞬の沈黙が教室を満たし、やがて状況を理解したクラスメイトから、
「「「「うぉぉぉぉおおおおおお!!!!?」」」」
歓声が上がった。
2020年5月の『
すぐさま場に熱気が伝わり、各々が興奮したように口を開く。
「マジで!?姫宮覚醒したの!」
「ようやくこのクラスから覚醒者出たよ!」
「姫宮だったかぁ…」
「見ようぜ!ステータス画面早く見せろ!」
「向こうの教室の人らも呼んで来ようぜ!」
「俺呼んでくるわ!」
「待て!一旦布団敷こ?敷き終わってからにしよう!」
口々に騒ぎ立てるクラスメイトたち。
誰かの冷静に促す言葉に従って、それぞれが興奮した面持ちで布団を敷く作業に戻った。
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私立 聖城学園 中学校高等学校。
大阪市天王寺区に位置する中高一貫校の男子校である。
元は中学受験界隈において最難関校の一角として位置付けられた、全国有数の進学実績の誇る学園だった。
俺たち74期生は2020年4月に入学。そしてその1ヶ月後の授業中に起きた『原災』によって、聖城学園はその存在をまるっきり変えてしまった。
世界中を襲った『原災』は大きな揺れから始まり、世界各地に地下構造体ーー後にダンジョンと名付けられるーーを作り出した。
ダンジョンには凶悪な魔物が出現し、それらの魔物はダンジョンの外にも足を伸ばした。
魔物が街を徘徊し、人を襲う。街を容易に歩けなくなり、人々は避難所へと集まった。
世界各国の政府は軍隊、兵器などの様々な対応や検証を行ったが、現状の打開は不可能と結論づけ、そこから終わりの見えない避難所生活と集団自衛が始まった。
しかし、悪い事ばかりではなかった。
ダンジョン出現からしばらくして、手の甲の紋様と共に異能力に覚醒する人達が現れた。
彼らは覚醒者と呼ばれ、街中どころかダンジョンの中でも通用する戦闘力を得て、ダンジョンが生み出す食料や資材などの様々な恩恵を避難所へと持ち帰った。
そのおかげで、避難所生活とはいえ、比較的早く快適な暮らしが戻った。
現に、生徒と周辺地域の住民を受け入れた聖城学園では、カリキュラムが変わったと言えど、1年後には授業が再開した。
インターネットも2年前には復活し、衣食住どころか娯楽にも困らない。
避難所からは簡単には出られないが、気分は完全に合宿気分である。
俺たち76期生A組ーー元の言い方なら今年で高校2年生になるーーは避難を受け入れた中高生により人数が増え、47人いるが、4年経て初めての覚醒者だった。
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数分後。
布団を教室に敷き終わり、普段は廊下を挟んで反対側の教室で寝る、もう半分のクラスメイトも呼ばれ、午前中授業を受けているこちらの教室にA組のメンバーが集まった。
教室に敷き詰められた布団の上で、50人弱の男どもが俺を囲って座っている。
「早く見せろ!」
「どんな能力やろなぁ」
「楽しみだね」
「俺は別にあまり興味ないけど…」
「まだ思春期のやつおって草」
「うるさいうるさい!早く見せろ!」
先程よりも興奮は落ち着いたとはいえ、喧しく野次を飛ばしてくる。
「分かったって。開けるよ?」
焦らしても仕方ないので、そう返事をして左手を前に出す。
インターネットも復旧した今、覚醒した能力の確認の仕方は出回っている。
思いを込めながら、右手で左手の紋様をタップすると、淡く光るステータスウインドウが開かれた。
「「「うぉぉ......」」」
近未来チックなステータスウインドウに、小さな感嘆が上がる。
と言ってもその感動は一瞬のもので、皆すぐに画面の中へと注目した。
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姫宮 葵
Lv.1
攻撃力:9
防御力:9
体力:8
速度:9
知力:16
魔力:10
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まずは俺のステータス画面。
これもネットで情報が出回っているので何度か見た事のあるものだ。
もっとも、この数値は俺だけのものだが。
「う~ん、微妙w」
「黙れ」
能力覚醒直後、すなわち一般人と同じ状態ではステータスの平均値は10とされている。
ほとんどが一桁の俺のステータスを見て、仲のいいクラスメイトが弄ってくるので、答えておいた。
「ガリ勉でワロタ」
「知力以外一桁じゃん」
「まぁ平均はギリギリ10超えてるし?」
「戦闘で一番使わないの知力でしょw」
「うるせぇうるせぇ!お前らもどうせ似たようなもんだからな!てか俺はまだ運動神経いい方だろ!」
他のクラスメイトも野次を言ってくるので、キレておく。
他人事だからって好き放題言いやがって...やっぱりコイツらに見せない方が良かったかな?
まぁイジリも怒りも形だけだ。
こういうしょうもないやり取りで笑う、男子高校生のノリみたいなものだ。
ステータスは置いておいて、画面をスクロールして能力を確認する。
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能力
【バズ・エクスプローラ】 分類:配信スキル 付与者:呑天の女神
スキルLv.1
アビリティ:無し
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「配信スキル...?」
おおよそ出来うる予想とは違う能力の分類に誰かが首を傾げる。
【バズ・エクスプローラ】の文字をタップして、説明を出す。
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【バズ・エクスプローラ】
ダンジョン内外の場所を問わず対象者を撮影することが出来る。
撮影した動画は、ダンジョン外で任意の端末にデータとして送信できる。
動画配信サイトYourTubeのアカウントと連携後は、撮影と同時に配信を行うことも可能。
連携したアカウントのチャンネル登録者数、及び総視聴時間に応じて、スキルレベルが上昇。
スキルレベル上昇時アビリティを獲得出来る。
生配信中は、同時接続者数、及びコメント数に応じてステータスが上昇する。
コメントによるステータスバフはコメント数によって変動し、コメントの文字量は関係しない。但し、スーパーチャットは上位のコメント扱いとし、金額に応じてバフ量が変動する。
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「ふ~む、なかなか独特なスキル...」
「ダンジョンの中は電子機器使えないから、ダンジョン内の動画はおろか、画像も一切出回ってないけど…」
「このスキルを使えばダンジョンの中を配信できるってことか。それで姫宮自身も強くなると」
「俺のセリフ横取りするなよ…」
「えぇ~!葵yourtuberなんの!?」
スキルの説明を読んだ各々が自由に感想を述べる。
さすが聖城生。理解が早い。
「普通に考えて、ダンジョン内の動画を世に流せる唯一の存在ってことでしょ?強くね?社会的に」
「ダンジョン攻略系配信者。需要はめちゃめちゃあるのに誰一人なれない究極のブルーオーシャン!」
「やり方次第ではすぐにバズりそうやなぁ」
「YourTube限定なんだ」
「呑天の女神さん俗世に染まりまくってんのおもろ」
うんうん。
第一印象はハズレかと思ったが、確かにコイツらの言う通りかなり使えるかもしれない。
「あとは登録者数とか同接とバフ量の比率次第だな」
「でもこれ、今すぐ戦える強さ手に入れたって訳ではないのか」
ん?
「ほんまや!今はまだ一般人と同じスペックなんちゃう?」
「確かに...魔法が使えるようになった訳でも、今すぐステータスが上がるスキルでもないみたいだしね」
んんん?
「底辺yourtuberの間は一般人と同じか」
「ダンジョン探索しないと人集まらないのに、人集まらないとダンジョンで戦えない...」
「堂々巡りだな」
「そこは迷宮入りだろ」
......戦闘力一般人マ?
第1話 覚醒
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(まとめ)
・『原災』と呼ばれる災害が4年前に起こり、ダンジョンと魔物が生まれた。
・魔物は街中も徘徊しているため、避難所生活になった。
・極わずかの人々が能力に覚醒した。その人たちを『覚醒者』と言う。
・避難所生活だが、インフラやネットは元に戻ってる。
・主人公たちはは大阪の進学校(男子校)「聖城学園」の76期生(高2)A組
・聖城学園も避難所になり、周辺地域の人達が集まっている。
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評価、レビュー、感想いただけると幸いです。
批判的な感想も歓迎です。その場合具体的に「何処が良くない」とアドバイスして欲しいです。
若輩者ですがお付き合い下さい。
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