第1話
1554年10月30日
堺の浪人、東雲忍は迷わず酒場に入った。手持ち僅か20貫。
これでは商いの元手にもならない。
元手を増やすために酒場の仕事を受けるために入ったのだ。
いろんな仕事を紹介されたが、商人護衛が報酬もよく、近場であれば早く帰ってこれるので割が良い。
堺から最も近い仕事の鳴門までが受けれたので、幸先がいい。
往復4日で250貫は有り難い。道中、賊に襲われることもなく楽な仕事であったがいつもそうとは限らない。
報酬を受け取ると店の奥から何やら歓声や悲鳴が聞こえてくる。どうやらチンチロ賭博の場がたってるみたいだ。少しのぞいてみるか。
奥の座敷にいた4人の中の助平そうな親父がじろっとそれがしの胸の辺りを見て、チッと舌打ちをしやがりやがった。なんだよ、その舌打ちは!おおかた博打の銭を払えない時に体で払わす気なのだろうが、マオマオ並みの絶壁には用がないらしい。
助平親父の名前を聞いて、殺すリストに載せておいた。そう、かつてのあのビザンツ=タクゼンのように!今となっては凄く懐かしい。惜しい人を亡くしたな。(たぶんまだご存命だよ、失礼な奴だな)
何はともあれチンチロリンに参加することにした。270貫アリガネショウーブ!
そういえば帰りの電車賃までつぎ込んで、負けて歩いて帰る輩がいたっけ。
チンチロは目の出方によっては、掛け金以上の支払いが生じる怖い博打なのだ。
負ければ体でてことはないにせよ、間違いなくぼこられるだろうな。
気合いを入れてサイコロを振った。ニャントこの日は馬鹿ヅキだった。1万貫以上は勝った。助平親父が泣きそうな顔をしている。酒場の女将から、あんたなかなかやるね、今度は本当の博打を用意してくよと言って、なにやらお札をくれた。天下一博徒?どうやらこれがあればもっと大きな博打がうてるみたいだ。
商いの元手ができたので、もう商人護衛もチンチロ賭博賭博もやらない。
まずは堺の納屋で算術を習い、そのまま奉公させてもらうことにした。
南近畿は納屋の息がかかっていて一割引きで商品がかえるのだ。序盤は特にこの恩恵が大きい。
評定までできるだけの交易をしておくと同時に、茶室を開き藤吉郎と信長様を引き合わせ仕官させておく。やはり猿はのぶにゃがに飼われてこそ面白味がある。
あと、家臣にしたい人気№1の滝川一益と、ついでに木下小一郎も信長様に引き合わせ織田家に仕官させておいた。蜂須賀小六は引き抜ける自信があるので、放っておいた。
ちなみに茶室にいくと奇妙な癖がある旅人が来て、弓の指導で茶の湯が楽しめるようになったとかで文福茶釜を置いて行った。
いったん茶室を閉じて鍛冶場を開くことにした。もらえるご祝儀は火薬10個より昭石10個のほうが断然いい。南蛮商館の硝石と硫黄、薪炭を10の倍数でそろえて火薬にして売ればかなりの利益になる。
そうそう雑賀の座の親父からは名馬購入の仕事を受けておき、行商人から買った
名馬を鑑定しないで、座の親父に無理ポイから銭返すあるよ。とすれば名馬が手に入る。移動速度上昇の恩恵は途轍もなく大きい。噓つきは名馬の始まりだね。
調子に乗って即座に雑賀町の道場で鑑定してもらった三国黒を引き連れて、町を出るとこを座の親父に見られた。怪訝そうな顔をしてこちらをずっと見ていたな。
雑賀で続けて名馬購入の仕事を受けたが、勿論2頭目もねこばばするつもりだ。
運よく2頭目もすぐに行商人から買えたので座に戻ると、親父が嬉しそうに、どうだった?買えたか?と聞いてきた。目をそらさず堂々と、いや!だめぽいから銭返すあるよ。とまたもや応えた。
また道場で鑑定してもらい2頭の名馬を曳いて町を出るところを、またしても親父に見られた。流石に目を合わせられなかったな。大義のために堪えておくんなまし。
序盤はやることが多くて変態、もとい大変だけど最高に楽しい。
だから何度やってもやめられない。まるで麻薬のようだ。麻薬やったことないけど。
⦅ほんまけ?)
もうすぐ初評定が始まる。今月はかなり頑張れたな。
これでまた一歩野望に近づいた!
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