亡霊
生きていたくないから、ずっと死を願ってるのだと思っていた。
生きていたくないのは、今の痛みから逃げたいからで、逃げた先が家族や周りに迷惑な存在でしかないことが嫌で。そうなるくらいなら、何もかもから開放される死を。と思っていた。
実際は、そうではなかった
あっけなく死んだ祖父の亡骸を見つめて、その訃報を聞いた時の悲しみと驚きを思い出す。体が悪いとは聞いていたけれど、まさか会いに行って帰ってきて構える前に亡くなるとは思いもよらず。
おじいちゃんが危な話は沢山聞いていて、いつでも代わってあげたいと心から思っていたのに。私は生き残って、祖父は死んで。
お葬式に関わるたくさんの手続き、お金、誰がやるのかの押し付け合い。
(ああ、人は、ただ死ぬだけでこんなにも誰かに迷惑をかける存在なのだ)
ぼんやりそう感じた
ずっと逃げたくて、死にたかったのに、祖父の話を聞いて、その後のやり取りを聞いて、周りがどれだけ悲しい思いをするのか身をもって感じた。感じていくうち、「生半可な思いでは死んではいけない」そんな思いが芽生えた。
少し、動く勇気が出た。
少し、死んだ彼に守ってもらえてる気がする。
少し、悲しい
少し、
様々な思いを抱える。立ち止まってばかりではいられないこともある。誰かの助けになる時も、支えられる時も、私達には互いの存在が不可欠だ。
どうか現世では苦しかった痛み全てから、解放されてますように。強く、宛もなく祈りを捧げた。
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